株式会社コメ兵「KOMEHYOストア」 Amazonマーケットプレイスに出店
リユースストア大手がAmazonに参入
Amazon.co.jpは、株式会社コメ兵の運営するリユースデパート「KOMEHYOストア」が、Amazonマーケットプレイスに出店したことを発表した。
(※リユース=中古品)
「KOMEHYOストア」は名古屋を拠点として全国の店舗や自社サイトなどで中古ファッションを中心に買取と販売を行う国内最大級のリユースデパート。今回のAmazonマーケットプレイス出展に際し初めは中古腕時計を販売し、衣料品やジュエリー、楽器など順次取り扱い商品を増やし、2015年1月には30,000点を超える予定としている。
実店舗の全国チェーン展開も行っており、ユーザーからの信頼が高いコメ兵の商品がAmazon上で販売されることにより、リユースのファッション、カメラや楽器などの品揃えがより充実する。配送面では、全ての商品の配送料金は一律で500円とし(※Amazon.co.jpに出店という形で商品を出品する出店型出品者は、独自の配送料や返品条件など設定している場合もある)、コメ兵の在庫品がシームレスな形でAmazonで販売されるよう独自のシステムを活用しているため、迅速にユーザーに届けることができる。
コメ兵は数年前より実店舗とECサイトの連動を進めており、今回のAmazon出店はオムニチャネル戦略の一環であると思われる。Amazonの他にも「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」など、数多く有名モールに出店しており、今後さらに実店舗で仕入れた商品のEC展開を進めていく見通し。
増え続けるリユースショップのオムニチャネル化
従来、リユースは店頭で買い取った商品の販売が主であり、商品特質上一点物である傾向が強かった。それによりユーザーは、掘り出し物を探す感覚でリユースショップを回り、時として正規査定漏れの「お宝」と巡り会えることもあった。その「お宝発掘感」こそがリユースの一番の楽しみというユーザーも少なくはない。反面、店舗側にとっては、知識不足から高額商品に安価査定をしてしまうなど利益の取りこぼしにつながることがネックとされていた。
その解決策として、店頭だけであった販売口を全てのネットユーザーにまで広げられ、なおかつ専門知識も収集しやすい「ネット販売」という現金化手段が模索された。この手段が浸透してきたことが、近年のリユースの急速な伸びの一因となっている。
ヤフオク!とブックオフのコラボした「ヤフOFF!」や、近くフラッグショップをオープンさせる「JUMBLE STORE」などにも見られる、昨今急速に進められているリユースのオムニチャネル戦略により、全体の均一化が進み、ユーザーにとっての「ハイかローか」な状況もミドルで統一される環境が整ってきている。ユーザーの旨味がなくなったのかといえば一概にそうとも言えず、オムニチャネルによる均一化が進むことで以前より望む中古品の種類や数が増え、探しやすく短時間で入手しやすくなってきているとも言える。
また、システムがブラッシュアップされたことで粗悪中古品が市場に出回ることも少なくなり、いわば適正価格で中古品の売り買いが回る環境となってきているとの見方もある。
古くから存在し、今緩やかな革新を遂げているリユース業界の中において、今回のコメ兵Amazon出店がどのような一石となりうるのか、予想してみるのも面白いだろう。