「一般医薬品の濫用はインターネット販売が原因ではない」新経済連盟とAICJ、濫用等のおそれのある医薬品のインターネット販売に関する緊急声明を発表

ECのミカタ編集部

一般社団法人新経済連盟(所在地:東京都港区、代表理事:三木谷浩史、以下:新経済連盟)は、2023年8月31日、厚生労働省「医薬品の販売制度に関する検討会」(事務局:医薬・生活衛生局総務課)において議論されている、濫用等のおそれのある医薬品の販売方法の事項について、アジアインターネット日本連盟(以下、AICJ)と共同で緊急声明を公表した。

一般医薬品の濫用はインターネット販売のみではない

医薬品の安全かつ適正な使用を確保するとともに、国民の医薬品へのアクセス向上のため『医薬品の販売制度に関する検討会』が2023年2月より開催されている(※1)。今回は、その議題のひとつ、濫用等のおそれのある医薬品についてAICJと新経済連盟共同で緊急声明がだされた。

緊急声明によると、市販薬濫用の増加とネット販売との間の相関関係を示すデータはなく、依存者の患者が過量服用に使用した市販薬の入手経路のデータからもネット販売が濫用の原因であることを示すデータはないとしている。近くに薬局のない地域や外出が難しい需要者にとってインターネットは重要な購入ルートであり根拠のないままインターネット販売を禁止することは望ましくないとした。

濫用等のおそれのある医薬品のインターネット販売に関する緊急声明よりグラフ作成

ネット販売では顔を見ないので、挙動や年齢を判断できない問題については、「ネット販売には顔を見れなくても購入者の属性や購入履歴、注文時の質問に対する回答など蓄積された記録との照合が可能なため、薬剤師や登録販売者が販売可否を判断し、必要に応じてメールや電話等で追加のコミュニケーションを取れる」としている。

※1出典元:医薬品の販売制度に関する検討会(厚生労働省)

継続的な販売管理のルール化で大量・頻回購入防止へ

AICJと新経済連盟は、提案として個人情報と紐づけた販売履歴を活用した継続的な販売管理と販売前後を含めた様々なタイミングでの周知啓発や相談窓口の案内等が必要だという。ここでは、販売管理のルール化について詳しくみていく。

他店舗や他業者から濫用等のおそれのある医薬品を購入しているかについては現状自己申告となっている。しかし自店舗での購入状況の確認はルール化されていないため、適正な使用目的であるかどうかの確認を個人情報と紐づけた販売履歴という客観データに基づいて行うことを義務化するという。具体的には下記の通りだ。

・ID等を活用し、個人情報を紐づけた形での一定期間の販売履歴の保存をルール化する
・個々の販売時に、販売履歴と照合し頻回購入や大量購入を行っていないか確認することをルール化する

複数店舗での買い回りによる大量・頻回購入防止のためには、全国的な販売履歴のデータベースの構築、管理・照合が理想的だとしつつ、実現には時間がかかるためまずはひとつの販売店舗における個人情報と紐づいた販売履歴の蓄積と照合をしっかり行うことが重要だとしている。

今後の議論の展開等を踏まえ、引き続き意見を提出する可能性があるとしており、インターネットによる医薬品販売の動向について引き続き追っていきたい。


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