博報堂が「EC生活者調査2023」を実施、消費者のEC利用率や満足度の高いサービスとは?【HAKUHODO EC+×博報堂買物研究所】

ECのミカタ編集部

株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:水島正幸、以下「博報堂」または「同社」)のEC領域に特化した組織横断型プロジェクト「HAKUHODO EC+」は、シンクタンク博報堂買物研究所(以下「買物研究所」)と共に、博報堂DYグループ「ショッパーマーケティング・イニシアティブ®」の取り組みとして、直近1年以内にECで買物をした生活者をEC生活者と定義し、利用実態や生活意識を聴取した「EC生活者調査2023」を実施し、その結果を公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

・名称:第3回EC生活者調査

・調査エリア:全国※購買ログデータ付与されたパネルは東名阪のみ

・サンプル数:通常WEB調査5000s+購買パネル調査4938s、計9938sを本調査で回収(EC1年以内利用者)※通常WEB調査のスクリーニング調査は一般生活者5500sを分析

・調査対象者:15~69歳男女(個人)

・調査内容:ECの利用状況(ECの認知/購入経験など)、各ECの会員グレード、EC利用時の使用デバイス、EC・実店舗の情報を取得するメディア、ECの1年以内購入頻度・ジャンル、ECの利用時間帯、EC利用重視点、サブスクサービスを契約しているカテゴリー、情報意識、買物意識などを聴取

・調査時期:2023年1月

・購買ログデータ取得期間:2022年1月~2022年12月(2カ年比較は21年1月〜12月)

・調査手法:インターネット調査

・調査会社:インテージ

ECがさらに浸透、1年以内の利用率83.6%

ECがさらに浸透、1年以内の利用率83.6%

生活者の1年以内のEC利用率は全体では83.6%で幅広い年齢層において高い水準にある。また主要ECサイトを月1回以上利用する人の割合は、2023年は64.4%(2020年比+2.5pt、2021年比+0.3pt)だった。同社は、コロナ禍がひと段落した2023年も伸長しており、生活者のEC利用の浸透がうかがえると分析している。

次に20代以下では、日用消費財のEC平均購買金額が前年比126%と大きく伸長した。日用消費財のEC平均購買金額が前年から1万円以上伸びた人は「重たい商品の配達」や「定期的に買いたい商品を買う」など、ECの「利便性」を評価している。

高ニーズ機能は、即配・カスタマイズ・パーソナライズ

高ニーズ機能は、即配・カスタマイズ・パーソナライズ

購買ログ分析では、日用消費財のEC購買金額が2021~2022年にかけて108%の伸長率という結果になった。オフラインの伸長率102%と比較して高く、日用消費財の購買においてECシフト化がうかがえるとしている。

日用消費財のカテゴリー別では、EC金額シェア率が2021年と比較し、2pt以上増加したのは化粧品(2021年比+2.8pt)、おむつ・生理用品(同年比+2.4pt)のトイレタリーカテゴリーだった。EC生活者の節約意識:物価上昇を受け、EC生活者の節約意識が高まっているようだ。食料品・日用雑貨品は安価商品の購入、ファッションは買い控えで対策している様子がうかがえる結果となった。

また価上昇を受け、EC生活者の72%について「節約意識が高まった」と回答した。特に食料品・ファッション・日用雑貨品カテゴリーでは、半数以上が生活防衛策を実施していた。食品・日用雑貨品ではより安価な商品の選択、ファッションでは「買い控え」が意識された。

さらにEC生活者の約15%が即配サービスを利用。サービス利用経験者では即配やカスタマイズ機能・パーソライズ機能への満足度が高く、生活者起点でニーズの高いサービスが今後重要であると分析している。

サマリー

調査結果にあるようにECは幅広い年代に浸透し、1年以内のEC利用率は83.6% 、月1回以上は64.4%だった。20代以下を中心に日用消費財のEC購買金額が増加しており、「利便性」を重視する傾向がみられた。

またEC金額シェア率は、トイレタリーカテゴリーの増加が顕著で、物価上昇を受けてEC生活者の節約意識が高まっており、食料品・日用雑貨品は安価商品の購入を行い、ファッションは買い控えで対策している様子が浮き彫りとなった。加えて生活者ニーズの高いEC機能は、即配・カスタマイズ・パーソナライズだった。

調査結果を受けて同社では次のように述べている。

「今回の調査結果より、若年層からシニア層まで幅広い年代でEC利用が浸透していることが明らかになりました。背景には定期購買や重い商品を玄関まで配達してくれるECならではの利便性、そして物価上昇にともなう節約意識の高まりや家計防衛の手段として、価格比較をしつつ、ECのポイント制度などを活用してお得な買い物をしたいEC生活者の意識があると考えられます。新型コロナウィルスが5類に移行し、外出が増える今後は、リアル店舗での購買への回帰も想定されますが、EC利用が浸透した今、オンライン・オフラインの垣根を超えて生活者自身が一番便利と感じる買い場を主体的に選択する購買スタイルがスタンダードになるとも推測されます。

そうした変化をうけ、生活者のECならではの充実したサービスや機能への期待、また企業でのビジネス成長におけるECの重要度も高まっています。企業が生活者によりよいEC購買体験を提供していくには、生活者発想に基づいたECサービスの設計やビジネスプラニングが求められます。HAKUHODO EC+と買物研究所は、今後もEC生活者の生活意識などをいち早くキャッチし、あらゆるバリューチェーンにおいて企業のマーケティングDX・事業成長をフルファネルで支援してまいります」

このように今回、博報堂DYグループ「ショッパーマーケティング・イニシアティブ®」によって生活者のEC利用実態・生活意識などを聴取した「EC生活者調査2023」が実施された。調査は、パンデミックで需要が拡大したECの利用や浸透度、および世界的な経済不安にともなうEC生活者の意識への影響、EC生活者が求める機能を明らかにしており、今後のECが提供すべき価値について考える上でも貴重なデータと言えそうだ。


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