半数が利用サービスは1つ、料金は1,000円未満 Fromプラネットがサブスクに関する調査結果を公表

ECのミカタ編集部

国内1,400社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット(所在地:東京都港区、代表取締役社長:田上正勝)は消費財や暮らしにまつわるトピックスを届ける『Fromプラネット』の第161号として、サブスクリプションに関する意識調査の結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

調査概要

株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「サブスクリプション」に関する意識調査を実施した。期間は、2021年6月16日~6月21日、インターネットで4,000人から回答を得ている。

株式会社プラネットは、メーカー、卸売業、小売業がサプライチェーンとして連携し、生活者へのサービス向上を目指して進化を続ける日本の消費財流通を、情報インフラ運営で支えている上場企業(証券コード2391)だ。またFrom プラネットとは株式会社プラネットが発信しているニュースレターだ。消費財や暮らしに関する旬なトピックスなどを紹介している。

サブスクの“内容まで理解”は2割どまり

サブスクの“内容まで理解”は2割どまり

コロナ禍でのステイ・ホーム期間中、急速に普及したもののひとつがサブスクリプションによる動画配信サービスだろう。サブスクリプションは、月ごとや年ごとに決められた料金を支払うことで、商品やサービスを一定期間利用できるビジネスモデルのことで、「サブスク」という略称でも呼ばれる。

動画や音楽、ソフトウエアのネット配信以外にも、最近はリアルの商品・サービスでも広がりをみせている。そこで同社は今回、サブスクリプション(以下、サブスク)について、いろいろと探っている。

まず最初に、サブスクを知っているかをたずねたところ(図表1)、「聞いたことがあり、内容は何となく理解」(28.6%)と「聞いたことがある程度」(28.5%)がほぼ同数になった。これに続くのが「聞いたことがなく、内容もわからない」(22.6%)で、「聞いたことがあり、内容もよく理解」と、内容までしっかりと理解している人は2割程度にとどまった。

性年代別にみると、男性は「内容もよく理解」が40代以下で3割を超え、「内容は何となく理解」を加えると60代以下で半数を超えており、認知度は高いようだ。一方で女性は、20代で「内容もよく理解」が37.4%と全年代で最多だが、それ以上の年代では男性より低値となり、「内容は何となく理解」と合わせても半数どまりだった。70代以上は男女とも4分の1強が「聞いたことがなく、内容もわからない」としており、いまひとつ浸透していないことがわかった。

半数が利用サービスは“1つ”、支払い料金は“1,000円未満”

半数が利用サービスは“1つ”、支払い料金は“1,000円未満”

次に、「何かしらのサブスクを利用している」とした1,462人(全体の36.6%)に、利用しているサブスクの数と毎月支払っている料金を聞いている(図表2・3)。利用数は、「1つ」が半数以上に。以下「2つ」26.8%、「3つ」13.1%で、「4つ以上」は9.1%にとどまり、現状では利用数はそれほど多くないようだ。

年齢別にみると(図表非掲示)、20・30代の男女、40代男性で「4つ以上」が1割超にのぼり、サブスクの認知度が高い若年層で積極利用しているようだ。月間支払い額は最多の「500円~1,000円未満」を含め、半数以上が「1,000円未満」に。「3,000円以上」という人も19.2%いた。

4分の1が“動画コンテンツ”サービスを利用中

4分の1が“動画コンテンツ”サービスを利用中

冒頭でも述べたとおり、“サブスク=インターネットを介しての各種コンテンツなどの配信・利用サービス”を想起する人も多いものと思われる。そこで、コンテンツやソフトウエア関連のサブスクの利用状況をまとめたのが図表4だ。

“現在1つ以上利用している”人の比率が最も高いのは「動画コンテンツ」23.7%で、2位の「音楽」(12.4%)を10ポイント以上引き離してトップになった。「電子書籍、マンガ、雑誌」や「新聞のWeb版、有料Web記事」の“読む系”サービスより、「コンピューターのソフトウエア」が上回っているのは興味深いところだ。また「ゲームソフト」を除く全項目で、“利用したことはないが、今後利用してみたい”が1割前後にのぼることから、さらなる利用者の拡大余地がありそうだ。

“1つ以上利用している”人の比率を性年代別に見ると、「動画コンテンツ」は20代女性の36.9%を筆頭に30代以下の男女で3割前後と高くなった。「音楽」も同様の傾向を示しており、CDではなくストリーミングサービスで音楽を楽しむスタイルが若年層を中心に定着していることを示している。また30代以下では、女性は「電子書籍、マンガ、雑誌」、男性は「ゲームソフト」が高いという結果になった。

職業別では、“会社役員・経営者”と“学生”でサブスク活用率が高いことが読み取れる。なかでも“会社役員・経営者”では職業柄からか、「コンピューターソフト」と「新聞のWeb版、有料Web記事」が高くなった。“学生”では「動画コンテンツ」より「音楽」が高いほか、「ゲームソフト」がほかの属性に比べ突出して高い結果となった。

今後利用したいサブスクは“コト”系が上位に

今後利用したいサブスクは“コト”系が上位に

図表4ではコンテンツなどのサブスクの利用状況のデータを示したが、最近は大手自動車メーカーが自動車のサブスクを開始するなど、商品や対面サービスにまで広がりをみせている。

そこで、同じ設問のなかからリアルな商品・サービスについて、「今後利用してみたい」という回答をピックアップしたのが図表6だ。その結果、「旅行(ホテルなど)」や「飲食店」「食品」「生活サービス(家事代行など)」で1割強の人が“利用してみたい”と回答。全体的に“モノ消費”より “コト消費”関連のほうが高率になっていた。

性年代別だと、全般に若年~壮年層で利用意向が高い傾向がみられ、特に30代以下男性は全項目で1割を超えている。モノの所有を最小限に抑える“ミニマリスト”志向の表れなのかもしれない。

20代女性では、「洋服・ファッション」が16.2%とだった。「習い事、フィットネス」と「美容サービス」は20代男女と40・50代女性で高値になっているのは興味深いところだ。「自動車」については20代・40代男性で高く、この背景には生活環境やライフステージの変化もありそうだ。

サブスクで“気になる・試したい”ニーズを満たす?

サブスクで“気になる・試したい”ニーズを満たす?

サブスクを利用する/利用しない理由についてもたずねている(図表7・8)。利用する理由として最も多かったのは45.2%の「いろんな商品・サービスを利用できる」だった「気軽に商品・サービスを利用できる」が3位、「最新の商品・サービスを利用できる」が5位であることと考え合わせると、“買うほどではないけれど気になる”“試してみたい”というニーズを満たすためにサブスクを使う人が一定数いることがうかがえる。

また、「購入するより安く済む」や「物を所有せずに済む」といった金銭面やミニマリスト的な理由も高率に。「無料お試し期間に解約し忘れた」という消極的な理由を挙げた人は3.4%にとどまりまった。

片や、利用しない理由をみてみると「利用したい商品・サービスがない」が38.5%と、品ぞろえの点がトップに。これに、「お金の無駄遣いになりそう」と「使わなくても料金を支払う必要がある」といった金銭的な理由が続いた。「やめるタイミングを逃しそう」「自分で管理しきれなさそう」といった契約面の理由を挙げる人は約1割に。「趣味やライフスタイルが変わった」と「無料お試し期間が終了した」は若年層で理由を挙げる人が多い結果となった(図表非掲示)。

伸びしろの広がるサブスク

調査結果にあるように、急速に利用が拡大しているサブスクリプションだが、サブスクの“内容まで理解”は2割にとどまっていた。また約半数が利用サービスは“1つ”で、支払い料金は“1,000円未満”と回答した。

また、やはり年代的に上の世代は、サブスクに関しての理解が発展途上であり、若い世代での浸透が見て取れる結果となった。サブスクについては、音楽配信サービスや動画配信サービスでの利用が広がっているが、今後こうしたものに加えて、「旅行(ホテルなど)」や「飲食店」「食品」「生活サービス(家事代行など)」に広がっていくかがひとつの焦点にもなるだろう。

サブスクは、事業者にとっては安定した収益につながるとともに、顧客との長期間の関係性を構築できる点でアドバンテージがある。その安定した関係性の中でストーリーの共有も可能であり、ブランディングやロイヤリティ醸成の面でも有用であることから、今後の利用拡大に注目と言えそうだ。

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