アパレルのタカキューが債務超過を解消の再生計画公表 OMO推進とECにより売上高拡大を目指す

ECのミカタ編集部

地域経済活性化支援機構による再生支援決定 並びに当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みについて

株式会社タカキュー(以下:タカキュー)は、2024年1月25日開催の取締役会において、株式会社みずほ銀行(以下:みずほ銀行)及びグロースパートナーズ株式会社(以下:GP社)と連名にて、株式会社地域経済活性化支援機構(以下:機構)に対して、事業再生計画(以下:本事業再生計画)を提出。再生支援の申込みを行うことを決議したうえで、その申込みを行い、同日、機構より再生支援決定の通知を受けたことを公表した。

EC販売の拡大による収益力の向上を実現予定

紳士服の企画販売を行うタカキューは、2020年2月頃から新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛、店舗休業の実施等により急激な売上高の減少に直面。大規模な店舗撤退を行うとともに、コミットメントライン契約の締結等により資金繰りの確保に努めていたが、2021年2月期には売上高、純資産額、店舗数共に落ち込んだ。

長引くコロナ禍の影響によって、売上高はコロナ前の水準に対し2期連続で7割を下回り、各段階利益は黒字化に至らず、2022年2月期には876百万円の債務超過となった。以降、強固な黒字体質への改革へ向け事業構造改革を推進してきたが、依然として厳しい状況が続く。

今後、店頭接客による「OMO(Online Merges Offline)」販売の推進等によるEC販売の拡大による収益力の向上を実現する予定であり、これら施策を支える財務面において、早急に自己資本の充実を図り債務超過を解消することが安定的な事業運営を行うために不可欠であると判断。みずほ銀行と協議の上、事業の再生を図るべく、本事業再生計画を策定するに至った。

会員のEC活用促進によるEC売上高拡大を実施

本事業再生計画の概要については以下の通りとなる。

◆MD改革
▷オフィスカジュアル化に対応すべく、ストレッチ、軽量などの商品開発を実施
▷季節性の変化に対応すべく、季節MDの根本からの見直し
▷付加価値の高い商品のより一層の提供と、オーダーメイドスーツラインナップの強化

◆OMO推進
粗利率向上 、在庫・賃料・人件費削減に向けて、実店舗とデジタルを融合した売場改革

◆顧客の囲い込み
▷OMO店舗からのECへの誘導・定着強化、会員のEC活用促進によるEC売上高拡大を実施
▷SNSを活用した情報発信などウェブマーケティングの強化
▷「モノ消費」→「コト消費」の観点で、自社商品を着用することで、顧客が何を実現するか・満たされるかの観点での場面を連想させるマーケティングを実施

アフターコロナの「新常態」の定着を想定

今後はアフターコロナの「新常態」の定着を想定し、さらなるオフィスカジュアル化に対応する商品の拡大を目指す。さらに、在庫を持たないビジネスモデルであり、タカキューの強みであるオーダースーツの比重を拡大させるという。

今回の再生計画の中には、OMOの推進とECの活用による販売拡大が盛り込まれている。アパレル市場とECの相性は良く、コロナ禍以前から大きくその規模を伸長させてきており、今後もその傾向は続くことが考えられる。

SNSによるマーケティング強化、OMO推進、ECへの誘導など様々な施策を展開するタカキュー。早急に債務超過を解消し、安定的な事業運営の実現が期待される。今後の動向に注目したい。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事