美容系総合サイト「@cosme」 店舗ECともに好調も越境EC回復は時間を要する結果に【2023年6月第三四半期決算説明会】

ECのミカタ編集部

2023年5月12日、美容系総合サイト「@cosme(アットコスメ)」を運営する株式会社アイスタイル(以下、同社)は2023年6月期第3四半期決算説明資料を公表した。

売上高、営業利益ともに好調で通期業績予想を上方修正へ

同社が公開した資料によると、アイスタイルの第3四半期の売上高は過去最高の309億円(前年比+21.5%)、営業利益は5.4億円(前年比+11億円)と堅調に推移する結果となった。好調な結果と動向を踏まえ売上高を当初の400億円から425億円、営業利益を500億円から800億円へ上方修正したという。直近の動向として、店舗への顧客回帰が想定を上回ったことや2022年10月に、政府が行った入国制限緩和によりインバウンド需要が増加したことをあげている。

国内EC事業は好調も、越境ECは振るわず

EC事業に関わる「Beauty Service事業」について見ていく。BeautyService事業とは化粧品専門ECサイト「@cosme SHOPPING」や化粧品専門店「@cosme STORE」、アットコスメのフラッグシップショップ「@cosme TOKYO」が対象となる。

Beauty Service事業の売上高は209億円(前年比130.7%)。店舗が+45%、EC+12%とともに二桁成長を達成しており、店舗の増収が大きなポイントだといえる。EC事業に関しては、前半期に行った「@cosme BEAUTY DAY」の反動で前四半期よりは売上が減少したものの、前年比109.4%と順調に推移。直近では7月11日、12日でAmazonと初コラボレーションイベント「[プライムデー] Amazon Beauty | @cosme」がオンライン、オフライン連動で行われた。イベントによりさらなる売上拡大が予測される。

また実店舗として9月1日から関西初のフラッグシップショップ「@cosme OSAKA」がオープンした。「シャネル」、「SUQQU(スック)」、「athletia(アスレティア)」など@cosme初の取り扱い商品他、取扱いブランド数約500、商品数約12000点を揃えているという。まだ広く知られていないD2Cブランドや、国内・国外の新興ブランドとの「出会い」を生み出す仕掛けを強化する狙いだ。

しかし海外事業に関しては、中国越境ECの回復に時間を要した点や韓国事業の不振等があり営業利益率は-79万円の赤字で着地。今後修正は行わず香港店舗が売上高・利益ともに健闘し、想定内での着地を見込んでいるという。

化粧品業界、ECへのシフトを前提に実店舗の役割が変化

経済産業省が発表した令和4年度電子商取引に関する市場調査の資料によると、「化粧品、医薬品」分野におけるBtoC-ECの市場規模は9191億円。前年度より7.48%上昇し、EC化率は8.24%となっている(※1)。

元々化粧品は実際に試してみないと分からないため、ドラッグストア等の実店舗で購入するケースも多い。新型コロナウイルス感染症拡大による実店舗需要減少やインバウンド需要消失を受けて、化粧品メーカーのEC販売が増加した。LINEやチャットでのコミュニケーションやWeb広告など、ECへのシフトを念頭に実店舗の役割が柔軟に変化している。同社はEC販売と実店舗販売を融合させる、OMO体現のため実店舗では気軽に試せるテスターバーや「@cosme」での評価も記載されているという。ECサイトと実店舗の垣根を超えたサービスや体験が業界全体で必要になるだろう。

※1出典元:令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事