日本郵便が「第38回全日本DM大賞」受賞作を決定 受注率や申込率の増加に
日本郵便株式会社(以下:日本郵便)は「第38回全日本DM大賞」受賞作品を決定した。
703点の中から27点が受賞
「全日本DM大賞」は、実際に発送されたDMを募り、戦略性、クリエイティブおよび実施効果の三つの観点から評価し、優れた作品に賞を贈るものである。
第38回を迎えた今回は、703点もの応募作品の中から、DMやマーケティングの専門家による厳正な審査を経て、グランプリ27点の作品が受賞した。以降で受賞作の一部を紹介する。
DMを入り口に受注率32.2%を記録
金賞グランプリは年3回以上購入の顧客へ向けた「購入履歴反映ビンゴDM」と、購入単価の低い顧客に向けた「ほたて型DM」を作成した北海道産地直送センターが受賞。いずれもDMを入り口にクロスセルを駆使し既存顧客のリピート率を上げる施策である。
◆購入履歴反映ビンゴDM
◆画像元:第38回全日本DM対象「金賞グランプリ」
マス目に記載の商品を購入し1列揃うごとに同社商品がプレゼントされるルールで、最低でも年4回以上の購入促進を図った。
◆ほたて型DM
◆画像元:第38回全日本DM対象「金賞グランプリ」
表紙の「ほたて」だけでなく、カニやイクラ、コロッケなどの推し商品をチラ見せさせることで興味を喚起。さらに、ECだけの割引特典を設け、Webに誘導した。
高い効果を発揮したDMも多数
金賞作品は以下の通り。様々な工夫が施された作品が並ぶ。
◆ブランドの「歴史」と「想い」を丁寧に伝える
◆画像元:ブランド40周年・エンゲージメントDM
「アシックスウォーキング」ブランドの40年間の歩みと想いを伝え、ブランド価値の向上を図った。ロイヤル顧客層へは22ページのリッチな冊子、新規/継続/育成顧客層へはタブロイド版とターゲット別に出し分け、ブランドに込めた「想い」を顧客に丁寧に伝えた。
◆細部の記載や紙質に至るまで配慮したDM
◆画像元:シニアの解約を阻止! 簡単申込書で従来比UPの申込
3G携帯電話ユーザーに向けて、停波前に4Gまたは5G対応機種へ変更してもらうことを目的としたDM。主なユーザーであるシニア層からの反応は想像以上に良く、申込書の返送期限日時点で従来DMを超える申込書による加入となり、目標を大きく上回る結果となった。
◆家族で何度も来館して楽しめる! RPG風DM
◆画像元:夏のハワイの大冒険
ハワイアンズの広い施設をくまなく歩いて、今まで知らなかったハワイアンズの一面を知ってもらいたいとの思いから、施設のあらゆるものを対象にミッションを設定し、一つひとつクリアしながら施設内を冒険してもらえるDMを制作した。
優秀なクリエイターたちに評価の場を提供
マス広告とは異なり受け取った人にしかわからない、いわゆる「閉じた」メディアであるDMは、具体的な事例が手に入りづらく、なかなかその効果や特性を知る機会がない。それと同時に、緻密な戦略に基づいて制作されたDMが、ほとんど評価されることなく埋もれてしまっているのも事実だろう。
こうした背景から「全日本DM大賞」は、広告メディアとしてのDMの役割や効果を広く紹介するとともに、その企画制作に携わった優秀なクリエイターたちに評価の場を提供したいという想いのもと、1987年から毎年実施されている。
デジタルに移行しつつある現代だからこそ紙でしか再現できない表現、訴求方法が効果的となるのかもしれない。DM市場の動向に今後も注目したい。