[ネットプロテクションズ]2023年3月期1Q決算を公表 GMV1,190億円(前年同期比+5.2%)、営業収益45.9億円(同△0.4%)

宮崎ゆう

株式会社ネットプロテクションズホールディングス(以下、同社)は、2023年3月期第1四半期決算を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

決算概況

同社2023年3月期第1四半期の営業収益は45.9億円(前年同期比△0.4%)、営業利益は0.58億円(同△87.1%)、親会社の所有者に帰属する四半期損失は0.14億円(前年同期の親会社の所有者に帰属する四半期利益は2.36億円)だった。

2022年6月30日における親会社所有者帰属持分比率は35.3%(2022年3月31日においては35.1%)だった。

営業活動によるキャッシュ・フローは△0.93億円(前年同期は△4.87億円)、投資活動によるキャッシュ・フローは△6.69億円(同△1.28億円)だった。

GMVは増加したものの、営業収益は僅かに減少

同社グループは「つぎのアタリマエをつくる」をミッションとして、BNPL決済サービスソリューションを提供している。同社グループは決済ソリューション事業の単一セグメントであるが、BtoB取引向けサービス(以下、BtoBサービス)とBtoC取引向けサービス(以下、BtoCサービス)に大別して経営指標を開示し、考察を加えている。

BtoBサービスについては、経済活動の再開などによりGMVは298億円(前年同期比+31.7%)、営業収益は6.69億円(同+22.3%)と増加している。一方BtoCサービスについては、2021年の薬機法改正に伴い美容・健康カテゴリーの取引額が減少したことなどによりGMVは889億円(同△1.5%)、営業収益は39.2億円(同△3.5%)に減少している。総体としては、全社GMVは1,190億円と前年同期比+5.2%と増加したものの、GMV増加を牽引したBtoBサービスのGMVに対する営業収益率が低いこと、GMV貢献が大きい大手加盟店獲得に伴うボリュームディスカウントを入れたことなどから、営業収益は前年同期比△0.4%となった。

BtoCサービスにおいて貸倒引当金を積み増したことなどから売上総利益は18.3億円(同△2.9%)となった。さらに、マーケティング費用や人件費・業務委託費が増加したことなどから販管費は19.2億円(同+23.9%)となっている。これを受けて、営業利益は前年同期比△87.1%と減少した。

2022年6月30日における資産合計は529億円(2022年3月31日においては530億円)、うち流動資産は340億円(同346億円)、非流動資産は188億円(同184億円)である。負債合計は342億円(同344億円)となっている。なお同社は、運転資金の借入が不要であり金利変動の影響を受けづらいことを強みとして挙げている。親会社所有者帰属持分比率は35.3%(同35.1%)である。

税引前四半期利益0.41億円(前年同期は3.78億円)、減価償却費、償却費及び減損損失3.40億円(同3.37億円)、営業債務及びその他の債務の増加5.26億円(同0.08億円)、営業債権及びその他の債権の増加2.23億円(同4.45億円)、法人所得税の支払7.90億円(同6.67億円)などにより、営業活動の結果使用した資金は0.93億円となり、営業CFのマイナス額は前年同期から3.93億円減少した。また、有形固定資産0.79億円(前年同期は0.03億円)、無形資産2.65億円(同1.14億円)、その他の金融資産3.15億円(同実績記載なし)の取得などにより、投資活動の結果使用した資金は6.69億円となり、投資CFのマイナス額は前年同期から5.40億円増加した。

2023年3月期で成長モメンタム確立し、2026年3月期までのGMV平均成長率23〜29%を目指す

続いて、同社が描く今後の見通しについて記す。

同社の中期経営計画では、2026年3月期のGMV1.2〜1.6兆円、5年間の平均成長率23〜29%を計画している。決算説明会では、BtoBサービスは30%以上の成長をコンスタントに達成させつづけることで第2の柱にしたいとの意向を示した。2023年3月期は成長モメンタムの確立のための基礎固めとして位置付けられ、マーケ投資・体制強化に力を注ぐ予定だという。

同社は主に市場拡大戦略を採る意向だ。売上の約8割を占めるのが「NP後払い」であり、EC物販などで利用されてきた。一方、デジタルコンテンツなどのEC非物販、海外、BtoBなどの領域にサービス展開を進めており、さらなる顧客獲得を狙う。

重要施策は3つだ。1つ目はマーケティング強化であり、特にBtoB、台湾の2サービスに注力する意向である 。 2023年3月期においては約10億円の戦略的マーケティング投資を行う予定で、例えばBtoBサービスのマスプロモーションの認知度向上に向けて東京・関西圏における本格的な広告展開を予定、TV-CMの放映やデジタル広告の配信強化も行う。

2つ目の重点施策は大手プラットフォーマーや地銀などとのアライアンスである。加盟店の事業活動に資するよう販売支援ネットワーク拡大に向けたパートナーシップを進める。また、今期1Qには北洋銀行と業務提携を締結したが、請求業務のDX化を支援すべく地方金融機関・信用金庫とのネットワーク拡大を引き続き推進する意向を示している。

3つ目がNP後払いとatoneの連携強化としての共通インターフェースの実現である。従来は導入に際して個別に開発が必要だったところ、ワンストップでの導入が可能となる。これによってシステム導入の手間は大幅に削減されるほか、ポイントを活用したサービス間での送客など同社BNPL経済圏の提供価値を高める仕組みも備わった。 同社は本サービス導入によって、将来的な決済シェア率の向上を狙っている。

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記者プロフィール

宮崎ゆう

フリーランスのインタビュアー・ライター・編集者。ビジネス系の取材・記事執筆を主に担当。IT・メーカー・コンサルなど様々な企業の担当者とお話しして、そのサービスが企業や社会をどのように変えるのかを書いています。社会学修士(アフリカ地域研究)、銀行員などを経て現職。

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