【食べチョク】生産者を直撃する価格高騰について調査 3人に1人がコスト20%以上増
日本最大級の産直通販サイト「食べチョク」を運営する株式会社ビビッドガーデン(本社:東京都港区、代表取締役社長:秋元里奈)は、昨今の肥料や燃料などの価格高騰を受け、生産者の影響に関する実態調査を行い、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。
調査概要
調査対象:食べチョクに登録している全国の生産者
調査期間:2022年6月9日〜6月15日
調査方法:インターネットによる任意回答
回答人数:371人
生産者の現状1
[野菜生産者 Nさん(栃木県)]
▶全体の生産費用高騰率:昨年比20%~30%
▶それぞれの費用高騰率:
肥料…昨年比15~50%
農薬…昨年比15%
梱包材…昨年比10%
「一番影響が大きいのは肥料価格の高騰です。昨年の春ごろからコロナの影響もあり少しずつ値上がりしていましたが、今年の春に一気に15%値上がりした肥料もあります。その後3か月に1回のペースで15%ずつ値上がりしていて、今後も上がっていく可能性が高いです。肥料の量を減らすなどの調整をして何とかコストを抑えたいですが、気候などの影響でも肥料の量は変わってくるのでコントロールがなかなか難しい。できれば値上げをしたいと思っていますが、買ってもらえなくなってしまったら意味が無いので、悩んでいます」
生産者の現状2
[養豚生産者 Sさん(鹿児島県)]
▶全体の生産費用高騰率:20%~30%
▶それぞれの費用高騰率:
飼料…昨年比33%
梱包材…昨年比10%
「豚の飼料は元々2年ほど前から国外で作られた飼料が中国に流れたことで価格が高騰していたのですが、そこに加えて今回の為替変動などの要因で更に価格が上がっています。既に周りの小規模養豚業者でいくつか廃業を決めたところが出てきており、今後再び値上がりすれば更に苦しくなっていく状況です。対策として豚の出荷体重を小さくして、必要な飼料の量を抑えることもしていますが、大きな効果はないので、販売価格を上げるしかないのではと考えています」
サマリー
調査の結果、生産者の約3人に1人が生産活動に関わる全体の費用高騰が20%以上になると回答した。さらに、今後食べチョクに出品している商品を「値上げしたいが、上げにくい」と回答した生産者の割合は約25%となった。
また「肥料や燃料、飼料、梱包資材など様々なコストが上昇する中で生産活動全体の費用高騰がどの程度になると見積もっているか」という質問に対し、5%以上と答えた生産者は全体の82.8%を占め、20%以上と答えた生産者は全体の35.7%を占めることが分かった。
同社は、取り組みの背景として次のように述べている。
「産直ビジネス市場は2019年時点で2兆9424億円、2024年に3兆5489億円規模に拡大する事が予想されています。産直ビジネス市場の拡大に伴い食材を購入する際に産直通販サイトを選択する消費者も増加しています。現在、国内外の社会情勢変動により、生産コストや輸送コストが上昇し、一次産業を営んでいく上で重要な燃料や肥料、飼料など様々な価格の高騰が起こっています。こうした状況の中でわたしたちは、価格高騰の影響を受ける生産者が多く存在するのではないかと考えました。そこで、生産者自身で値決めができる産直通販サイトだからこそ、実態を正しく把握し、生産者が適正な価格で販売できる環境を作っていくことが重要であると認識し、今回の調査を実施しました」
同社は、調査の結果を受けて生産者自身が価格を決めて消費者に直販できる産直通販サイトだからこそできることを考え、「生産者の現状と値上げに関する消費者への理解を促す特集ページの開設」「生産者に対する国・自治体が行う補助金・助成金の情報発信」「商品の値上げに伴う問い合わせのサポート」を実施するとしている。
新型コロナウイルスによる感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻、また先進諸国の中央銀行による金融緩和の影響によって、幅広い物品での世界的な高騰が起こっている。今回の調査からは、その影響が生産者を直撃している様子が浮き彫りとなった。今後もしばらくは、さまざまな物品の値上がり傾向が続くと予想される中、産直ECとして存在感を示す同社の施策にも注目が集まりそうだ。