Apple Pay開始から一ヶ月 好調なスタート

モバイル決済市場が動き始めた


Apple Payがアメリカで利用開始され約一ヶ月、モバイル決済市場全体が活性化していると米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。

米の人気オーガニックスーパーWhole Foodsでは、Apple Payのサービス開始2週間余りで決済額の約1%にあたる600万ドル(約6億9,000万円)を売り上げた。米全土に14,000店舗を展開するマクドナルドでは、スマートフォンによる決済の50%がApple Payによるもの。大手ドラッグストアチェーンのWalgreensでは、モバイル決済が従来の倍に急増中と、好スタートを見せている。

米における決済市場全体でみれば、Apple Payはまだ主流とは言えないが、Appleのブランド力と店と利用者から評価される使いやすさは強く、小売業界から注目されているという。
今は物珍しさだけで利用されているという意見もありつつ、Apple Payのサービス開始後、Google WalletなどAndroid用モバイル決済サービスの利用が増えているという。物珍しさであったとしても、一度その利便性を体験すると利用頻度が高くなることも事実。特にAppleの製品にはそうした利用者を魅了する仕組みや仕様が盛り込まれていることは、全世界の人がiPhoneを通じて知っているだろう。

Apple Payは、まだ始まったばかりのサービスであり、利用できる端末もiPhone6/6 Plusなため、Apple Payが普及するまでにまだ時間がかかることが予想されるが、この米での好スタートは世界にどう影響するかが気になるところだ。

ロシア上場企業の時価総額を超えたApple


最新のAppleの株価は高値の更新を続け、時価総額が6,696億ドル(約77.8兆円)に達し、ロシア上場企業の時価総額を上回ったとブルームバーグが報じており好調だ。ロシアの株式市場に上場する企業の時価総額は11月12日時点で5,310億ドル(61.6兆円)で一年前と比較すると2,340億ドル(27.1兆円)も低下している。ロシアの不安定な状況は、ウクライナ情勢や経済制裁、原油安など、ロシアを取り巻く問題が要因とされているが、それにしてもロシア上場企業の時価総額を超えるというのは、Appleの勢いと存在感を強く感じさせるビッグニュースだ。

日本では、すでにお財布携帯、様々な決済ポイントサービスの普及により、Apple Payはそこまで話題になっていない。普及が難しいとも言われており、その要因として、NFCとFeliCaという通信規格の違いが挙げられている。日本では2004年におサイフケータイが登場して以来、FeliCaインフラが発達しているため、通信規格の異なるApple Payの普及は難しいとされているのだ。しかし、一部の古い機種を除けば決済端末は現状のままApple Payに対応できるものもあり、状況しだいでは数年以内に日本でも都心部を中心に使用可能店舗が増える可能性もある。
そして、国内での普及にはApple Payを利用する旨味も用意しなければ、既存のポイント連動や他決済サービスとの差別化が生まれず苦戦する可能性も考えられる。しかし、国内のAppleブランドの強さ、特にiPhone大国と呼ばれる6割を超える国内普及率を考えると、何が起こっても不思議ではない。
また、実店舗だけでなく、オンライン決済でも利用できるApple Payは、指紋認証の手軽さやセキュリティ面でも従来と異なる利便性をもたらす為、EC普及がまだまだ見込まれる国内において大注目のサービスとなる可能性を秘めているだろう。



−編集部−