「円安」による値上げが秋以降広がる可能性 帝国データバンクが食品の値上げ動向と展望・見通しを公表

ECのミカタ編集部

5月の食品値上げ417品目 「原材料高」が再燃 「円安」値上げ、秋以降広がる可能性

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は2024年5月以降における、食品の値上げ動向と展望・見通しについて分析を実施、結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

◆対象期間:2024年4月30日9:00時点
◆調査機関:株式会社帝国データバンク
◆出典元:5月の食品値上げ417品目(株式会社帝国データバンク)
※品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウント。値上げ率は発表時点における最大値を採用している。なお、価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含む。

5カ月連続で前年同月を下回る

主要食品メーカー195社における、家庭用を中心とした5月の飲食料品値上げは417品目となった。

前年同月(837品目)と比較して420品目・50.2%減と、5カ月連続で前年同月を下回ったほか、2カ月ぶりに1000品目以下の水準にとどまる結果に。

値上げ1回あたりの平均値上げ率は、5月単月で31%。オリーブオイル製品や大型PETボトル飲料などで大幅な価格引き上げが行われたことを背景に、単月としては2022年以降初めて30%台を記録した。

原材料高による値上げが再燃

2024年の値上げ要因において「原材料高」の割合が高まっている。

また、プラ製容器などの価格が上昇した「包装・資材」(66.5%)、2024年問題などで輸送コスト上昇が続く「物流費」(60.1%)、輸入コスト増となる「円安」(28.9%)、賃上げによる影響が出始めた「人件費」(28.2%)による値上げも、それぞれ23年同期を上回る水準で推移。

中でも「人件費」は、前年同期(8.8%)から3倍の水準で推移するなど大幅上昇をみせた。

急速に進む「円安」が懸念材料か

34年ぶりの安値で推移する円ドル為替相場は、2022年半ば~23年前半の値上げラッシュを引き起こした当時の円安水準を超えており、原材料を海外からの輸入に頼る企業では一層のコスト増が見込まれる。

賃上げによる人件費や、物流費でもコストアップが続いており、飲食料品への値上げ圧力は今後も相当に高まることが予想されるだろう。

こうした状況を踏まえ、2024年後半の値上げは店頭での値下げ圧力とコストアップの板挟みとなりながら、当面は月平均1000品目前後、年間で最大1.5万品目の値上げペースで推移すると予想されている。

しかし、1ドル150円台後半の円安水準が長期化、または円安が一段と進行した場合、今秋にも円安を反映した値上げラッシュの発生も想定される。その場合、当初予想の品目数から上振れする可能性も十分あるだろう。

今後も急激に進む「円安」や実質賃金の低下などを背景に、消費者の節約意識は一層強まることが考えられる。各事業者は常に最新の動向に注目しつつ柔軟な対応、施策を検討する必要があるだろう。


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