消費者のブランドイメージでYouTubeが2年連続トップ、7位にはAmazonもランクイン

ECのミカタ編集部

株式会社日経BPコンサルティング(東京都港区)は、今年で21年目を迎えるブランド価値評価プロジェクト「ブランド・ジャパン 2021」をまとめ、結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。なお同調査は2020年11~12月に実施され、調査回答者数は約6万人とのことだ。

ブランドイメージでYouTubeが2年連続の首位

ブランドイメージでYouTubeが2年連続の首位

一般生活者編「総合力」ランキングでは、88.0ポイント(偏差値)のスコアを得てYouTubeが首位を獲得。第2位にはGoogleが、第3位にはユニクロが入った。トップ10の10ブランド中、5ブランドが入れ替わった。新たにトップ10入りしたのは、ユニクロのほか、ソニー(第5位)、ディズニー(第8位)、トヨタ自動車(第9位)、アップル(第10位)。

今回首位となったYouTubeはブランド力を構成する要素の中で、イノベーティブ(革新性)とコンビニエント(利便性)への評価が高い。イノベーティブランキングでは1,000ブランド中第3位で、コンビニエントランキングでは第5位となった。前回に引き続き、これらの因子を維持したことが首位獲得に繋がった。

日本におけるYouTubeの月間利用者数は6,500万人を超え(2020年9月時点)、アップロードされた動画の総時間は80%増加した(2020年6月と前年同月との比較)(引用元:Think with Google)。利用者の74%が「利用が増えた」と回答しており、この数字は他のオンラインプラットフォームの調査データ(平均)の3倍以上になるという。

Google、ユニクロ、無印良品、ソニーが続く

第2位のGoogleは前回第6位から順位を上げた。テレワークや遠隔学習の普及がChromebook、ビデオ会議ツールのGoogle Meetのさらなる追い風となった。また、自粛でGoogle Playなどモバイルアプリ全体の総ダウンロード数は30%近い伸びを見せた(引用元:Think with Google)。

さらに、人工知能(AI)を活用して新型コロナウイルスの感染者数などを予測する取り組みが日本でも昨年の11月から公表を始めた。その結果、フレンドリー(親近性)、アウトスタンディング(卓越性)、コンビニエント(利便性)の指標が向上した。

ユニクロ(第3位)はコロナ禍でも売上が好調。ルームウエアやヒートテック毛布が売れ筋で、ECの販売も伸びた。第4位は、無印良品で、総合力は85.6ポイント、第5位は、ソニーで83.9ポイントとなった。

ブランド総合力、上昇トップ5

今回、総合力が最も伸びたのはワークマン。同ブランドは、2020年中も店舗数を増やしてきた。カジュアルウエアを求める新規客がまだ増加しており、主力の作業着では空調ファン付きのジャケットなどがヒットした。「ワークマンプラス」「#ワークマン女子」といった新規業態も注目された。

トヨタ自動車は、テレビCMとネットメディアを融合させたオウンドメディア「トヨタイムズ」が話題となった。また、「誰ひとり取り残さない」という姿勢で国際社会が目指している「SDGs(持続可能な開発目標)」に本気の取り組み宣言を大々的に行った。その影響もあり、今回の結果では、イノベーティブが93.5ポイントと高かった。

なお、今回から聴取したSDGsに貢献する企業活動の認知度では、サントリーが「安全な水とトイレを世界中に」で19.7ポイント(第4位)、「海の豊かさを守ろう」で16.2ポイント(第3位)、味の素が「飢餓をゼロに」で26.1ポイント(第5位)と高い評価を得た。

セブンプレミアムは2007年からの累計売上が2020年中に10兆円を突破した。現在4,000アイテムを超える。セブン-イレブンはコロナ禍でも善戦しており、食品ロスを削減する「エシカルプロジェクト」の展開も注目を集めた。ソニーはゲーム事業が好調でPlayStation 5の発売も記憶に新しい。富士フイルムは抗ウイルス薬「アビガン」が臨床試験に成功し、話題となった。

動画が消費者に与えるインパクトが大きい

調査結果にあるように、消費者のブランドイメージでYouTubeが2年連続のトップとなった。またトップ10に返り咲いたのはユニクロ、ソニー、ディズニー、トヨタ自動車、アップルとなった。さらにブランド力の上昇ランキングトップ5は、ワークマン、トヨタ自動車、セブンプレミアム、ソニー、富士フイルムだった。

日経BPコンサルティング ブランド・ジャパン プロジェクトマネージャー石原 和仁氏は次のように述べている。

「総合力ランキングと上昇ランキングの上位では、ニューノーマルな生活習慣の提案やサステナビリティを推進することで生活者に寄り添い、ときにはリードするブランドの活躍が目立った。今後も、生活者の視点に基づき、暮らしや働き方を提案し続けることがブランド力向上において重要になっていくのではないだろうか」

全体に従来からシェアを誇る企業やブランドが名を連ねる中、EC関連では、ランキング10位以内では、ユニクロの他、7位にAmazonが入っている。1位のYouTubeは、その運営にあたるのはGoogleであるが、YouTubeという動画配信プラットフォーム単体でここまでのブランド力を示しているのは特筆に値するだろう。

それだけ動画が消費者に与えるインパクトが大きいことも浮き彫りにしているとも言えそうだ。それと同時に、まだまだEC関連のブランドがランクインする余地がある内容ともなっており、同社が述べているように、いかに生活者とのロイヤリティを醸成するかが、ブランド力向上のひとつのカギともなりそうだ。

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