楽天ファッションウィークで話題、アフリカ製品を販売するAwa’Toriに聞くSDGs商品を提供する上での課題
2023年8月28日から9月8日までRakuten Fashion Week TOKYO 2024 S/Sが開催され、女性のエンパワーメントと持続可能なファッションを支持する「Awa'Tori(アワトリ)」に注目が集まった。今回の記事では、Awa'Toriが考える持続可能な生産方法、商品提供を目指す上での課題に関する取材内容を記載する。
イベントで認知度を高め、ファンを獲得する
Awa’Toriは、日本とアフリカのクリエイティブ産業を繋ぐプラットフォームとして2019年に設立。これまで東京やナイジェリアなどにて5回のファッションイベントを開催、様々なデザイナーを紹介し成功を収めてきた。
2023年8月28日にはECサイトをローンチし、必要以上にモノを作らず、商品やモノづくりのプロセスに共感できる、長く愛されるアフリカンファッションを届けるとしている。
これまでの活動についてAwa’Tori担当者は、「Eコマースは当初からの目標の1つでしたが、ショーによって認知度を高め、ファンを増やすことに主眼を置いていました」と、市場成功のための土台を整えてきたと語る。
そして、「イベントを通じて、私たちは『メイド・イン・アフリカ』のファッション商品に対する認知度を高め、認識を変え始めてきました。この時点に至って、ECサイトを立ち上げる時期が来たと判断しました」(Awa’Tori担当者)と、より幅広い顧客に対して商品を訴求する段階に来ていると述べる。
ECサイトを通じたドミノ効果を期待
ECサイトにおいて達成すべき目標について、Awa’Tori担当者は以下のようにコメントする。
「(ECサイトを通じた)ドミノ効果を期待しています。様々なアフリカのデザイナーを紹介することで、彼らのブランドやストーリー、そして生産過程に携わるすべての人々にスポットライトを当て、雇用を創出し、彼らの潜在的なコラボレーションの幅を広げ、マーケティング・リーチを拡大することを目指しています」。
ECサイトによって多くの顧客がアフリカ各国の文化、芸術、歴史、そしてクリエイターのストーリーを理解し、今後のパートナーシップや文化交流に繋がることを期待する。
「(ECサイトの立ち上げは)日本市場において、アフリカのクリエイティブ・ブランドの影響力を確立するための最初の積み木に過ぎません」(Awa’Tori担当者)とも述べており、長期的な目線で日本市場に進出する姿勢もみせている。
持続可能な受注生産モデルとコスト、リードタイムに課題
Awa’Tori担当者は、ECサイトへの課題について以下のようにコメントしている。
「私たちの最大の課題は、持続可能な受注生産モデルとそれに伴うコストとリードタイムを受け入れてもらうことです」。
これまでAwa’Toriは、コストとCO2排出量対策として、一定期間にわたり予約注文を集めた上で、まとめて生産し出荷する手法を取ってきた。しかし、ECサイト利用者の多くは注文から数日以内に受けとることに慣れている。そのため、1ヶ月以上もかかるリードタイムとコストについて理解してもらう必要があるという。
また、「私たちのモデルの価値を理解し、リードタイムを待てる顧客だけが、注文品を高く評価すると考えています。既存のモデルと同じやり方では、真の持続可能性は実現できない」(Awa’Tori担当者)と、Awa'ToriのECサイトには一定の顧客理解が必須となることも語っている。
今後はアフリカ大陸に存在するファッション、アート、料理、音楽、映画などを通じた可能性を紹介。日本だけではなくアジアにおいて、文化イベントの企画から運営の仲介を目指すとしている。
エシカル消費が注目される中、社会的課題を考慮した取り組みの実現にはブランド側だけではなく、利用する顧客の姿勢や意識の変化も重要になる。Awa’Toriの取り組みは、近年当たり前になりつつある「低価格」かつ「迅速」というECサイト運営を、改めて考え直すきっかけになるはずだ。