プラネットが【インターネットは一般消費財流通をどう変えるか2022】を公表
株式会社プラネット(本社:東京都港区、代表取締役社長:田上正勝、証券コード:2391)は、コロナ禍が長引く中、昨年に続き日本国内の日常生活への影響と一般消費財の買い物の変化を調査し、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。
国内のEC市場規模
経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」によると、2020年の日本国内の物販分野BtoC-EC市場規模は、約12.2兆円(前年比21.7%増)、EC化率も8.08%となり拡大の勢いを増している。
2020年はコロナ禍により、外出自粛による巣ごもり消費が続き、また店舗に行かなくてもよいECの需要が高まったと考えられる。
カテゴリ別EC市場動向
一般消費財について各カテゴリ別にみても、全てのカテゴリでEC市場規模は引き続き増加傾向にある。2020年には食品・飲料・種類にEC市場規模が2兆円に達した。
生活雑貨・家具・インテリアでは、コロナ禍により家で過ごすことが多くなり、家具・インテリアの需要が高まった結果、EC化率が26%を超えた。
2020年は前年に比べてEC市場規模が拡大したが、コロナ禍が続いた2021年も外出できない消費者と店舗を営業できない事業者の双方のニーズを満たすEC市場はさらに大きく伸長していると考えられる。
インターネット普及状況の推移
総務省の調査では、2020年の個人のインターネット利用者の割合が、83.4%であった。前年2019年の調査設計が一部例年と異なっていたため、減少したように見えるが、やはり全ての年代で身近なインフラとして利用されているようだ。
年齢階層別では、13~59歳の各階層で90%を超えている。さらに、6~12歳の低年齢でも80%に達しており、小学生の頃からインターネットに接した生活をしている世代が今後も増えてくるのは間違いなさそうである。利用目的も多岐に渡っているが、中でも、メール(77.7%)、情報検索(76.4%)、SNS(73.8%)は高い利用率になっている。
商品やサービスの購入は、55.7%であり、インターネット利用者の半数以上はネットでの買物・取引をしている。今後もコンテンツやサービスは進化し、ネットとリアルが互いに交わり合いながら豊かな生活を支えていくと考えられる。
ECは必ずしも安くない?
実際の店舗で買い物する理由としては、「店が近い」、「実際の商品を確認できる」、「買ってすぐに持って帰ることができる」に加え、「価格が安い」が回答の上位に入った。一方、インターネットで買い物をする理由は、「家まで商品を配達してくれる」、「いつでもどこでも注文できる」の回答が上位を占めた。消費者は、実際の店舗での買い物とインターネットでの買い物の利点をうまく使い分けていることが推察できる。
今回の調査においては、「価格が安い」という理由を選んだ人は、インターネットでの買い物が45%に対して、実際のお店では55%という結果になっており、必ずしもインターネットが安いという意識はなくなってきている可能性がある。
楽天とAmazonの利用率は高い、メーカー公式も健闘
インターネットの買い物で利用するサイト・アプリでは、楽天とAmazonの利用率が高く、Yahoo!ショッピング/PayPayモールが追っているという情勢だが、メーカー公式オンラインショップやフリマサイト・ショップも一定数利用されている。
メーカー公式オンラインショップで買い物する理由としては、「安心感がある」、「そのサイトでしか買えない商品がある」が多く、女性では、「割引や特典がある」ことも魅力となっているようだ。フリマサイト・アプリを利用する理由は、「必要なものが安く買える」はもちろんですが、「手に入りにくい商品が見つかる」、「どんな商品があるか探すのが楽しい」ことも利用者の価値になっているようだ。
LINEとYouTubeは90%以上の人が毎日利用
デジタルネイティブ世代が利用しているメディアの種類は、SNSとテレビをほぼ全ての人が視聴しているという結果となり、視聴頻度はSNSが圧倒的に高いことが分かった。SNSの中でも、LINEとYouTubeは90%以上の人が毎日利用している。
またInstagramとTikTokは、商品チェックや買い物関連に多く活用されているようだ。この世代の約66%が、メルカリやヤフオクなどのCtoCで商品を購入した経験があり、若者を中心とした二次流通は今後無視できない市場になる可能性が高い。
ECとリアルをまたいで多様化する消費行動
コロナ禍によって人々の日常生活には大きな変化が起こった。仕事と世帯収入は全世代で減少したと感じている人が多くなっている。普段の買い物においては、店舗に行く機会は減りインターネットでの買い物が引き続き伸長している。また生活必需品の家庭内備蓄も大きく増えているようだ。
今回の調査では、15の商品カテゴリについて15の販売チャネルでの買い物実態の調査が実施された。その中で、ドラッグストアは日用雑貨や医薬品をはじめ食品、菓子、飲料を購入する人が40%を超え、生活必需品全般の販売チャネルになっていることがわかった。
また、スーパーで日用雑貨を購入する人が50%を超えている。ネットショップも日用雑貨、食品、飲料などの幅広いカテゴリの購入に利用されていることが浮き彫りとなった。
2020年には日本国内の物販系分野のBtoCのEC化率が8%を超え、私達の暮らしの中でインターネットでの買い物は特別ではなくなっている。さらに、2年以上に及ぶコロナ禍でデジタル化が加速し、日常の買物行動の変化も余儀なくされたことで、インターネットの利便性を認識すると同時に、実際の店舗にしかない価値と満足感にも気付いたのではないだろうか。ますます多様化する生活を支えるために変化し続ける一般消費財流通から引き続き目が離せそうにない。