ニッセンHD、赤字続く/第3四半期、当期損失51億円
古くなったカタログ通販というビジネスモデル
ニッセンホールディングスは10月27日に発表した2014年12月期第3四半期決算によると、売上高1,357億7,700万円(前年同期比6.4%減)、営業損失47億4,200万円(前年同期は34億1,000万円の損失)、経常損失47億2,400万円(前年同期は28億5,600万円の損失)、当期損失51億6,100万円(前年同期は28億1,600万円の損失)と、損失額が拡大した。
コマース事業における売上高は1,314億8,700万円(6.8%減)、セグメント損失は44億5,400万円(前年同期は29億8,900万円の損失)。
本年度の月次速報データを見ていくと、対前年同期比で単月単体売上高は5月度が106.4%、8月度が109.1%、10月度が104.1%であったほかは軒並み90%前後である。しかも、前年である2013年もその前年である2012年に比べて大幅に落ち込んでいる。つまり、年々、下がっている。
ニッセンは、インターネットを主体としたビジネスモデルへの構造転換を進めていく中、これまでの稼働客数減少の影響が大きくて売上高が下回り、営業利益は、在庫処分の売上が減少したこと等により原価率の改善はあったものの、減収による利益の減少やカタログ費等のプロモーション費用を積極的に投下したことにより、損失額が拡大したという。
さらに円安による仕入れコストの上昇を価格に転嫁しきれず採算が悪化し、加えて販促コストも重荷で最終赤字拡大となったと報じられている。
しかし、なぜそうなったかと考えると、本質部分は別にあるように思う。
つまりスマートフォンが普及し、オムニチャネルの必要性が高まっている現代においては、カタログ通販というビジネスモデルが古くなっているのではないか?
セブン&アイとの協業に期待、来年は業績回復も
昨年12月、セブン&アイ・ホールディングスはニッセン買収を発表した。ユーザーがインターネットを駆使して、あらゆる販売チャネルと連携し、多様な購買活動が行われる時代を迎え、ニッセンのカタログ販売やネットの技術が役立つと見込んだからだ。オムニチャネルの一角にしようという考えである。
一方、買収はニッセンにも救いをもたらす公算が高い。
セブン&アイグループでは1日に1,800万人もの人がレジを通る。グループの店舗にカタログを置いてもらえば、ほんの一部がニッセンに振り向いてくれるだけでも、メリットは大きい。
また、セブン-イレブンと共同購入キャンペーンを打ったり、赤ちゃん本舗など同じセブンのグループ企業と、ある商品を双方の通販サイトで販売したりといったことも考えられる。
来年2015年、カタログ発行回数の増加など今年の販促効果が出てくれば、稼働顧客数の増加は十分に可能だ。製品値上げも進んでいるため、利益率も上向くだろう。そうなれば、黒字回復の公算も出てくる。
ニッセンの業績回復を期待したい。