企業の想定為替レート、平均1ドル=140.88円に TDB調査

ECのミカタ編集部

企業の想定為替レートに関する動向調査(2024年度)

株式会社帝国データバンクは2024年6月24日、「企業の想定為替レートに関する動向調査(2024年度)」の内容を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

◆調査期間:2024年5月20日〜31日
◆調査対象:全国2万7104社
◆調査方法:インターネット調査
◆有効回答企業数:1万1410社(回答率42.1%)
◆分析対象:想定為替レートを設定している企業2466社
◆出典元:企業の想定為替レートに関する動向調査(2024年度)(株式会社帝国データバンク)
なお、想定為替レートに関する調査は2017年以降、毎年実施しており、今回で8回目となる。

昨年よりも大幅な円安水準が想定

2024年5月時点での企業の想定為替レートは、「平均1ドル=140.88円」(以下、1米ドル当たりの円レートを示す)となった。前年4月の127.61円から13円27銭安と大幅な円安水準を想定しており、中央値は145円、最頻値は150円だった。

企業からは「企業業績としては為替が追い風となる」(ゴムベルト製造、135円)や「インバウンド訪日客の増加で賑わいがある」(損害保険代理、150円)など、円安の好影響を受けた意見がみられた。

一方、「円安による価格の高騰、販売価格の上昇にともなう販売数量の減少で利幅、売上高とも減少」(家庭用電気機械器具卸売、112円)といった、物価高騰に対する懸念もあげられる。

「直接輸入」と「直接輸出」で異なる想定

輸出・輸入別に想定為替レートをみると、事業として直接または間接的に「輸出」を行っている企業では143.11円となった。

他方、「輸入」を行っている企業では144.56円と輸出企業より1.45円程度円安の水準を想定している。特に、「直接輸入のみ」(145.89円)を行っている企業は、「直接輸出のみ」(141.98円)を行っている企業よりも3.91円円安の水準を想定していた。

規模別では、「大企業」は144.16円、「中小企業」は141.54円、中小企業のうち「小規模企業」は138.14円に。規模が大きくなるほど、円安を想定する傾向が見受けられる。また、「直接輸入のみ」を行っている業では、「大企業」(146.22円)は「小規模企業」(142.98円)よりも3.24円円安の水準を想定している。

想定レートよりも大幅な円安の水準が続く

本調査によると、2024年度の想定為替レートは平均140円88銭であることが判明した。

2017年以降、実際の外国為替レートと想定レートに大きな差異はなかったが、2021年後半以降の実勢レートは想定レートよりも大幅に円安の水準が続いている。

2024年には、名目為替レートは年初から半年で約10円も円安が進み、最近では150円台後半で推移。企業が適正と考える為替レートは「1ドル=110円台〜120円台」とされている(※1)。

引き続き実勢レートとの乖離による輸入物価を通じた、企業収益の悪化を招くリスクに注視する必要があるだろう。

※1 関連記事:円安の進行により企業の6割以上が「利益にマイナス」と回答 円安に関する企業の影響アンケート(2024年5月)


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