問い合わせ対応のマニュアル作成のメリット。作成手順やチェックポイントを紹介

ECのミカタ編集部

問い合わせ対応のマニュアル作成のメリット。作成手順やチェックポイントを紹介

問い合わせ対応の質を向上させる上で、マニュアル作成は重要だ。一方で、マニュアル作成の手順や気をつけるポイントに悩むケースも少なくないだろう。今回は、問い合わせ対応のマニュアル作成のメリットや手順を紹介する。最後に、作成時におけるチェックポイントにも触れるので、マニュアルを作る際の参考にしてほしい。

目次

●問い合わせ対応のマニュアルは課題解決策の一つ
●問い合わせ対応をマニュアル化するメリット
●問い合わせ対応マニュアル作成と運用手順
●マニュアル作成におけるチェックポイント
●まとめ

問い合わせ対応のマニュアルは課題解決策の一つ

顧客からメールや電話等で寄せられる問い合わせに対して、個別で対応を行う「問い合わせ対応」は、顧客満足度向上や他社との差別化を図る上で重要な業務だ。しかし、近年はサービスの多様化や複雑化に伴って、問い合わせ件数が多く対応に時間がかかることや、対応の質にバラつきがあるなどの課題が発生し、顧客に不安感を与えるケースが生じている。

そのような課題を解決する策の一つが「マニュアル作成」だ。顧客に信頼されるためには、スピーディーで丁寧な対応が欠かせない。マニュアル作成の目的は、全ての担当者が均質で質の高い対応を素早くできるようにすることと言えるだろう。

関連記事:問い合わせ対応を効率化する方法とは?EC運営における重要性や課題についても解説

問い合わせ対応をマニュアル化するメリット

マニュアル作成を検討する際、まずは導入することで得られるメリットを確認しよう。

業務品質が向上する


誰が見てもスムーズに業務に取り掛かれるマニュアルができれば、チェックや修正の手間が減少でき、対応時間の短縮や対応品質の向上が期待できる。一つの案件が完了するまでのステップをわかりやすく明確にすることで、最初から最後まで1人での対応が可能になり、作業の抜け漏れも発生しにくくなるだろう。

対応品質の均一化を図れる


マニュアルの作成は、問い合わせ対応の個人差を最小限に抑えることにつながり、対応品質の均一化を図れることもメリットの一つだ。新人に即戦力として対応してもらうこともできる。

また、難しい案件やイレギュラーな案件が発生した場合の対応も記載することで、特定の担当者のみに負担が偏ることも防げる。担当者の突然の休みや退職で「他の人に業務を任せられない」といった属人化のリスクも減少するだろう。

リスクマネジメントにつながる


問い合わせ対応におけるリスクマネジメントとは、顧客からのクレームなど対応に悩む事例を前もって把握し理解しておくことで、リスクを最小限に抑えるプロセスを指す。イレギュラー事例への対応方法もマニュアルに記載しておけば、リスクマネジメントツールとして活用可能だ。過去のイレギュラー案件の内容や解決策が具体的に確認できることで、いざという時にマニュアルを見ながら対応ができるという安心感につながる。


問い合わせ対応マニュアル作成と運用手順

対応品質の向上に欠かせないマニュアルだが、マニュアルの内容が不十分では、うまく機能が発揮されない。実用性の高いマニュアル作成に向け、具体的な手順を紹介する。

1.全体像の把握


マニュアル作成の最初のステップとして、業務の全体像の把握から進めていき、項目ごとカテゴリー分けしていくことから始めよう。業務フローに落とし込むときは、大分類のステップ、中分類のステップ、小分類のステップへと当てはめていくと整理がしやすい。ステップを順を追って説明することで、誰がみてもわかりやすいマニュアルに仕上がるだろう。

2.マニュアルの作成


業務を項目ごとに分け整理ができたら、実際にマニュアル作成に入ろう。まずは、マニュアル内で業務の全体像がわかるように解説を行う。その上で、担当する仕事の役割がわかれば、実際に行う業務についても理解しやすい。

マニュアルは、大分類・中分類・小分類と分けた業務を見出しを使い、階層化構造で構成するとわかりやすい。階層化したものを目次として活用すると、マニュアルの全体像の把握や、知りたい情報の検索がしやすくなるためおすすめだ。

他にも、ビジネスマナーや社則といった内容も記載することで、帰属意識や顧客対応の意識の均一化が図れる。基礎情報として、コールセンターに相応しい言葉遣いも明記しておくと、顧客に好印象を与えるだろう。

3.フローチャートの活用


問い合わせ対応の全体像を説明するには、視覚的にわかりやすい、フローチャートの活用をおすすめする。フローチャートを作る際は、時系列順に並べ、単語をベースとして文字を最小限にすることを意識すると、わかりやすくなる。

4.試し運用からのアップデート


マニュアルが完成したら、まずは試しに運用してみよう。はじめから完璧なマニュアルを目指すのではなく、実際に運用することで不完全な箇所を見つけ、アップデートを行いながら、完成に近づけていくのがポイントだ

なお、新製品や新サービスが出てきたタイミングにもアップデートは欠かせない。問い合わせが想定される質問を事前にピックアップし、マニュアルに盛り込んでおくことでスムーズな対応につながるだろう。

5.業務の仕組み化の導入


マニュアルを本格運用する際は、合わせて問い合わせ業務の仕組み化を進めることも不可欠だ。なぜなら、マニュアルによって対応の質が向上しても、業務の仕組み化ができていないと対応が滞るケースも考えられるからだ。

例えば、「問い合わせのステータスをチェックして共有する」など、仕組みとして取り入れることで、誰が何を担当しているのかが把握しやすくなる。これにより、問い合わせに対する業務の進行状況が可視化され、会社全体で状況が把握しやすくなるだろう。


マニュアル作成におけるチェックポイント

最後に、マニュアル作成時において意識したいポイントを確認していこう。

誰でも内容を把握できる


マニュアル作成時は、「業務について何も知らない人でもわかりやすい」ように作成されているかチェックしていこう。特に、専門用語の使用は避けたい。ベテランスタッフには理解できても、新人スタッフにはわかりにくい印象となるため、専門用語をどうしても入れたい場合には、近くに用語の解説を加えよう。

また、「誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どのように」という5W1Hを意識して作成することもポイントだ。5W1Hのうちどれかが抜けると疑問が生じやすく、わかりにくいマニュアルになりかねない。

過去の質問事例を記載している


顧客からよくある問い合わせや質問は、基本的にマニュアル通りに進めていくことで解決できるケースが多い。しかし、中にはマニュアル通りにいかない、変わった質問やこれまでに例のない質問をされる場合もあるだろう。ときには、相手側が感情的になっており、うまく対応できないケースも考えられる。

そういった場合に備えて、マニュアルには過去にあったクレームや変わった質問などへの応対方法を明記しておくと役立つ。そうすることで、より適した回答を提示することや、題解決の糸口が見つけやすくなるなど、いざという時に役立つマニュアルとなるだろう。

現場の状況に応じたレイアウトを取り入れる


優れたマニュアルは、「内容の充実さ」と「検索性」が両立している。そのため、現場での使用感を定期的に確認し、情報のまとめ方などのレイアウトの改善を都度行うことが重要だ。問い合わせ対応は、素早く、正確な情報を伝えることが求められるため、更なる改善を必要とする場合は、一元管理や情報共有、FAQシステムといった専用のツールの導入も検討していこう。


まとめ

適正なマニュアルを作成することで、問い合わせ対応の業務効率化や質の向上を目指すことが可能だ。誰でもわかりやすいマニュアルは、新人でも即戦力となる効果も期待できる。今回紹介した作成手順などを参考に、自社の問い合わせに適したマニュアルを作成するとともに、定期的なアップデートを行い実用性のあるマニュアルを心がけていこう。


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