【そごう・西武】OMO化を推進、「発注・検品・納品」時間が33%削減

ECのミカタ編集部

そごう・西武は「実店舗とECサイトの在庫の一元管理(OMO化)」「AI発注の導入」を目指し、単品在庫管理をデジタル化する取り組みを開始することを公表した。

全フロアのOMO化を目指す

そごう・西武は「実店舗とECサイトの在庫の一元管理(OMO化)」「AI発注の導入」を目指し、単品在庫管理をデジタル化する取り組みを開始することを公表した。2022年1月からの実証実験を経て、まずは西武池袋本店の諸国銘菓・名産売場とそごう大宮店の諸国銘菓を対象とするという。

なお自主売場での単品在庫管理のデジタル化は発注精度の向上と業務の負荷軽減にもつながるとしている。今後、他の自主運営売場から対象を拡大していき、将来的にはテナントも含めて全フロアを対象として百貨店で扱う商品のOMO化を目指すとのことだ。

◆取組について

・開始時期:2023年8月28日(月)~

・対象フロア:西武池袋本店の諸国銘菓・名産売場/そごう大宮店の諸国銘菓売場

※以降、同社自主運営売場からスタートして全フロアを対象に拡大予定

ECと売り場の連携を実現

ECと売り場の連携を実現

そごう・西武では、今までの発注・在庫管理の課題として次のように述べている。同社の諸国銘菓、名産売場では、取り扱い商品やメーカーが多岐にわたることもあり、完全な形でのJANコードによる管理ができていなかったという。その結果として、発注業務や在庫管理をデジタル化できず、個人の経験に頼った発注を実施せざるを得ない状況となっていたのだ。そのため「発注に時間がかかる」「担当者によって発注精度のばらつきがでる」「在庫管理がアナログなためECと連動できない」などの点が課題となっていた。

そこで課題を解決するため、売場のデジタル化を目指して画像認識AIによる単品在庫管理に向けた取り組みを開始した。画像認識AIを組み込んだ在庫管理業務アプリを活用することで、バーコードなどの有無にかかわらず商品の在庫単品管理が可能な仕組みを実現したという。

「発注・検品・納品」時間を33%削減

同社が行った実証実検の対象商品では、紙台帳の管理が不要となり、発注、検品、納品作業時間の33%削減を実現したという。また削減できた時間を接客などの顧客満足度向上につながる業務にあたることもできるようになったとのことだ。さらに、ダッシュボード(複数の情報を一覧できる情報管理ツール)を活用した過剰発注の発見により、廃棄ロス削減に向けた発注調整を開始した。なお、画像認識AIの検知率については、実験を重ねる事で約99%にまで高める事ができたという。

今後については、在庫情報をデジタル化することで、その情報をもとにAIを活用し、需要を予測し、発注の自動化を目指すとのことだ。また全フロアを対象として在庫情報を自社ECサイトに連携することで、自社EC商品の取り扱い商品が増え、EC販売を飛躍的に拡大できる見込みだとしている。EC化の遅れが指摘されて久しい百貨店業界だが、各社でデジタル化を基軸としたさまざまな取り組みがなされている。今回、同社が行っている施策は、OMOの面で大きな成果を示しており、今後の「百貨店」というカテゴリ自体の再構築にどう貢献するかという視点でも注目を集めることになりそうだ。


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