無在庫販売(物販)とは?やり方や仕入先の選び方を紹介

ECのミカタ マーケティング部

無在庫販売(物販)とは?やり方や仕入先の選び方を紹介

オンラインでの販売では数・種類ともに多くの品揃えが求められるため、在庫としてすべてを抱えると、高いリスクを負っている状態になります。

そこで注目されているのが、在庫を保有せずに商品を販売する「無在庫販売」です。

本記事では無在庫販売について、その概要や重要なルール、実際のEC関連サービスを用いた販売方法について詳しく解説していきます。

無在庫販売(無在庫物販)とは

無在庫販売とは、販売者が商品在庫を持たない販売方法です。無在庫物販と呼ばれることもあります。

在庫を持たずに販売ができれば、リスクを大幅に低減できます。しかし、なぜ無在庫販売が成立するのでしょうか。ここで詳しく紹介します。

無在庫販売の仕組み

無在庫販売は、在庫を持たない状態で出品を行います。

無在庫で販売を行う手法として、以下のような形態があります。

  • ドロップシッピング
  • 完全受注生産販売
  • オーダーメイド販売
  • 転売(無在庫転売)

無在庫販売では、基本的に在庫切れの概念がなく、何より在庫を持つリスクがないのが大きな特徴です。

大型商品で保管費が高い場合や、単価の高い商品などの販売も始めやすい販売方法といえます。

無在庫販売とドロップシッピングの違い

前節で紹介した通り、ドロップシッピングも無在庫販売の1つといえます。

無在庫販売はあくまで在庫を持たずに販売することを指す、一般名詞として使われることが多い用語です。

対してドロップシッピングは、ECサイトなどを介して商品の購入が行われたのち、提携事業者やメーカーが直接注文者に商品を発送する形態を指します。

無在庫販売は違法・ルール違反?

無在庫販売は、違法な販売方法ではありません。

「無在庫販売は詐欺」とまで言われることがあるようですが、それは誤りです。一部の卸業者などが商品を発送しないなど、特定のトラブルを指して、詐欺だとの口コミが発生しているのかもしれません。

無在庫販売の仕組み自体は違法ではなく、お客様の注文した商品が、無事に手元に届けることができれば問題ありません。

しかし、ECモールなどのプラットフォームによっては無在庫販売を禁止している場合があるので、利用規約違反がないように注意しましょう。

また、仕組み上どうしても受注から発送まで時間を要するため、顧客が詐欺と勘違いする可能性もあります。顧客に不安を抱かせないよう、注文時に発送目安日等をアナウンスするなど、対策を講じましょう。

無在庫販売は無リスク?

無在庫販売は、在庫を抱えることにより発生し得る過剰在庫などのリスクを抑えられますが、リスクが全くないわけではありません。

EC販売において考えるべきリスクは、在庫や倉庫での保管費だけではありません。

とくに無在庫販売では、発送や購入後のサポートなどの面でお客様とトラブルが発生することがよくあります。

単に在庫リスクを抑えられるという理由で、無在庫販売を始めると思わぬ失敗につながりかねません。

無在庫販売のメリットとデメリット

この章では、無在庫販売のメリットとデメリットを解説していきます。

メリットだけ把握して見切り発車してしまうと、思わぬ場面で大きなトラブルや損害につながる可能性もあるので双方をしっかり理解しておきましょう。

メリット

まずは、無在庫販売のメリットです。

  • 初期投資が少額
  • 在庫リスクがない
  • 取り扱う商品の変更が容易
  • 副業として始めやすい

初期投資が少額

ECサイトで販売開始するにあたり、まずは商品仕入に多くの費用がかかるのが一般的です。無在庫販売であればこの費用がかからないため、少額の初期費用で事業を開始することができます。

在庫リスクがない

在庫を持つ場合、維持費用の増加やキャッシュフローの減少などが原因で、資金繰りが悪化することがあります。

また、長期間売れない商品は品質悪化で価値が低下したり、倉庫での保管期間が長くなったりするので、保管費用も収支を圧迫します。無在庫販売では、このような在庫リスクがありません。

取り扱う商品の変更が容易

在庫を持たないため、取り扱う商品のジャンルやコンセプトの変更も容易にできます。

例えば、原材料高騰で薄利になった商品の販売を停止するなどの判断も、状況に応じて柔軟に対応しやすいといえるでしょう。

副業として始めやすい

無在庫販売は、在庫を保管する場所が不要なため、副業としても始めやすい方法といえます。

昨今では個人向けの販売用プラットフォームもいくつか登場しており、初期費用なしで簡単にネットショップをオープンできるものもあります。

デメリット

続いて、無在庫販売のデメリットです。

  • 発送までに時間がかかる
  • 在庫切れで注文後のキャンセルが発生する可能性がある
  • 大量注文が受けにくい
  • CS(カスタマーサポート)対応が難しい

発送までに時間がかかる

ネットショッピングを利用するユーザーにとって、荷物が届くまでの時間は商品の購入を検討するにあたって、重要な判断ポイントです。

無在庫販売の場合、商品によっては発送までに時間を要することがあります。とくにドロップシッピングではなく、受注後に自身で買い付けて発送する場合はどうしてもリードタイムが長くなります。

商品発送までの日数が増えることは、顧客の購入意欲を下げることにもつながるでしょう。

在庫切れで注文後のキャンセルが発生する可能性がある

無在庫販売では仕組み上、受注後に仕入れ先の在庫切れが発覚し、注文のキャンセルが発生する可能性があります。

とくに人気のある商品や希少性の高い商品は注意が必要です。注文後の店舗都合のキャンセルは、お客様とのトラブルやプラットフォームでの評価の低下にもつながることも……。

注文後のキャンセル率が高い場合、検索結果での露出低下など、プラットフォームによってはペナルティを設けている場合もあるので、事業そのものに影響を及ぼす場合もあります。

大量注文が受けにくい

無在庫販売では、在庫を有していないため、仕入れ先の在庫状況をリアルタイムで確認できず、大量注文を受けにくい状況が生まれます。

需要に対して供給が追いつかないことは機会損失につながります。

CS(カスタマーサポート)対応が難しい

商品が常に手元にあるわけではないため、商品に関するお客様からの問い合わせに詳細な回答をするのが難しい可能性があります。

また、仕入れサイトなどを利用して商品を取り寄せている場合、販売した商品に関する責任の所在が不明瞭になることも……。

このように、顧客からの問い合わせや質問に曖昧な回答をした場合、信頼低下や見込み客を失うことにもつながりかねません。

無在庫販売は儲かる?儲からない?

どの商売においても、儲かるか否かはやり方次第です。

ここでは、無在庫販売で「儲け」を出すためのコツとして、意識しておくとよいポイントを紹介します。

競合調査の徹底

無在庫で販売できる商品にはある程度傾向があるため、似たような商品を扱っている競合店舗がいるはずです。

まずは取扱商品が自社と似ている競合店舗を調査しましょう。競合店舗の強みや弱みを調査するには、レビューを見るのが得策です。

また、利益を出しやすくするには、ライバルが少なく需要のある商品を取り扱うことも重要です。いわば、「ブルーオーシャンを見つけましょう」ということですが、簡単なことではありません。

日ごろから最新情報やトレンドにアンテナを張っておくとよいでしょう。

自社の強みを訴求する

無在庫販売で利益を高めるには、価格以外の強みを打ち出すことが重要です。

保証の有無やギフト対応、出荷までのスピードなど、自社ならではの強みがある場合は、商品ページでわかりやすく訴求しましょう。

改善を繰り返す

前述の通り、無在庫販売は在庫リスクがなく、扱う商品の変更が容易です。

そのため、ECサイトを運営して得られたデータをもとに売れ筋や死に筋を見極めて、積極的に改善をすると儲かるショップのあり方を見つけやすくなります。

無在庫販売のやり方・方法

無在庫販売を始める際の大まかな手順は下記の通りです。

  1. 販売商品のジャンルを決める
  2. ショップのコンセプト決め
  3. 商品の価格相場をリサーチ
  4. 無在庫販売対応の仕入れ先を探す
  5. ネットショップの開設
  6. 商品画像準備・出品

基本的には在庫ありの販売とやることは同じです。しかし、プラットフォームによっては禁止されているのでその選定が必要であったり、無在庫販売に対応した業者が少なかったりする点には注意しましょう。

ここで、ネットショップを運営する際に押さえておきたい主要サービスでの無在庫販売のやり方を紹介します。

Amazonでの無在庫販売のやり方

Amazonで許可されているのは、ドロップシッピングでの無在庫販売のみです。ただし、ドロップシッピングを用いる際にもルールがあり、下記のポリシーを遵守することが必須とされています。

  • 商品の記録上の販売者であること。
  • 商品に同梱または付随する納品書、請求書、外装などのすべての情報に、自身を商品の販売者として明記すること。
  • 納品書や請求書などに記載された自身以外の販売者の情報を削除してから、注文商品を出荷すること。
  • 購入者からの商品の返品受付・実施の責任を負うこと。
  • Amazonの定める出品者規約およびポリシーのすべての条項を遵守すること。

また次のようなドロップシッピングは禁止されています。

  • 別のオンライン小売業者から商品を購入し、その小売業者から購入者に直接出荷すること。
  • 納品書や請求書などに自身以外の販売者名や連絡先情報を記載して、注文商品を出荷すること。

出典:ドロップシッピングとは?Amazonが教えるメリット・デメリット、始める方法|Amazon出品

上記ポリシーを遵守した上で、アカウント登録、商品登録を進めましょう。その他出店までの手続きの流れは、通常の有在庫販売を行うときと同じです。

楽天市場での無在庫販売のやり方

楽天市場の出店において、無在庫販売禁止等の規約はありません。

ただし、在庫を持たずに商品を販売するにあたって、いくつかのルールが設けられています。

楽天ではメーカー直送品・海外直送品は事前審査が必須となります。また、個人輸入代行による直送品は産直審査が入ります。また産直審査に通過していても医薬品や健康食品などを海外から直接ユーザーに送ることは禁止されています。

楽天市場で無在庫販売を行う場合、必ずこれらの審査に通過してから出品するように注意しましょう。

審査は、RMS(Rakuten Merchant Server)の「各種申請・設定変更」>「商材追加審査申請」より申請可能です。

出典:出店審査や規約、取扱商材の注意事項|楽天市場出店

Yahoo!ショッピングでの無在庫販売のやり方

Yahoo!ショッピングの運用ガイドラインには下記の記載があり、無在庫販売は原則禁止されています。

「商品の在庫が確保されていないにもかかわらず商品掲載をおこなう見せかけ販売や、その商品の人気が高いように見せるようなランキング不正操作などの客引き行為をおこなうことは禁止します。」

とはいえ、ガイドラインに違反して無在庫販売を行っている店舗も複数存在するのが実情です。

また、無在庫販売では店舗都合のキャンセルが発生しやすいですが、Yahoo!ショッピングではキャンセル率に応じてペナルティを設けています。

取締りが強化された場合、重いペナルティを受ける可能性があるため、 Yahoo!ショッピングでの無在庫販売は実施しないほうがよいでしょう。

出典:Yahoo!ショッピング ストア運用ガイドライン|Yahoo! JAPAN

BASE(ベイス)での無在庫販売のやり方

BASEは、誰でも簡単にネットショップが作成できるサービスです。BASEでは無在庫販売禁止等の規約はありません。

無在庫販売の場合でも、アカウント作成からショップ作成、販売までの流れは通常と同じです。

Stores(ストアーズ)での無在庫販売のやり方

STORESには予約販売機能といって、入荷前の新商品や、受注生産前のアイテムの先行販売ができる機能が設けられています。

予約販売機能の利用は無料なので、無在庫販売をしたい方にはぴったりの機能です。

出典:商品の予約販売が出来るようになりました!|STORES Magazine

Shopifyでの無在庫販売のやり方

Shopifyが提供している以下の4つのアプリを活用することで、ドロップシッピングサービスと手軽に連携することができます。

  • Oberlo
  • Printful
  • paintory
  • Spocket

それぞれ機能が異なり、無料プランではできることに制限がありますが、うまく活用すれば効率的に無在庫での販売が可能ですよ。

無在庫でネットショップを運営する際の仕入れ先は?

仕入れ先の選定時は、仕入値に加えて発送のスピードや安定的な仕入れが可能かどうか吟味しましょう。

仕入れ先を見つける際は、メーカーに連絡して直接交渉する方法や展示会などで交渉する方法もありますが、小規模のネットショップでは現実的ではないかもしれません。

そのため、無在庫販売に対応した「卸サイト」と呼ばれる卸売に特化したECサイトを活用して仕入れる方法を検討するとよいでしょう。

参考まで、主要な卸サイトを紹介します。

  • TopSeller(トップセラー)
  • NETSEA (ネッシー)
  • オリジナルプリント.jp
  • Aliexpress (アリエクスプレス)
  • Qoo10(キューテン)
  • eBay(イーベイ)
  • 淘宝(タオバオ)

リスクを抑えたい方にこそ、ECのプロによるサポートがおすすめ◎

無在庫販売には、在庫を持たずに物販を始められるメリットがあります。しかし、在庫リスクは拭えても発送のトラブルやお客様からのクレームが発生しやすいため、リスクがないわけではありません。

もし無在庫販売も含め、戦略的にネットショップを運営することを検討している方は、ECコンサルと伴走することもおすすめです。フィーは発生しますが、そのぶん利益を最大化できたりコストカットできたりします。

ECのミカタでは、初期構築代行やECサイトの運営代行会社、ECコンサル会社など、ネットショップ運営をサポートしてくれる企業をご紹介するマッチングサービスをご提供しています。

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