日経クロストレンド【今後伸びるビジネス2022年上半期ランキング】を公表 際立つECの将来性と経済インパクト
株式会社 日経BP(本社:東京都港区、社長:吉田 直人)は2022年5月6日、マーケティング&イノベーション専門メディア「日経クロストレンド」が作成した「マーケティング」「テクノロジー」「消費トレンド」の潮流を見極める「トレンドマップ 2022上半期」を発表、注目キーワードをランキング化した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。
「トレンドマップ2022上半期」の分析手法
調査は2022年3月下旬から4月上旬に実施。編集部がマーケティング分野の29キーワード、テクノロジー分野の27キーワード、消費トレンド分野の29キーワード、計85キーワードを選定。それぞれを認知する人に、そのキーワードの現時点での「経済インパクト」と「将来性」を5段階で尋ねてスコアリングしている。質問の選択肢は下記の通りだ。
◆経済インパクト
1.どの企業も収益を得られていない/2.一握りの企業(1~2割程度)の収益に影響している/3.一部の企業(3~5割程度)の収益に影響している/4.大半の企業(6~8割程度)の収益に影響している/5.社会全体になくてはならない存在
◆将来性(=企業の収益貢献や社会変革へのインパクト)
1.将来性は低い/2.将来性はやや低い/3.どちらとも言えない/4.将来性はやや高い/5.将来性は高い
各分野でスコアを伸ばしたキーワードランキング
今回の調査で新たに追加したキーワードは、マーケティング分野の「メタバース」と、テクノロジー分野の「Web3(ウェブスリー)」、消費トレンド分野の「クリエーターエコノミー」「移動ポイント(エコな移動によるポイント獲得)」の4つだった。
新たに追加したキーワードの将来性スコア
今回のトレンドマップ2022上半期調査は22年3月下旬から4月上旬に実施し、18都道府県に適用されたまん延防止等重点措置が解除され、アフターコロナへの機運が高まる中での調査となった。
トレンドマップ2022上半期のポイント
◆経済インパクトのスコアで「SDGs」「カーボンニュートラル」「サステナブル・エシカル消費」が躍進
マーケティング分野では「SDGs」、テクノロジー分野では「カーボンニュートラル」、消費トレンド分野では「サステナブル・エシカル消費」が、前回調査より経済インパクトのスコアを大きく伸ばした。これらのキーワードが3分野で並び立つことは、18年の調査開始以来初だ。
20年10月、政府によって「2050年カーボンニュートラル宣言」が行われ、21年4月には2030年における温暖化ガスの13年対比46%削減目標が表明されるなど、ターゲットが示されたことで企業の取り組みが本格化し、消費者の意識も大きく変わってきた。環境や社会課題への貢献が、実経済への本格的なインパクトを伴う時代に入ったと言えるとしている。
◆マーケティング分野の将来性スコアでは「音声SNS」「ライブコマース」が躍進
「音声SNS」は「Clubhouse(クラブハウス)」の熱狂的なブームは過ぎ去ったものの、若者の間ではラジオやPodcast(ポッドキャスト)などを聴く習慣が徐々に広がっている。誰でもインターネットラジオを”開局“できるサービス「Voicy(ボイシー)」や音声通話アプリ「パラレル」なども成長を続けており、今後、音声広告市場の拡大が見込まれる。
また、「ライブコマース」は日本では冬の時代が続いてきたが、「17LIVE(ワンセブンライブ)」や「Pococha(ポコチャ)」といったライブ配信アプリが着実に伸びている。急拡大している個人を中心とした経済圏「クリエーターエコノミー」やD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ブランドとの相性がよく、本格普及への期待が調査結果に表れた形だ。
◆新キーワード「メタバース」「Web3」の将来性スコアは足踏み
「メタバース」とはインターネット上に仮想的につくられた、いわば現実を超えたもう1つの世界のこと。また、「Web3」はユーザーが自らデータを共有・管理しながら運用する分散型インターネットのことで、いずれも世界で大規模な投資が行われている。しかし、今回の調査では両者とも将来性スコアで高水準の目安である「4.00」を下回り、中程度の評価にとどまった。バズワードとして急速に浸透した反動で、現在はそのビジネスへの影響度を冷静に検討する段階に来ていると分析。今後、様々な業界が関わりを持つようになると、一気に成長期待も高まってくるだろうとしている。
際立つECの将来性と経済インパクト
このように、今回の調査ではマーケティング、テクノロジー、消費の3分野は変化が激しく、様々なバズワードが飛び交った。この中から、中長期的に注目すべきトレンド(潮流)の見極めを目的とし、日経クロストレンドの活動に助言する外部アドバイザリーボード約50人と、編集部の記者など各分野の専門家の知見を集約しました。その分析結果は、「現時点での経済インパクト」と「将来性」の2つのスコアでマッピングされた。
21年8月に実施した前回調査と比較し、今回、将来性スコアが最も伸びたのは、マーケティング分野では「音声SNS」のほか、「インフルエンサーマーケティング」「ライブコマース」でした。また、テクノロジー分野では「空飛ぶクルマ」、消費トレンド分野では「人生100年時代」「インスタ映え」だった。
また経済インパクトは、マーケティング分野で「デザイン思考」「SDGs(持続可能な開発目標)」が浮上し、テクノロジー分野では「カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出実質ゼロ)」「クラウド」、消費トレンド分野では「サステナブル・エシカル消費」「キャッシュレス決済(QRコード決済など)」が躍進した。
さらに特筆すべきは、将来性と経済性インパクトでECがいずれもトップになった点だ。スコアの上からも他から抜きんでており、これからの成長性にも大いに期待ができそうだ。