補聴器業界にネット販売を導入、最も「変革」起こしたインターン生
スローガンは「すべては聞こえのために!」
最もイノベーションを起こしたインターンシップ生に贈られる「地域若者チャレンジ2014」の総合グランプリに、愛知大学(当時2年)の落合愛実さんが輝いた。同賞には、全国から250のインターンシップ事例がエントリーされ、若者の成長・企業・地域社会の変化などの項目で審査される。
落合さんはあいち補聴器センターの天野慎介さんととともに、東海ブロック代表として出場。スローガンは「すべては聞こえのために!」だった。
落合さんがインターンしたのは、あいち補聴器センター(愛知・岡崎)。落合さんがインターンしたときは、同社が業界初のインターネット通販(楽天市場への出店)の取り組みを始めたころだ。ネットショップに取り組みだした理由は、店に来店できない顧客に対して訪問対面で補聴器の販売調整を行うため。
しかし、創業したばかりで、かつ従業員が3人しかいなかったので、「これを実現するのは不可能に近い状況だった」と、同社の天野慎介氏は話す。
落合さんの業務内容は、店長補佐として受注管理から新商材の調査まで。加えて、店頭での売り場整理や難聴者向けの資料作成までネット通販店舗だけでなく、実店舗での業務を含め、幅広く及んだ。
ネット通販出店が始まって7カ月目には、売り上げが80万円を超えるまでに。最終的に彼女が在籍中には、ネット通販の売り上げは累計で280万円に及んだ。その後、補聴器業界から、ネットショップの参入が続いたり、岡崎でのインターシップ受入れ企業が増えるなど、「イノベーション」が生まれた。
大学生の才気と受け入れ企業の「器量」の合致がもたらした受賞
地域若者チャレンジ大賞は、全国で実施されてきた「実践型インターンシップ」の取り組みを、大学関係者、企業、経済団体、自治体等に発信し、理解と参画を促進していくことを目的に年に1度開催される。
全国の9つの地域(北海道、東北、東海、関東、北信越、関西、中四国、九州、沖縄)でブロック予選が行われ、最後に「地域若者チャレンジ大賞審査会」にて優秀事例が発表される。
この企画では、大学生が企業の中で実際に仕事を行いながら、受け入れてくれた企業のために役立つとともに、大学生もまた成長していくことを両立させるのを意義としている。ただし、審査にあたっては大学生の成長や生み出した成果だけではなく、受け入れ企業や地域、コーディネート機関等の大人同士のつながりや若者とのかかわりにも着目し、若者のチャレンジを通して、企業や地域がどう変化したのか、総合的に評価される。
落合さんの成果には本人の才気や努力、それに幸運もあったかもしれないが、落合さんを受け入れたあいち補聴器センターの経営者にも人としての器量があり、社員に暖かさや未来を見据える姿勢があったのだろうと思われる。