西濃運輸が2024年3月期決算を発表、運賃は今後どうなる?
2024年5月14日、セイノーホールディングス株式会社は2024年3月期の決算説明会を行った。国内の輸送物量の低迷が続いたことから、営業利益は前年比約-18%と減益。2025年の増益に向けた今後の施策が示された。EC事業者が注目すべき西濃運輸の運賃改定面を中心に、説明資料を解説する。
売上は増収も物流減の影響で営業利益は減益
セイノーホールディングス株式会社(以下、同社)が24年5月14日に行った決算説明会では、24年3月期の損益計算書が示され、売上高は6428億1100万円と前年比で1.8%の増収になり、予想比の+0.7%を大幅に上回った。
一方で営業利益は234億300万円と、前年比で17.9%の減益。当期純利益は145億6100万円で、前年比-23.4%の減益となった。
※引用元:2024年3月期決算説明会資料 セイノーホールディングス株式会社
減益の大きな要因は、輸送事業での物量減だ。不特定多数の荷主の商品を一台の車両に積載し、商品の積み下ろしを行う拠点間を幹線輸送で行う「特積み」の物量が3.5%減少したことが、減益につながった。
物量減少にもかかわらず売上高が増収となったのは、自動車販売事業などの貢献が大きい。メーカーの生産台数が回復したことにより、完成車の納車が進んだことで増収となった。また、家庭紙販売やふるさと納税返礼品が好調であったことから、物品販売事業も増収・増益。新規賃貸物件の寄与から、不動産賃貸事業も増収・増益の結果となっている。
※引用元:2024年3月期決算説明会資料 セイノーホールディングス株式会社
連結営業利益の増減要因としては、やはり特積みの減収が目立つが、貸切やロジスティクスは伸長。営業費用は人件費の減少があったものの、自動車販売事業での販売台数増加や新規連結の影響から全体的には増加した。
物量はだんだん上向きに、適正運賃収受で単価アップ
※引用元:2024年3月期決算説明会資料 セイノーホールディングス株式会社
EC事業者として注目したいのが、西濃運輸における荷物単価の上昇率だ。グラフが示すとおり、特積みにおける物量はいったん落ち込んだものの現在は回復に向かっている。そしてkg単価は緩やかに上昇し、通期前年比で101.7%の実績となっている。
※引用元:2024年3月期決算説明会資料 セイノーホールディングス株式会社
西濃運輸では、2年以上改定のない顧客を中心に、全地帯別での適正運賃収受を展開した。これによりkg単価は上がったが、ターゲットに対し半数の改定にとどまったことから、目標値の前年比101.9%には届かなかった。また、改定荷主の単価改善幅を10%と見込んでいたが、結果としては5%にとどまった。
2025年3月期の目標と5年ぶりの運賃値上げへ
2025年3月期の業績予想は、売上高6587億円。前年比で2.5%の増収を目指す。また、営業利益は309億円と、前年比32.0%の増益予想だ。注目すべきは輸送事業の業績予想で、229億円と前年比49.9%を目指している。特積み単価を103.9%にまで引き上げる想定だ。
※引用元:2024年3月期決算説明会資料 セイノーホールディングス株式会社
輸送事業の施策としては、5年ぶりの改定となる新運賃表を6月にリリース予定。2024年問題などに対応した新運賃により、適正運賃収受の裾野を拡げる考えだ。一般便・宅配便で、地域・距離・重量によって10~20%程度の上げ幅が予定されている。
EC事業者は大幅な運賃の値上げに備え、現在設定している送料等の見直しが必要になるだろう。
※参考:2024年3月期決算説明会資料 セイノーホールディングス株式会社
運賃改定のお知らせ 新届け出運賃(24年運賃)の適用を開始 2024年05月14日