WareX、自社用倉庫遊休スペースのシェアリング・スキームを構築

ECのミカタ編集部

Gaussy株式会社(代表取締役社長:中村遼太郎、以下「Gaussy」または「同社」)は、シェアリング倉庫サービス「WareX ウェアエックス」において、事業会社の自社用倉庫のシェアリングサービスを開始することを公表した。

倉庫業法の規制を受けないスキーム

Gaussyは、同社のシェアリング倉庫サービス「WareX ウェアエックス」において、事業会社の自社用倉庫(以下「自家倉庫」)のシェアリングサービスを開始することを公表した。

自家倉庫は、自社貨物のみの保管を目的とし、倉庫業法に基づく登録を要しない倉庫のため、遊休スペースを他社と活用する手段が限られていた。Gaussyは、国土交通省に確認を行ったうえで、倉庫業法による規制を受けない自家倉庫シェアリングスキームを構築したとしている。

同社は、今回のサービス開始でGaussyに留まらず倉庫シェアリングの更なる普及、事業会社における遊休資産の有効活用などが期待されるとしている。Gaussyでは2023年4月より自家倉庫の登録受付をはじめ、同年7月頃よりシェアリング利用を開始する予定とのことだ。

現状、4880万平米の遊休スペースが発生

現状、4880万平米の遊休スペースが発生

日本国内の倉庫面積は約18600万平米とされているが、そのうち自家倉庫は約12200万平米(国土交通省データ等から推計)と、全体の約65%を占めている。昨今のEC市場の拡大により、倉庫需要は年々増加傾向にある一方、季節的な物流波動の影響を受けやすく、特に自家倉庫においては、第三者貨物を保管できないという制約から閑散期には倉庫スペースが遊休化しやすいという構造的な課題を抱えている。

実際に、倉庫スペース全体に対する遊休スペースの割合は、倉庫業法に基づく登録がなされた営業倉庫が27%の1730万平米であるのに対し、自家倉庫は40%の4880万平米に達するといわれており、約3倍の遊休スペースが発生していることになる。 Gaussyでは、自家倉庫の有効活用で物流効率化や事業会社における資産有効活用などに資する重要な課題と捉え、自家倉庫のシェアリングを検討してきたという。

広がる倉庫の選択肢

2021年6月に閣議決定された「総合物流施策大綱」において、「倉庫内の遊休スペースの有効活用を図ることにより、多様化する保管需要に対応する倉庫シェアリングの取組を推進する」ことが明記され、倉庫業界としても変革を図ってきた。

そもそも倉庫業は、生活を支える公共性の高い産業であり、倉庫業法では国土交通大臣の登録を受けていない倉庫において、寄託物品の保管を行う営業をなすことは禁じられている。Gaussyでは、今回のサービスが倉庫業法の規制を受けないことについて国土交通省に確認を行ったうえで、倉庫利用者が安全かつ安心して荷物を保管することができる自家倉庫のシェアリングスキームを構築したとしている。

通常、営業倉庫では倉庫提供者が貨物の保管責任を負うが、自家倉庫シェアリングスキームでは、倉庫利用者が自ら貨物の保管責任を負うこととなる。倉庫利用者が自らの責任で安心安全に倉庫利用ができるよう、倉庫利用者・提供者においてGaussyが独自に作成した自家倉庫の利用規約に則して倉庫運営がなされるという。

また、WareXの利用に際して倉庫利用者が営業倉庫と自家倉庫を誤認しないよう、WareX内の倉庫一覧ページ等に自家倉庫であることを明記し、倉庫利用者がいずれの倉庫を選択しているか容易に認識できるよう表示を整備するとのことだ。同社は、今回新たに自家倉庫の遊休スペースが流通することで、倉庫の選択肢が大幅に広がるとしており、需要の拡大が続くEC物流の面での活用にも期待がかかりそうだ。

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