消費税10%先送り方針へ 消費者はひとまず一安心?

予定先送り、17年4月軸に調整か

毎日新聞の報道によると、安倍晋三首相は、来年の10月に予定される消費税10%化への引き上げについて、先送りする方針を固めたとのこと。
今年の4月に行ったばかりの8%への引き上げから7ヶ月が経過したものの景気回復の足取りは重く、今再増税を行えばアベノミクスが掲げる「デフレからの脱却」が根本から揺らぐのではと判断を下した。

見送られた引き上げ時期は、一年半の先送りがなされた2017年4月とする案が有力なものの、政府内には具体的な増税時期については明示していない。「先送り」のみ表明し、衆院解散、総選挙に臨むべきとの案が浮上しており、政府、与党での調整が本格化している。
様々なネット媒体で「消費税引き上げを延期し、衆議院を解散するのでは」との予測意見が数多く書かれていたが、噂レベルの予測がにわかに信憑性を帯びてきたといえる。

消費税を巡る動きは、12年8月、民主自民公明の3党が合意を示し、消費増税法が成立し慌ただしさを増した。
同年12月には自民党が総選挙で圧勝し、安倍内閣が発足した。
13年10月には、安倍首相が8%への引き上げを表明。この時期の報道番組では、街頭アンケートで消費者に消費増税についてのインタビューを行う光景がよく見てとれた。
14年4月には8%の引き上げが実施。消費者の間では「増税前買いだめ」などが行われ、店舗によっては店頭在庫の品薄が起こるなどがみられた。
8月には4~6期国内総生産(GDP)速報値が大幅なマイナス成長をみせる。
10月31日には日銀が追加の金融緩和を発表。
11月4日、増税後の景気の点検会合が開始。そして来る17日に、7~9月期GDP速報値の発表後、安倍首相が増税の可否などに最終判断下す。

消費税増税が消費行動に与える影響

具体的な時期が発表されれば、今年3月にピークを迎えた「買いだめ」現象が再度繰り返されることは安易に予測される。日用品や消耗品などが店頭から姿を消す光景も記憶に古くはない。8%増税時には、増税前の買いだめに備えキャンペーンなど行うEC企業も多く、ポジティブに捉えれば増税も1つの商機だと言えなくはない。
しかしその一方、節約嗜好が高まり消費が冷え込む傾向があるのもまた事実。消費者目線で言えば「こないだ増税したばかりなのにまた」といったところだろう。
消費税増税による購買行動への何かしらの影響は不可避なもの。消費者も企業も、消費税10%へのカウントダウンが決定した瞬間から、どう戦略を練っていくか頭を悩ませる日々が続きそうだ。