妖怪ウォッチ玩具は今期400億円の大ヒット メダルは年内に5,000万枚を緊急増産
成功の秘密は、複数のメディアを組み合わせるクロスメディア戦略
バンダイナムコホールディングスの石川祝男社長は6日の決算説明会で、人気ゲーム・アニメ「妖怪ウォッチ」関連玩具の今期(平成27年3月期)の売上高が400億円になるとの見通しを明らかにした。
過去に10年3月期に携帯型ゲームの「たまごっち」が400億円を超えたことがあり、これに続くヒット商品になる見通しだ。
ヒットの要因は、複数のメディアを横断するクロスメディアの手法にあるとされている。無料で見られるアニメや安価なマンガでファンを増やし、高価なゲームソフトや玩具などの販売へつなげていく戦略だ。
メディア相互に作品の世界観に共通性を持たせるとともに、子ども向けの仕掛けのみならず大人向けの仕掛けも随所に施されている。
ゲームソフト、本、時計、メダルなど関連グッズの販売は多角的に展開し、商品の供給が追いつかない状態だ。
男の子・女の子・親世代もそろって楽しめる世界
「妖怪ウォッチ」は妖怪が見える時計を使って彼らと友達になり、目の前の問題を解決していくストーリーで、福岡市に本社のあるゲームソフト会社「レベルファイブ」が開発した。
『月刊コロコロコミック』(小学館)に2013年1月号からマンガの連載がスタートし、同年7月にニンテンドー3DS向けの最初のソフトが発売された。
ソフトでは主人公を男の子の「ケータ」か、女の子の「フミ」かで選べるようにし、従来のゲームでは取り込みにくかった女の子ファンの獲得にも成功した。
今年1月には、テレビ東京系でアニメがスタート。「学校あるある」ネタがふんだんに盛り込まれて子どもたちに親しみやすい世界になっていると同時に、妖怪たちが繰り出すギャグには、ビートたけしの「コマネチ」など親世代が昔親しんだパロディも多く、親子で楽しめる。
クリスマス商戦へ向けて商品確保が重要
特に子どもに大人気なのが「妖怪メダル」だ。別売りの「DX妖怪ウォッチ」(バンダイにセットすると、妖怪が登場する時の音楽が流れる。メダルの裏には固有の二次元コードが貼られ、ニンテンドー3DSで読み取ってアイテムを獲得したり、店頭設置のゲーム機にかざして新たなメダルを入手したりできる。
メダルは2枚パックのほか、関連の書籍やお菓子のおまけとしても売られている。子どもたちの間ではレアもの情報が飛び交う。
小学生の子どもがいる家庭では、パソコンを使っていると「QRコードを撮らせて」とやってきて、かなりの時間パソコンを占拠されたり、用を言いつけると妖怪「むりかべ」の真似で「むーりー」と言われた経験も多いだろう。
それでもどこか憎めないのも、「妖怪ウォッチ」の魅力かもしれない。
これからクリスマスへ向けて、商戦が始まる。玩具をあつかうECサイトは、商品の確保が重要だ。
数多く販売して収益を上げるとともに、子どもたちの期待と子どもたちを喜ばせたいと願う親心に応えて行きたいものだ。