6月16日は「父の日」! 5つの調査に見る2024年「父の日」トレンド

星野新【MIKATA編集部】

「父の日」は毎年6月の第3日曜日。2024年は6月16日で、ギフト系ECサイトを含めて各ショップでは関連キャンペーンが佳境を迎えている。

そんな「父の日」ギフトの今年の傾向は? 6月16日が近づくなかで各社から発表されている5つの調査・アンケートを基に、2024年の「父の日」トレンドを探った。

※本記事では、それぞれの調査から編集部が特徴的な回答結果を取り上げた。調査の詳細は各公式サイトを参照

Q:今年の父の日に贈りたいものは何ですか?(父の日.jp調べ)

出典:父の⽇.jp「【2024年版】今年の父の日に贈りたいものは何ですか?」より
調査概要
■調査エリア:全国
■調査主体:父の日.jp
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:10代~60代の男女669名
■調査期間:2024年2月26日~3月17日

「お酒・ビール」類の人気が微減、実用的ギフトが増加傾向
まずは父の日に特化した情報メディアサイト「父の日.jp」の調査から。この調査によれば、「2024年の父の日に贈りたいもの」のトップは「食品・グルメ」の33.2%。「お酒・ビール」は26.0%で2位だが、この割合は2年連続で微減している。調査対象・集計人数が異なるので単純比較はできないものの、「お酒・ビール」を贈りたいと答えた人の割合は、2023年版同調査で27.2%、2022年版同調査では30.0%だった。

代わりに2024年の調査で昨年の同調査よりも割合が伸びたのが「健康・生活雑貨」と「ファッション・アクセサリー」だ。「健康・生活雑貨」は2022年版で11.6%、2023年版で7.5%と下がったが2024年版で9.4%と増加。同じく「ファッション・アクセサリー」は2022年版で6.3%、2023年版で7.3%、2024年版では9.3%と伸びた。

「父の日.jp」ではこの結果を、①お父さん(お義父さん)の高齢化が考えられる、②健康に気を付けて長生きしてほしい。という考えから、健康を考えた実用的ギフトの人気がある、と考察している。

参考:【2022年版】今年の父の日に贈りたいものは何ですか?(父の日に関するアンケート調査)
参考:【2023年版】今年の父の日に贈りたいものは何ですか?(父の日に関するアンケート調査)

Q:「父の日」のギフトに贈ってみたいファッションアイテムは?(株式会社AOKI調べ)

出典:株式会社AOKI公式サイトより
調査概要
■調査期間:2024年3月28日
■調査機関:Knowns株式会社
■調査方法:webアンケート
■調査対象:20代から50代 男性・女性
■有効回答数:1006サンプル

意外!? ネクタイは4位。1位はホームウェア
続いて、ファッションアイテムにフォーカスした株式会社AOKIによる調査を取り上げよう。同社が行った「父の日のギフトに関するアンケート」での、「『父の日』のギフトに贈ってみたいファッションアイテムは?」という質問に対して、1位が「ホームウェア」、2位が「ポロシャツ・Tシャツ」、3位が「革小物(名刺入れ・ベルトなど)」、そして4位が「ネクタイ」だった。ギフトの定番である「ネクタイ」が4位だったことに関して、同社では「服装の自由化が加速したことや、ギフトを贈る6月中旬はクールビズのシーズンとなっていること、色柄など好みが分かれやすいことが理由として考えられます」としている。

また、同調査では男性に限定して「父の日のギフトとしてもらってみたいアイテム」も聞いており、「食べ物」「お酒・ビール」「食事・旅行などモノ以外」に次ぐ4位に「ギフトカード(e-ギフト)」が、5位に「健康グッズ」がランクイン。ギフトのデジタル化と、コロナ禍を経てウェルネスへの意識の高まりを読み取っている。

Q:2024年の父の日に向けて、今年はどんなものが欲しい?(「LINEギフト」調べ)

出典:LINEヤフー株式会社プレスリリースより
調査概要
■LINEギフト調べ
■調査期間:2024年5月1日から2024年5月5日
■調査対象:LINE公式アカウントの45歳以上の男性の友だちに調査 /「父の日のギフトをもらったことがあると回答した方」を対象(n=742)
※複数回答

eギフト、ソーシャルギフトは駆け込み需要の受け皿にも
前項で“ギフトのデジタル化”というキーワードをあげたが、「LINE」のトークを通じて友だちとギフトを贈り合うことができるサービス「LINEギフト」も、「父の日」に関する調査を発表している。2023年の父の日における「LINEギフト」の人気カテゴリは、「お酒」「グルメ」がともに32%と同率となり、次いで「スイーツ」が14%という結果に(昨年父の日:2023年6月18日の配送ギフトの売り上げより)。そしてLINE公式アカウントの45歳以上の男性の“友だち”を対象に「今年(2024年)はどんなものが欲しいかを聞いたところ、「松阪牛ステーキ【おまかせ4種】」や「国産うなぎ3種ギフトセット」「いいちこフラスコボトル」「和栗モンブラン栗千本(黄金)」といった昨年の人気カテゴリの商品が引き続き人気を集めた。

ちなみに「LINEギフト」は、2024年の「母の日」当日の流通額が前年比約160%(2023年5月14日と2024年5月12日の当日流通額比)となり、1日における流通額と利用者数の過去最多を更新(※1)。eギフト、ソーシャルギフトが、“駆け込み需要”の受け皿になっていることをうかがわせた。

※1:サービスの提供を開始した2015年4月3日以降、2024年5月12日が「1日における流通額」「1日における取引者数」の過去最多を更新。LINEヤフー株式会社プレスリリースより

Q:父としての自分にご褒美をもらえるとしたら、今年の父の日にはプレゼントに何がほしいですか?(「キッズライン」調べ)

出典:株式会社キッズラインプレスリリースより
調査概要
■調査主体:株式会社キッズライン
■調査対象:0~17歳の子を持つ父親265名
■調査方法:インターネット調査
■調査期間:2024年5月17日から2024年5月27日

0~17歳の子を持つ父親が一番ほしいものは「感謝の言葉」
では“父”本人は、どんなプレゼントがほしいと思っているのだろう。ベビーシッター・家事代行サービス「キッズライン」を運営する株式会社キッズラインが、0歳から17歳の子どもをもつ父親265人から集めた回答を見てみよう。
「父としての自分にご褒美をもらえるとしたら、今年の父の日にはプレゼントに何がほしいですか?」という問いに対して、1位は「感謝の言葉や手紙・手作りの品(20.0%)、2位が「家族みんなで過ごす時間(18.9%)」。さらに3位に「何もいらない(16.6%)」、4位に「自分だけの時間(15.1%)」と続き、アイテム(物)」は9.4%で5位という結果となっている。

同調査では「育児に関して今後どのようにしていきたいか?」も聞いており、49.1%の回答者が今よりも育児に時間を当てたいと考えているという結果が出ている(※2)。0歳から17歳の子どもをもつ父親が対象のため、前出の3調査と横並びで捉えることはできないものの、“令和の父親像”の一端が見える結果と言えるだろう。

キッズラインでは、有配偶の男性の長時間労働についても触れつつ、仕事と家庭との両立に多くの父親が頭を悩ませていることに言及。父の日のプレゼントに家族から「感謝の言葉や手紙・手作りの品」がほしいという父親の回答の背景には、令和の父親が置かれた板挟みの状況がある」と考察している。

※2:「育児に関して今後どのようにしていきたいと考えていますか?(直近1年程度を想定してお答えください)」という質問に対して、「もっとたくさんの時間を育児に充てたい」17.0%、「もう少し育児に関わる時間を増やしたい」32.1%、「今と同じくらい関わっていきたい」が38.1%だった

Q:プレゼントの金額はどの程度を考えていますか?(日本生命保険相互会社調べ)

出典:日本生命保険相互会社ニュースリリースより
アンケート概要
■実施期間:2024年5月1日から5月16日
■実施方法:インターネットアンケート(「ずっともっとサービス:」のサンクススマイルメニュー)
■回答者数:1万5351名(男性:7403名、女性:7689名、その他・無回答:259名)。「ずっともっとサービス」のサンクスメニューの一つとして、ホームページ(http://www.nissay.co.jp)内の「ご契約者様専用サービス」にて、「父の日」に関するアンケート調査を実施

贈る人の予算と、贈られる人の希望額には平均で1364円の差
最後に「父の日」のプレゼントにかける金額について、日本生命保険相互会社(以下、ニッセイ)が行ったアンケート調査を取り上げよう。

幅広い年齢層の男女1万5000人以上から回答を得たこの調査では、父の日のプレゼントを「贈る」と回答した人は68.5%。「贈る」と回答した人への質問として「プレゼントの金額」を聞いたところ平均予算は6001円だった。それに対して、贈られる人の平均希望金額は4637円で、1364円の差があった。

その内訳を見ると“贈る側”は「3000円~5000円未満」が36.7%と最も多く、「5000円~1万円未満」が28.1%、「3000円未満」が23.0%と続いた。一方、“贈られる側”が「3000円未満」が29.4%と最多で、次いで「お金をかけない(23.8%)」「3000円~5000円未満(22.0%)」となっている。

同リリースでは、“贈られる側”の欲しいものの上位3つが「食事(21.2%)」「手紙・メール・絵・手作りの品(18.7%)」「酒類(17.7%)」だったことも踏まえ、贈る側と比べて、贈られる側には「品物を贈られることよりも気持ちを重視している様子」がうかがえると分析している(※3)。

※3:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 上席研究員 久我尚子氏のコメントとして

“贈る側”の気持ちに寄り添い、「父の日」を顧客との関係を築く機会に

「母の日(毎年5月の第2日曜日)」に比べて存在感がないと言われることもある「父の日」だが、ECを含めてギフト商材を扱う事業者にとって販促のチャンスであることは間違いない。また「父の日.jp」の別の調査(※4)によれば、父の日ギフトは「ネット検索で調べて探す」と回答した人が44.4%で最も多く、実店舗に見に行って探す(32.7%)を上回っており、ネット販売との相性の良さもうかがえる。

6月16日の「父の日」商戦は大詰めを迎えているが、事業者としてはそれぞれの調査・アンケートでも見える消費者の多様なニーズにマッチした施策が求められる。そのうえで、“贈る側”の気持ちに寄り添ったギフトラッピング対応や配送にも注意を払うことで今後のリピート購入につなげられれば、顧客との関係を構築する機会ともなりそうだ。

※4:(調査エリア:全国/調査主体:父の日.jp/調査方法:インターネットリサーチ/調査対象:10代~60代の男女(計669名)/調査期間:2024年2月26日~3月17日)

出典:父の⽇.jp「【2024年版】父の日ギフトはどのように探していますか?(父の日に関するアンケート調査)」より