アリババ、上場初の決算発表 売上高53%増の営業益17%減
アナリスト予想上回る株価上昇 携帯端末経由対策にApple連携?
中国の大手EC企業アリババグループホールディングの、上場後初となる決済報告が行われた。同社の発表によると、第2四半期(7~9月)売上高は前年同期比53.7%増の168億2,900万元(約3,100億円)であった。営業利益は、前年同期比17.2%減の43億4,500億元(約800億)であった。
中国で急速な成長をみせるEC需要を手堅く取り込み、アナリストなど市場予想を上回る伸びを実現した。国外進出によるグローバル化など、すでに次の展開に向け着実な動きをみせており、今後更なる成長に期待が高まる。
現時点で同社のアクティブユーザー数は3億700万人に登り、携帯端末利用の増加に伴った広告収入の拡大も今回の決算結果に影響している。会長であるジャック・マー氏は、携帯端末経由の売上アップ対策として、支払いサービスの面で米Apple社と提携する可能性があるとの考えも示唆した。
売上高の伸びに反し利幅は縮小した。その背景には、新たに買収した事業との統合コストや携帯端末システムへの設備投資、マーケティング費用などの要因がある。
中国国内でのECサイトの総取引額は48.7%増の5,556億6,600万元で、ECオークションサイト「タオバオ」が38.2%増の3,800億元、仮想商店街の「Tモール」が77.8%増の1,760億元と、非常に好調な伸びを見せている。アリババはタオバオやTモールの購入データ、オンライン決済の取引データなどを活用しECサイト出店者のバックアップサービスも強化する。付加価値の高いサービス提供を行い、新しい収入源に育てていく考えだ。
また、海外進出面では、香港や台湾、シンガポールなどの現地コンビニと提携し、アリババECサイトで注文した商品を受け取れる体制を整える。Amazonなどが行う「コンビニ店頭受け取りサービス」を模倣したオムニチャネル化も視野に入れ、合わせて展開していく見通しだ。
また今年は、中国のEC企業各社が値引き合戦など行い盛り上がりを見せる11月11日の「光棍節(こうこんせつ:シングルデー)」に、米Amazonが参入し中国市場に攻勢をかける。この商戦激化に向け、アリババは今年は11月11日一日で500億元の取引額を目標にしているという現地メディアの報道もあり、海外企業との軋轢をも自社成長のカンフル剤に仕立て上げる貪欲さはさすがといったところであろうか。
上場後も急成長止まらぬアリババの快進撃
今回上場後初の決算発表で、非常に好調な数字と今後の展開を発表したアリババ。多角的な視点で、市場成長そのものを後押しするかのような新しい動きも多く展開し、今後ますます幅広い業務を取り扱う企業へと成長していくことが想像される。