年末商戦開始で要注意! 国土交通省の「トラックGメン」が11月、12月を集中監視期間に 荷物取扱の増加も実施要因か
国土交通省が2023年11月・12月を「トラックGメン」による「集中監視月間」と位置づけ、監視体制をさらに強化している。トラック運送事業における適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視を強化するため、7月に全国162名からなる「トラックGメン」が創設されたが、それ以来、最も大きな動きとなりそうだ。
11月・12月は、トラックGメンの「集中監視月間」
2023年11月、12月はトラックGメンの「集中監視月間」と位置づけ、悪質な荷主等に対して「要請」「勧告・公表」を実施し、監視を強化していく。トラックGメンとは、2023年6月2日「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」に取りまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づき2023年7月21日に創設されたもの。
9月から10月にかけて実施した全トラック事業者を対象にした調査を元に、11月、12月は集中監視月間として、「悪質な荷主等の監視強化」「関係行政期間との連携強化」「情報収集の強化」の3つを行うとしている。
これまでのトラックGメン活動実績
トラックGメンの活動実績としては、7月21日から10月31日で働きかけ251件、要請10件の実施や全トラック事業者63251社を対象にした調査、九州自動車道 基山SAにてトラックドライバーへの聞き取り調査等を行っている(※1)。
9月から10月にかけて行われた全トラック事業者を対象にした調査によれば、違反原因行為を行っている疑いのある荷主は、約半数の46%が発荷主(元請運送事業者は含まない)であり、残りを着荷主、元請運送事業者(利用運送事業者含む)が占めている状況だ。
違反原因行為の割合としては「長時間の荷待ち(38%)」「運賃・料金の不当な据置き(22%)」「契約にない附帯業務(20%)」が上位に並んでいる。
※1出典元:トラックドライバーへの聞き取り調査実施について
違反原因行為の要請、8割が3~6時間の荷待ちが原因
これまでトラックGメンが要請した事例として、下記内容が紹介されている。違反原因行為全10件の内訳としては「長時間の荷待ち(8件)」「契約にない附帯業務(1件)」「無理な配送依頼(1件)」「過積載の指示(1件)」とほとんどが長時間の荷待ちが占めている。長時間の荷待ちにいたっては、3時間~6時間の荷待ちが発生している状況であり、中には10時間におよぶ荷待ちやラベル貼りなど契約にない附帯業務を行っていたこともあるようだ。
11月、12月は「ブラックフライデー」や「独身の日」など各ECモールで年末商戦が行われる時期により、取引荷物が増加することは避けられない。今回の強化月間は、セール時期だからこそ適正な取引を行ってほしい思いがひとつとしてあるだろう。
EC事業者にいたっては、セールで忙しくなる時期だからこそ、物流事業者に荷待ちや無理な配送依頼をしないよう各自が準備を行い適正な取引を行えるよう努めたい。