「ダークパターンレポート2023」を公表 4割以上がダークパターン被害を経験し、7割が取り締まり強化に関する法律を求める
株式会社コンセント(以下:コンセント)は、消費者をだますウェブサイトやアプリのユーザーインターフェースである「ダークパターン」についての実態を調査し、「ダークパターンレポート2023」としてとりまとめた。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。
4割以上がダークパターンにひっかかったことがある
「ダークパターンを見たことがあるか」という質問に対して、約7割が見たことがあると回答。さらに、4割以上がダークパターンにひっかかったことがあるという結果が判明した。
ひっかかった事例としては、「意図していなかった商品の選択」「小さな文字をよく読まずに商品を購入」「繰り返し表示されるポップアップにしかたなく『はい』を選択」といった内容が目立った。
一方、ダークパターンそのものを知らないと被害を認識できないことから、実際には結果数値以上の人がひっかかっていることが想定されるだろう。
約半数がダークパターンという言葉を聞いたことがある
これまで「ダークパターン」という言葉を聞いたことがあるか、理解していたかについて質問をしたところ、「具体的に理解している」と回答した人は16.6%。「聞いたことはあるが、具体的なことは理解していない」(28.2%)と合わせると、ダークパターンという言葉を聞いたことがある人は44.8%と半数に迫った。
また、国内外でダークパターンの規制が強化されていることについて知っているかを聞いたところ、海外での規制・国内での規制ともに3割弱が「ニュースやウェブなどで見たり聞いたりしたことがある」と回答。7割強は「見たり聞いたりしたことはなく、まったく知らなかった」という結果となった。
ダークパターンの存在を周知する必要がある
ダークパターンにだまされないために必要なことを聞いたところ、1位は「自分たち利用者がだまされないために気をつけること」(76.3%)で、2位は「国が取り締まりを強化する法律を整備すること」(71.8%)。さらに、7割強がネットショッピング等を運営する企業に対して「ダークパターンを使わないように取り組むこと」を求めていることが判明した。
「報道機関がニュース等で取り上げることで消費者が知る機会を増やすこと」も6割を超えた。ダークパターンはその存在を知らないと認識しづらいため、防止策の強化とともに認知を広げることが急務といえるだろう。
企業の倫理的な姿勢が問われる
本調査内容に対して、コンセントのUX/UIデザイナーである川崎実紀氏は以下のようにコメントしている。
「オンラインでの商品の購入やサービスの利用は、すでに私たちの生活インフラとなっています。安全な購入行動を脅かす仕掛けが張り巡らされている現在の状況は、決して看過されて良いものではありません。本調査を実施した2023年8月時点では、ダークパターンについて具体的に理解しているECサイトやアプリでの購入経験者は16.6%にとどまりましたが、ダークパターンに関する報道は増えてきており、多くの消費者がダークパターンを理解している未来はすぐそこに来ています。今後、ウェブサイトやアプリなどのオンラインでサービスを提供する企業の倫理的な姿勢がますます問われることになるでしょう」。
企業、消費者双方の理解が重要となる
ダークパターンとは「消費者の自主性や意思決定や選択を覆したり損なわせたりする選択アーキテクチャを、主にオンラインユーザーインターフェースに用いる商法」を指す。消費者をだますこの「ダークパターン」がウェブサイトやアプリなどに使用されている事例は少なくない一方、現在は国内において直接的に取り締まる法律がない状況だ。
ユーザーの同意なしに別商品を紛れ込ます手法や、事実と異なるセール期間を設定し、ユーザーに購入を急がせるなどその手口も様々。そのためダークパターンに対する基準を明確に定めることが難しく、法規制だけで完全に対応できる問題ではないことも事実だろう。
企業側も意図せずにダークパターンを利用してしまう可能性も考えられるため、組織全体として防止にに努めなければならない。加えて、消費者もダークパターンの存在を知り、自身の身を守る姿勢が重要となる。本調査内容を踏まえ、今後の対策を講じる必要があるだろう。
調査概要
◆調査手法:インターネット調査
◆調査時期:2023年8月
◆調査対象:ECサイトやアプリなど、インターネットを介した商品購入やサービスの利用、またはサブスクリプションサービス利用の経験のある、18歳から69歳までの国内在住の消費者799人
◆質問内容