岩手県の買い物困難者・2024年問題、物資輸送課題解決になるか? ドローン配送の実証実験本格化

ECのミカタ編集部

令和5年度岩手県中山間地域におけるドローンを活用した地域課題解決に係る 実証実験を実施

2024年2月13日、株式会社エアロネクスト(以下:エアロネクスト)、株式会社NEXT DELIVERY(以下:NEXT DELIVERY)、セイノーホールディングス株式会社(以下:セイノーHD)、KDDIスマートドローン株式会社(以下:KDDI スマートドローン)が岩手県岩泉町において「令和5年度岩手県中山間地域におけるドローンを活用した地域課題解決に係る実証実験(以下:本実証実験)」を実施した。

ラストワンマイルと買い物不足を想定した配送を実施

本実証実験は、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンが連携し、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流(※1)「SkyHub®(※2)」の社会実装の検討に向けて実施。中山間地域における買い物困難者への対応、2024年問題、災害時の孤立問題や急務な物資輸送の課題などの解決に繋がるドローン配送を実施した。

機体はエアロネクストが開発した物流専用ドローン「AirTruck」を使用し、機体の制御にはKDDIスマートドローンが開発した「スマートドローンツールズ」の運航管理システムが活用されている。

1本目は、中山間地のラストワンマイルを想定し「書類」を岩泉町役場から猿沢地区への片道約9㎞を約26分で配送。2本目は、買い物不便を想定し「お菓子とドリンク」を岩泉町役場小川支所から救沢公民館までの片道約2.5㎞を約6分で配送した。

※1:物流業界が共通に抱える人手不足、環境・エネルギー問題、DX化対応等の課題を、デジタルやテクノロジーを活用しながら解を探究し、人々の生活に欠かせない生活基盤である物流を将来にわたって持続可能にするための官民での取り組み
※2:既存の陸上輸送とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流のしくみ

日常生活の利便性の確保、生産性向上に繋げる

岩泉町は総人口8013人(令和6年1月末時点)、面積は99.23haと本州一の広さであり、狭隘な山間地に基幹地区と小規模集落が点在している。食料品アクセス困難人口の割合(2015年時点)は県内で唯一40%を超え、この数値は全国平均の24.6%と比較しても非常に高くなっている。

このような背景を受け、ドローンを活用した買い物弱者対策による日常生活の利便性の確保、岩手県産業の生産性向上等に資する様々なドローンの活用方法などを検討し、持続可能な活力ある地域の実現を目指すことを目的として実証実験が実施された。

ドローンで配送された「お菓子とドリンク」を受け取った住民は「便利になった。距離があるので重い物とか宅配いただければ嬉しい」と今後の活用に期待を寄せた。日本の約7割は山地であることから、類似した課題を抱く地域は国内に数多く存在するだろう。本実証実験の結果が全国各地の山村地域の物流課題の解決に繋がることが期待される。今後の動向に注目だ。


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