SP広告とは?種類とメリット・デメリット、面白い広告の事例を徹底解説!

ECのミカタ編集部

SP広告とは?種類とメリット・デメリット、面白い広告の事例を徹底解説!

SP広告は私たちの生活に当たり前のように溶け込んでいるため、普段は意識しない人も多いでしょう。しかし、身近にあるものは親しみを感じやすくなるため、購買や利用などの行動の後押しとして有効です。
まずはターゲットや広告出稿の目的を明確にして、自社の商品やサービスに最適な広告手法を選びましょう。

SP広告とは

SP広告は、セールスプロモーション(Sales Promotion)広告の略語で、販売促進を目的とした広告のことです。広告にはテレビCMやラジオCMといった「マス広告」や、インターネット上に配信される「デジタル広告」などがありますが、これら以外のほとんどの広告手法をSP広告といい、幅広い種類が含まれます。
代表的なSP広告には、折り込み広告(チラシ)やDM、交通広告、屋外広告などが挙げられ、マス広告と比べてコストが低く、中小企業でも取り組みやすいでしょう。
また、費用対効果がわかりやすく効果測定が容易なことや、特定のターゲットに向けて発信できるため、高い成約率に期待できるのも特徴のひとつです。

セールスプロモーションと広告の違い


そもそもセールスプロモーションは販売促進という意味をもつため、商品の購買やサービスの利用を促すような宣伝活動全般を指します。
一方で、広告はセールスプロモーションをおこなうための手法の1つであり、商品やサービス、事業などの認知度向上のために使われます。
逆に、認知度向上やブランディングのための広告をSP広告と呼ぶことはありません。セールスプロモーションは直接的な購買行動を喚起するための活動であり、お得な情報を発信したり、サンプリング(試供品)やデモンストレーション(実演販売)なども含めた手法となります。

SP広告の種類

ここからは、SP広告の種類とそれぞれの特徴について紹介します。

フリーペーパー


フリーペーパーは、読者にとって有益な情報を掲載した冊子で、駅やコンビニ、美容室、飲食店などで配布されています。「フリー」という名前のとおり、消費者が無料で入手できるのが特徴。

扱うテーマが明確であり、読者層の興味関心と合致していれば広告というよりもコンテンツとして読まれる傾向にあります。フリーペーパーは広告主が払う広告費で運営されていますが、広告料は比較的安価なためテストとして利用するのもよいでしょう。
また、割引クーポンを発行することで購買意欲をさらに高める効果に期待できます。

会員誌・会報誌


会員誌や会報誌は、企業や団体、組織が会員に向けて発行する冊子のことです。定期的に発行されるのが一般的で、情報の共有や新製品の紹介、コラムまで内容は多岐に渡ります。

有名な会社の会員誌であれば数十万部発行されているものもあり、ジャンルやテーマにあわせたターゲティングが可能。発行部数と読者数を把握できることから、読者ロイヤリティを測定しやすいのも特徴です。

DM


DMは「ダイレクトメール」の略で、これまでは印刷物を郵送で送る方法が主流でしたが、近年ではEメールを使ったメールDMも多く利用されています。
すでにある顧客データから広告主から消費者に直接広告物を送付するため、送付履歴から効果測定が容易におこなえるのがメリット。

ただし、DMを送れば効果がでるというわけではありません。特定の顧客を対象にしたセールの告知や手書き文章を添えるなど、行動にうつしたくなる気持ちを起こさせることがレスポンス率を高めることにつながります。

POP


コンビニやスーパーなど、商品を販売する店舗の内外に設置する広告全般をPOP広告といいます。
POP広告は大きく以下の3種類にわけられ、それぞれの用途は若干異なります。
・アウトショップ…お店の前に設置し集客する
・インショップ…店内の雰囲気を盛り上げ、購買意欲を刺激する
・商品まわり…特定商品の詳細を提示する

POP広告はお店の状況にあわせてさまざまな情報を提示するため、イベントなどの期間限定の場合でも即効性が見込めます。また、自作しやすく低コストで設置でき、手軽に差し替えられるのもメリットです。

折込チラシ


折込チラシは、新聞に挟み込んだ状態で消費者に届ける広告手法です。新聞そのものの信頼性が高いため、一緒に届けられる広告への信頼性も高い傾向にあります。

高齢者や主婦層、ファミリー層にアピールしやすく、エリアや配布日を自由に決めることが可能。チラシを受け取ってから数日以内でのアクションに期待できるため、短期間で集客しやすいという特徴があります。
ただし、ほかのチラシに紛れて見逃される可能性があり、興味をもたれるような工夫が必要です。

交通広告


交通広告は、電車やバス、タクシーなどの車体に掲載する広告のことです。
手法自体は古くからありますが、近年ではカーラッピングや後部座席のデジタルサイネージ(デジタルで表示する広告)なども広まっています。

交通機関のエリア内で生活する人への接触率が高く、通勤時や通学時など、毎日のように広告に接することで反復訴求効果を得られるのが大きなメリット。
また、公共性が高いため、広告への信頼度が高くなりやすいのも魅力です。

屋外広告


屋外広告は、屋外に設置される広告全般を指します。
看板広告をはじめ以下のような種類があります。
・屋上広告…建物の屋上に設置
・壁面広告…建物の壁に設置
・突き出し看板…建物の壁面や支柱から突き出す形で設置
・電柱広告…電柱に巻き付ける、もしくは突き出す形で設置
・建植看板…地面から単独で自立させる看板(大型のものはサインポールと呼ぶ)
・懸垂幕…商業施設の壁に縦長に掲げる垂れ幕タイプの広告
・吊り下げ看板…天井から吊り下げる看板
・アーチ…建物の入り口に設置する広告

屋外広告は設置場所によってターゲットが絞れることや、反復効果があることがメリットです。
遠くからでも見やすいように情報をコンパクトに伝えることで、宣伝したい内容を瞬時にアピールできます。

イベントスペース


PRイベントや展示会などへの出展も、SP広告の一種です。イベントテーマに興味のある消費者が集まるため、細かいターゲティングが可能になります。
また、消費者と直接コミュニケーションがとれる貴重な機会でもあり、潜在顧客の情報が得られることもあるでしょう。
ただし、イベントスペースへの出展には大掛かりな準備が必要で、人的コストがかさむ傾向にあります。

SP広告のメリット

ここからは、SP広告のメリットについて紹介します。

コストを抑えられる


SP広告のメリット1つ目は、コストを抑えられることです。マス広告のように大規模な広告では数百万かかるケースもあり、費用・時間ともにコストがかかりがちです。
一方、SP広告はPOPのように手軽に取り組めるものもあり、低コストでスタートできるのが魅力。

もちろん広告の種類や設置方法によって費用は異なりますが、コストが抑えられることで「すぐに売り出したい商品」でもスピード感をもって実施できるでしょう。

広告効果を測定しやすい


SP広告のメリット2つ目は、広告効果を測定しやすいことです。セールスプロモーションの目的は販売促進のため、広告による費用対効果の測定は重要な指標となります。

SP広告には商品の購入やサービスの利用までの距離が近いものも多く、導線を含めて設計することも少なくありません。とくにフリーペーパーやDM、折込チラシなどの印刷数やクーポン券の回収数など、数えられるものの測定が容易なことで、目的がどの程度達成できたのかが目に見えてわかるようになります。

反復性が高い


SP広告のメリット3つ目は、反復性が高いことです。
広告は接触回数を増やすことで効果が高まるといわれており、とくに有名なのがハーバード・E・クラグマン博士が提唱した「3ヒット理論」です。

3ヒット理論は、
・1回目の接触で「これはなに?」という反応を示し、
・2回目の接触で「何について語っているのか?」という反応に変わり、
・3回目の接触でこれまでみた広告を思い出し「知っている」という反応に変わる
というものです。

消費者の手元に残る冊子やチラシ類の広告や毎日見るバスやタクシーなど、消費者の目に繰り返し映ることで高い効果が得られるようになります。

SP広告を出稿する際の注意点

闇雲にSP広告を出稿しても、高い効果は得られません。
これから紹介するポイントに注意しつつ、より高い効果が得られるような戦略を立てることが重要です。

目的とターゲットを明確にする


SP広告を出稿する際は、目的とターゲットを明確にしましょう。広告はあくまで手段であり、出稿そのものは目的ではありません。
とくにSP広告は限定されたエリアやジャンルの人へ向けて発信するため、ターゲットを絞り、達成したい目標を決めておくことが大切です。目標は具体的であればあるほどよく、できれば「前年比○%アップ」のように数字であらわすとよりわかりやすくなります。
また、ターゲットは年齢や性別、年収、趣味などを細かく考えて設定しましょう。

目的に応じて広告を組み合わせる


SP広告を出稿する際は、目的に応じて広告を組み合わせましょう。
近年ではスマートフォンやパソコンの普及により、多くの消費者がインターネットを通じて情報収集するようになりました。そのため、商品やサービスをインターネットで検索し、詳細を調べる消費者も少なくありません。

SP広告に加えてデジタル広告を利用することで、検索中に商品が気になればすぐに商品やサービスの購入・申し込みページが見られて、購買行動につながりやすくなります。

効果測定をして改善につなげる


SP広告を出稿したあとは、効果測定をして改善につなげることが大切です。どのようなプロモーションをおこなったとしても、ただ実行しただけではどの程度目標が達成できたのかわかりません。
そこで、SP広告を出稿する前には「事前調査」、出稿後には「事後調査」を実施し、ねらったターゲットに対する訴求力や費用対効果をデータで確認しましょう。
効果測定の方法にはアンケートやクーポンの使用率などがあり、どの方法をとるかを事前に考えておく必要があります。

SP広告の面白い事例

ここからは、ユーモア溢れるSP広告の事例を3つ紹介します。

メルカリ


フリマアプリのメルカリは、過去に北海道と名古屋限定で朝刊に折込チラシを入れるというプロモーションをおこないました。商品の画像と料金を家電量販店やスーパーのチラシのようにデザインし、「徒歩0分!スマホの中でオープン!」と大きく表示。
このSP広告は、普段インターネットを使わない主婦層やシニア世代へのユーザー獲得が狙いだったとのことです。
「スマートフォンのアプリ」と「新聞の折込チラシ」というギャップが印象に残るよい例といえるでしょう。

Wantedly


ビジネスSNSのWantedly(ウォンテッドリー)が2021年におこなった駅広告も、大きな話題になりました。
「ビジネス界の遺産展」をタイトルに、名刺交換をする2人のビジネスマンの写真やボロボロの履歴書、職務経歴書などを額縁で飾り、まるで歴史資料のように展示。この広告はWantedlyの新プロフィール公開の際に始動したプロジェクト、「#つながり方改革」の一環としておこなわれました。
デザインの横には誰もが知っている、もしくは思い当たるような説明文が添えられており、SNSで拡散され話題づくりの成功をおさめた一例といえるでしょう。

Netflix


配信登録制ストリーミングサービスNetflixは、折込チラシを彷彿させる駅看板広告を設置。設置場所がエスカレーターを下りてすぐということもあり、駅の利用者に強いインパクトを与えました。
メインとなったのは、同社が独占放送している人気アニメ。作品を知らない人でも自然と見てしまうような、いわゆる”攻めた”広告がSNSでも話題になりました。
同時期に電車内の中吊り広告も実施され、自社サービスを利用したおもしろいSP広告の事例となっています。


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