経済産業省、「令和6年版通商白書」を閣議配布 企業のグローバルな成長拡大を強化

ECのミカタ編集部

「令和6年版通商白書」を取りまとめました

経済産業省は2024年7月9日、「令和6年版通商白書」を取りまとめ、閣議配布した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

持続可能なサプライチェーンを構築する必要

「令和6年版通商白書」では第一に、世界経済の分断の危機が見られる中、ルールベースの国際貿易秩序の再構築が急務であるとされた。

そのためにも今後高い成長が見込まれ、重要鉱物・物資等のサプライチェーン強靱化の観点からも重要なパートナーとなりうるインドなどのグローバル・サウス諸国との連携強化が重要となる。

また、近年のコロナ禍や地政学的なリスクの高まりによって、特定の国への過度な依存によるリスクが顕在化していることを指摘。

※画像元:令和6年版通商白書(経済産業省)
※2022年の実績値、HS2桁分類ごとに集計

持続可能性や信頼性等の原則やそれに基づく要件が適切に考慮されるような、公平な競争条件を確保するために、同志国で協調して「透明・強靱で持続可能なサプライチェーン」を構築していく必要があるだろう。

2027年までに10兆円規模のスタートアップ投資

第二に、円安は輸出の好機にも関わらず、輸出数量の伸び悩みが続くと指摘。国内回帰の機運も高まる中、輸出力の強化が課題であると示された。

また、中堅企業を含めてグローバルな競争に勝ち抜ける企業の育成が重要であることも指摘。輸出拡大の大きなポテンシャルがある一方、リソースや情報・ノウハウの不足が課題であるとした。

国内におけるスタートアップ投資は対GDP比で見ると主要国と比べ低水準となっている。そのため、スタートアップの海外展開を後押しするために、「スタートアップ育成5カ年計画」を実行。2027年までに10兆円規模のスタートアップ投資を目指すと示された。

※画像元:令和6年版通商白書(経済産業省)

中長期的にアジアの存在感が大きくなる

「令和6年版通商白書」は国際経済動向や通商に影響する諸外国の政策の分析を通じて、通商政策の形成に貢献するとともに、国民等に対して通商政策を基礎づける考え方や方向性を示すことを目的に作成。毎年閣議配布が行われており、今年で76回目となる。

前述した通り、主に以下2点が今回の主要なメッセージとして明記された。

◆世界の分断が懸念される中、ルールベースの自由な国際貿易秩序の再構築が急務
◆企業のグローバルな成長拡大を強化


また、中長期的にアジアの存在感が経済規模、貿易の双方で大きくなる見込みであるとも指摘されている。越境EC市場における今後の動向を推測するために、本書の内容は大いに参考になるだろう。


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