日本テレビがラベルヴィーの全株取得、EC×マスメディアで売上向上を企図

ECのミカタ編集部

日本テレビホールディングス株式会社は、ファッションECサイト大手のla belle vie株式会社の全株式を取得する株式譲渡契約を締結したことを公表した。

ECテクノロジー × マスメディアのリーチ力

日本テレビホールディングス株式会社(以下「同社」)は、ファッションECサイト大手のla belle vie株式会社(以下「ラベルヴィー」)の全株式を取得する株式譲渡契約を締結した。同社グループは、認定放送持株会社である同社と日本テレビ放送網株式会社を中核とする子会社53社及び関連会社35社から構成されている(2022年12月末現在)。

同社グループとして、蓄積した販売データと卓越したテクノロジーでフラッシュセール事業を手掛けるラベルヴィーと、同社グループのTV通販事業を含めたコンテンツ制作・メディアの力を活かした幅広い顧客へのリーチ力等の強みを掛け合わせることにより両社の事業拡大に資するシナジーが期待できるとしている。なお、今後シナジー発揮等を目的とした協業委員会を設置する予定とのことだ。

両社のシナジーで売上向上をはかる

両社のシナジーで売上向上をはかる

◆同社グループの成長シナジー

▷TV通販・既存EC事業のデジタル化推進:ラベルヴィーの有するIT基盤やデジタル化のノウハウを活用し、デジタルマーケティングの強化、既存事業の売上・収益向上を見込む。

▷共通機能の集約・相互活用:物流、問い合わせ対応、商品写真・動画撮影、利用ITサービスなど共通機能・業務の集約・相互活用を図ることで収益向上を見込む。

▷同社グループ商材・サービスの販売強化:TV通販をはじめとする既存の物販事業に加え、各種イベント、Dream Coachingのスポーツ指導教室など体験系サービスの販売窓口を拡大し、売上・収益向上を見込む。

▷新商品開発・調達力の強化:過去リーチできていなかった取引先を相互に紹介しあうことなどで、TV通販・既存EC事業の新商品開発・調達を強化し、売上向上を見込む。

◆ラベルヴィーの成長シナジー

▷同社グループのメディア力を活かしたマーケティング強化:地上波やグループ企業も含めたメディアの力を活かして、より幅広い顧客層へリーチを通して売上向上を見込む。

▷同社グループのクリエイティブによるマーケティング・演出力が加わることで、コンテンツマーケティング強化による売上・収益向上を見込む。

メディア発信の民主化はマスメディアとECをどう変えるか

同社グループは、一番の強みであるコンテンツ制作力を最大限に活かし、テレビ放送事業や動画配信事業のほか、物品販売事業、映画事業、イベント事業など幅広い領域での経営基盤を有してきた。2022年に策定した「日本テレビグループ中期経営計画2022-2024」において投資枠1000億円を設定し積極的な戦略的投資のもと「テレビを超えろ」をテーマに、映像コンテンツをはじめ、物販、イベント、生活・健康関連事業など“国民の生活を豊かにする”コンテンツ・サービスを幅広く提供する「総合コンテンツ企業」への進化を打ち出している。

またラベルヴィーは、フラッシュセール事業(時間限定で特定ブランドのセールを行うECサイト)を運営するファッションECサイトの大手企業だ。「次世代のショッピング体験をデザインする」を企業理念に掲げ、2009年の創業以来、蓄積した販売データと卓越したテクノロジーをベースに、提案力の高いECサイトを構築してきた。運営する2つのサイト(GLADD、GILT)は各300万人の会員を有し、両サイトの合計で会員数550万人以上、取扱商品は約10000ブランドを抱えており、フラッシュセール事業を行うECサイトとしては国内最大級となる。

コロナ禍をきっかけにインターネット活用が進化・深化するにつれ、デジタルマーケティングなどデジタル化の重要性が増す中、ラベルヴィーを同社グループに迎え入れることが、同社グループ全体の企業価値向上に資するとの判断に至ったとのことだ。ネットの浸透とともに、マスレベルのコンテンツ制作と発信が広く一般に開放されることで、メディア以外の企業や個人でさえも世界に向けて発信できるようになった。

一方で、これまでのコンテンツ制作のノウハウや実績、人員や知見、あるいはファクトチェック、なによりリーチ力の面では、依然として従来のマスメディアに大きなアドバンテージがある。今回の両社のシナジーは、まさにECとマスメディアの利点を融合する試みと言え、その行方と他のマスメディアにそのシナジー効果がどう波及するか、大いに注目と言えそうだ。


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