Google 【YouTube Brandcast 2022】開催!  選ばれている、理由がある 分断のないコミュニケーションに向けて

ECのミカタ編集部

Google合同会社が10月27日に両国国技館で開催した【YouTube Brandcast 2022】では、YouTubeのユーザー動向や最新トレンドが発表された。テレビとYouTubeの統合プランニングによって投資対効果を高めたソニー損害保険株式会社、森永製菓株式会社、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの事例紹介も行われた。イベントに参加したマーケターは、YouTubeが生活者に選ばれ、商品購入に強い影響力を持つメディアであることを再認識する一日となった。

生活者に選ばれるYouTube、商品購入に強い影響力

2007年に日本語版のホームページを開設し、今年で15年目を迎えたYouTube。18歳以上の国内月間利用者数は約7,000万人で、これは18歳以上の日本人の65%以上にあたる数字だ。45~64歳の月間ユーザーも2,500万人を超えた。日経BPコンサルティング主催の「ブランド・ジャパン」では、一般生活者編「総合力」ランキングの1位を3年連続受賞するなど、若年層だけでなく幅広い年齢層に支持されている。

YouTubeは視聴者が好きな動画を楽しむだけではなく、生活者の購買にも強い影響力を持つ。マーケティングリサーチ会社・イプソスの調査では、買いたいものを探している時に「商品やサービスに関する最も質の高い情報を得られる」と63%が回答。「偶然何かを見つけて購入につながった」と回答した人も71%いた。

Google日本法人マネジングディレクターでYouTube日本代表の仲條亮子氏は「YouTube を見て購入した商品に満足すると『買ってよかった』という自己肯定感が生まれ、継続購入につながる」と解説。YouTubeが生活者の商品購入プロセスで大きな役割を果たしている事実を裏付けた。

また、2020年6月以降は機械学習と専門性の高い人材の目による審査で、従来は事前削除できなかった表現や誇大広告、薬機法違反などポリシーに違反する広告を55万件以上削除してきた実績を紹介。「日本の社会や経済を支える大切なエコシステムの一部として、広告主の皆さまに安心して出稿してもらうための対策を強化する」(仲條氏)と、安全・安心なコミュニティを維持するための取り組みの強化を約束した。

「テレビでYouTube」が拡大、3,500万人以上が利用

Google日本法人でYouTubeカルチャー&トレンドマネージャーを務める前岡真琴氏は、コネクテッドテレビ(インターネットに接続されたテレビ)によるYouTube視聴が生活に定着しはじめている実態について解説した。

現在コネクテッドテレビでYouTubeを視聴する人は3,500万人を超える。テレビ画面で視聴する人の58%は家族や友人など誰かと一緒にYouTubeを視聴し、特に子どもがいる場合は78%が家族と一緒に見ているという。さらに、コネクテッドテレビでの視聴は、他のデバイスに比べて平均視聴時間が2倍になるという調査結果もある。

「YouTubeは好きな時に、好きな場所で、一人で楽しむものではなく、リビングなどで家族や友人と一緒に楽しむものへと変わり、あらゆる場面で視聴できる動画サービスとして進化している」(前岡氏)。

もうひとつのトレンドは「YouTubeショート」(YouTubeで視聴できる最長60秒の短い動画)だ。世界では毎月20億人以上のログインユーザーがYouTubeを楽しみ、そのうち15億人がショート動画も視聴している。「全世界の1日当たりの視聴回数は300億回以上で、21年比で4倍に拡大した。特にZ世代から多くの支持を集めている」(前岡氏)という。

投資対効果を高めるテレビとYouTubeの統合プランニング

「これからのマーケティングに必要なのは、短期的な環境変化に対応しながら、ブランドの長期的な成長を見据えた投資を続けていくことだ」と語ったのは、Google日本法人代表の奥山真司氏。

コネクテッドテレビに象徴されるように、テレビとデジタルを統合したコミュニケーションが、ブランド価値および投資効果向上には欠かせないという。もちろん認知・興味・購買といったプロセスについても、生活者との接点全体を見ながら最適化していくことが大切だ。

Googleではすでに、電通および電通デジタルが保有するテレビの視聴データと Google 広告のデータを統合し、リーチや接触状況を日次でモニタリングできる「MIERO Digi x TV」、同様の目的のために博報堂DYグループと連携した「Tele-Digi AaaS」を発表している。22年8月には「YouTube フリークエンシー目標設定」をリリース。「YouTube でフリークエンシーの目標を設定すると、機械学習により1週間のうちにユーザーが広告を見る回数を最適化できるようになった」(奥山氏)。

また、22年9月にはインテージと共同で「YouTube広告とTVCMの態度変容調査」の提供を開始。ユーザーのプライバシーを保護しながら分析できる「Ads Data Hub(ADH)」を用いることで「YouTube広告とテレビCMの態度変容効果をクロスメディアで計測・比較できるようになった」(奥山氏)という。

YouTube広告の活用事例 オンオフ統合がもたらす大きな事業インパクト

イベントでは、実際にテレビCMとYouTubeの統合プランニングで成果を挙げたソニー損保の事例が紹介された。同社はダイレクト型自動車保険の申し込みを増やすため、テレビ CM に加えて幅広い視聴層へのリーチと動画による深いコミュニケーションの掛け合わせで態度変容の効果を期待できるYouTube広告の強化に取り組んだ。

サイト来訪者の獲得単価を主要なKPIに設定し、テレビ CM接触者データとGoogleが持つYouTube接触者データ、そしてソニー損保の顧客データを紐づけ、①「テレビとYouTubeの予算配分」②「必要なターゲットリーチやフリークエンシー」の2点を検証した。

①はエリア別にテレビとYouTubeの広告予算割合を分けて検証したところ、YouTubeに大きく予算をシフトすることで1人当たりのサイト来訪単価が約30%改善した。②はテレビCMとYouTubeを合わせたフリークエンシーが一定になるよう、YouTubeでフリークエンシーの調整をすることで、1人当たりのサイト来訪単価がさらに6~8%も改善した。

このような結果を受け、ダイレクトマーケティング部の大竹弘通氏は「オンオフ統合マーケティングは大きな可能性を秘めている。今後は動画の尺に捉われない表現方法や、コネクテッドテレビでのクリエイティブの出し分けにも挑戦したい」とコメント。テレビとYouTubeを分断なく最適化する重要性を示した。

YouTube広告が実店舗での売上にも貢献

森永製菓とセブン‐イレブン・ジャパンの事例紹介では、YouTube広告が実店舗での売上にも貢献することが明確になった。

森永製菓は「inゼリー」の受験生に向けたキャンペーンにおいて、テレビCMとYouTube広告の同条件下での効果を検証。テレビCMのみのコントロールグループに比べて、テレビCMとYouTube広告をミックスして配信した方が、売上が13%、売上個数が15%増加した。

検証した実店舗データから、チャネル構成比などを考慮して拡大推計した結果、YouTube出稿金額の費用対効果(ROAS)は約650%。全体では約1億円の売上増加が推計された。

プロジェクトの指揮を執ったマーケティング本部長の松永秀樹氏は「YouTubeが認知だけでなく、売上につなげられることを具体的な数字で示せたことは大きな発見だった」とし、「今後は他ブランドにも展開し、コストと売上のバランスを検証しながら効率的なメディアミックスを進めたい」と話した。

国内で約2万1,000店舗を展開しているセブン-イレブン・ジャパンでも、店頭での売上増加を目指し、YouTube広告を活用した試験的な取り組みを実施した。対象は22年7月に発売した「ななチキレッド」の発売キャンペーン。森永製菓と同様のスキームで検証した結果、テレビCMに加えYouTube広告を配信したテストグループの売上が3%増加。ROASは182%を達成した。

また、「セブン-イレブンアプリ」の顧客データとGoogleのADHを用い、ターゲットをセグメントしてYouTube広告を配信した結果、YouTube 広告の接触者と非接触者の購入率には20ポイント近い差が出た。接触者には追加でバナー広告を配信したところ、非配信者と比較して購入率が61%上昇し、さらに20円引きのクーポンを配布したところ購入率が235%増加した。

リテールメディア推進部の杉浦克樹氏は「日常生活に浸透しているYouTubeでの広告配信はリーチや認知といった効果だけでなく、購買の起点になり得ると実感した」とコメント。今後も自社で保有するファーストパーティーデータを活用しながら、テレビCMとYouTubeの統合プランニングを進めていく意向だ。


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