EC強化中のロック・フィールド、2つの定期便販売開始の狙いは
「RF1」「神戸コロッケ」などの総菜店6ブランド、約310店舗を展開している株式会社ロック・フィールド(以下「ロック・フィールド」)は、2020年にECサイトをリニューアルして取り組みを強化。他のECにはないユニークなアプローチでのファン作りを展開している。2023年12月11日から期間限定で販売している2つの定期便の内容と狙いを聞いた。
50代共働き夫婦をターゲットに、1回8000円と10000円のセットを販売
1972年に「レストランの味をご家庭に」をコンセプトに創業したロック・フィールド。現在、百貨店や駅ビルを中心に展開している旗艦ブランド「RF1(アール・エフ・ワン )」「神戸コロッケ」、野菜ジュースをメインとする「VEGETERIA(ベジテリア)」、和総菜の店「日本のさらだ いとはん」、アジアンテイストの総菜店「融合」など6ブランドを運営し、2022年には冷凍食品ブランド「RFFF(ルフフフ)」を立ち上げている。
2023年12月11日から、料理人(同社開発者)たちがサンフランシスコに着想を得たメニューが味わえる「毎月とどく、美食便」(全6回/各8000円)と、お皿と料理をセットにした「うつわと料理の定期便」(全4回/各10000円)の2つを期間限定で販売開始した。どちらも販売期間は2023年12月11日から~2024年1月22日14:59まで。
ターゲットは50代の共働き夫婦で、各150セットを用意しているという。
2020年にロック・フィールドメンバーズ立ち上げ ECサイトもリニューアル
2017年に自社ブランドの商品の購入機会の創出や利便性を図ることを目的に、自社ECサイト「RF1オンラインショップ」を立ち上げてEC事業を開始。手間ひまのかかる煮込み料理やストックできる冷凍タイプの揚げ物、店頭では販売していない限定商品などを品揃えしてきた。
コロナ禍の巣ごもり消費によって、外食から内食・中食へ消費行動が大きくシフトし、オンラインショップの利用も増加。新たな生活様式のもとにおいても人とのつながりや楽しさを感じられる食卓提案を行ってきた。EC・デジタルを活用して利用者の利便性向上を図るため、2020年には会員サイト「ロック・フィールドメンバーズ」を立ち上げ、店頭受け取り(WEB予約)とオンラインショップをより利用しやすくリニューアルしている。
「ロック・フィールドメンバーズ」の開設にあわせて、「RF1オンラインショップ」を「ロック・フィールドオンラインショップ」に変更している。オンラインショップではこれまでも食卓をより豊かにする総菜の提案を行ってきたが、2021年1月から2022年6月までは「わたしレストラン」(約4000円~6000円)という、チルドで、メインディッシュとサラダの月替わりシリーズを販売。その後に「旅するサラダ」(約6000円)という、ヨーロッパの美食の街をイメージしたサラダと前菜、ソムリエの瀬戸烈氏がペアリングをしたワインのセットの販売を開始した。今回の定期便はその進化系としての提案だという。
ファン顧客との交流のための「サラダランチ会」から生まれた企画
定期便のアイデアが生まれたきっかけは、同社のファン顧客との交流促進を図るための会員特典として神戸と東京で定期的に開催している「サラダランチ会」。
同社のEC事業を統括しているロック・フィールド 経営企画本部 デジタル活用推進部 オンラインショップグループ グループ長の御園幸吾氏によると、同社は2022年9月にロック・フィールド公式アプリおよびポイントプログラムを導入。
「弊社では51期から53期までの中期経営計画の基本戦略が3つあり、その中のひとつとして『新たな顧客接点の拡充』を掲げている。その中の『ファン顧客作りと長期的な関係性構築』のために、ロック・フィールドの顧客の会員組織化をスタートした。2024年の4月末に20万人の会員獲得を目標としていたが、今年の10月31日で20万人を達成した。今年の6月からアプリを利用されている約12万人を対象に、購入金額に応じたステージ制を導入し、ステージに応じた特典をご用意しているが、上位2ステージ合計が約4万5千人で、非常に多いという結果に驚いている」(御園氏)。
「サラダランチ会」などファン顧客との直接の交流の場で同社の取り組みを伝えていく中で、「素材の産地や安全性を伝えるだけでなく、どんな風にこの料理ができたかということや、産地とどんなつながりがあるのかといった『ストーリー』を知りたいという声をお聞きすることが多かった。そういったストーリーを伝えることがお客様との関係を作っていく上で非常に重要であることを感じた」(ロック・フィールド 企画開発本部 商品企画室 原浩太氏)
「毎月とどく、美食便」のメニューは、料理が生み出されたストーリーがコンセプトで、サンフランシスコをテーマにしている。サンフランシスコは素材本来の味わいを楽しむ知恵が息づき、ロック・フィールドが多くの刺激や感動を受け続けた、ルーツともいえる街であること、そしてオーガニック食文化を広めたパイオニアであり、ロック・フィールド創業者である岩田弘三氏と親交の深いアリス・ウォータース氏の伝説的なレストラン「シェ・パニース(Chez Panisse)」がサンフランシスコにあることが理由だという。
「家でも、RF1のように盛り付けたい」という声から企画
「うつわと料理の定期便」の企画は、ファン顧客とのコミュニケーションをとる中で、「RF1のサラダは、店頭で見ると盛り付けが美しいが、自宅だと同じようないイメージにならない」という声や「店頭で見るようなきれいな盛り付けのコツを知りたい」という声が多いことから生まれた。
「渡して終わり」ではなく、『きれいに盛り付けられた』という達成感を持って召し上がっていただけるようなことが何かできないかと企画を考えた。ソースや食材が引き立つシンプルなデザインの器と、盛り付け方をイラストでわかりやすく解説した『レッスンブック』もセットでお届けする内容になっている」(ロック・フィールド 企画開発本部 商品開発室 奥野氏)。