「ドライバー不足に関する企業調査」を実施 9割以上の企業が「2024年問題」に対して、ドライバー不足の影響と回答

ECのミカタ編集部

運送業の92.4%が2024年問題によるドライバー不足を懸念。運送業界のドライバー不足に関する企業調査を実施。

株式会社オーサムエージェント(以下:オーサムエージェント)は、運営する運送業専門の求人・転職サービス「ドラピタ」に契約している企業を対象に「運送業界のドライバー不足に関する企業調査」を実施した。本記事では「物流2024年問題」に絡めた一部内容を抜粋して紹介する。

目前に迫る「2024年問題」

トラックドライバーは、長時間労働ながら賃金が低いことが長年課題として指摘されてきた。こういった環境を改善するために、時間外労働の上限規制が2024年4月からスタートされる。

この規制は雇用環境の改善に繋がる一方、これまで走行していた1人あたりの距離は大幅に減少する。結果として、従来のような長距離輸送の継続が困難になり、物流全体に大きな混乱が発生することが懸念されているのだ。

さらに、今後ますます労働人口の減少が加速することにより、輸送効率は大幅に下がってしまうことも考えられる。「物流2024年問題」と呼称されるこれらの課題であるが、2023年12月現在、運送業界におけるドライバー不足の現実はどういった状況なのか。

以降でそれぞれの内容を確認していく。

9割以上の企業がドライバー不足と回答

ドライバー不足を感じているかという質問に対して、9割を超える企業がドライバー不足と回答。また、大多数の企業が「採用」「定着」を課題と感じていることが調査結果(※1)として判明した。

課題と感じている「採用」は全体の54.5%を占め、次いで「定着」が34.8%。この結果から、採用の難しさ、さらに仮に採用できたとしても早期離職など、「定着」の難しさを実感している企業が多いという現状が伺えるだろう。

※1 出典元:株式会社オーサムエージェント

※出典元:株式会社オーサムエージェント

入社前後のギャップが離職に繋がるか

また、運送業界のドライバー不足の一番の原因で多かった回答が「賃金」「労働条件」「若年層の業界離れ」が大半を占める一方、勤務時間帯や免許制度の変更、また低運賃・重労働などが原因と感じている割合は少ない。

この結果から、運送業界の仕事内容や必要免許、また労働内容を理解して入社したとしても、実際の賃金や労働条件といったギャップがきっかけとなり、離職に繋がっていることが考えられるだろう。

※出典元:株式会社オーサムエージェント

物流業界だけではなく、消費者側の意識改革も求められる

「物流2024年問題」に対して、ドライバー不足の影響だと感じている企業は全体で92.4%と大半を占める結果に。全く感じていないと回答した数は0であり、法改正による影響が大きいことが伺える。

※出典元:株式会社オーサムエージェント

ドライバー不足によって物流業界は業務のひっ迫、サービスレベルの低下といった負のスパイラルに陥ることが想定される。本調査では、ドライバー不足解決に向けて、以下のように様々な取り組みに対する意見が集まった。

◆運賃の値上げを行い従業員の給与を上げる
◆業界のイメージ払拭・若年層の取り込み強化
◆働き甲斐のある、魅力的な職場環境作り

現在は社会情勢や円安の影響により、各業界において値上げの波が広がっている。物流業界も例外ではない一方、「送料無料」が恒常化してきたことから消費者側の目線は厳しい。しかし、今後もこれまで通りの物流環境を維持させるためには、業界だけではなく消費者側の協力も必須となるはずだ。

「運賃上昇」に対する意識改革から「置き配」の選択など、物流に対する考え方を改めることが、2024年4月以降は求められる。目前に迫った「物流2024年問題」の解決に向け、一人ひとりの意識レベルを向上させる必要があるだろう。

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