153事業者に改善指導 東京都「令和5年度 インターネット広告表示監視事業」報告

ECのミカタ編集部

令和5年度インターネット広告表示監視事業 実施報告

東京都は2024年7月18日、ショッピングサイト等の誇大・不当な広告表示に関する「令和5年度の監視・指導結果」を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

153事業者を対象に指導を実施

今回、16000件のインターネット広告を監視した中で、景品表示法に基づく指導は「153事業者(156件の広告)」にのぼった。

※複数の内容に違反する広告があるため、指導件数の合計とは一致しない。
注1:優良誤認:商品やサービスの品質、規格などについて、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示
注2:有利誤認:商品やサービスの価格などについて、実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
注3:雑貨:美顔器、家庭用EMS機器、ウェアラブルデバイスなど
※画像元:令和5年度インターネット広告表示監視事業 実施報告(東京都)

「優良誤認」の一例としては、以下のような表示例があげられている。

◆健康食品
▷実際には、表示の裏付けとなる合理的な根拠を有していないおそれ
「飲むだけで脂の吸収を抑え簡単ダイエット」「寝る前に飲むだけ」「運動・食事制限なし!」等、この健康食品を摂取することで、運動や食事制限をすることなく、容易に痩身効果を得られるかのように表示していた。

◆化粧品
▷実際には、表示の裏付けとなる合理的な根拠を有していないおそれ
「たった1分で、驚きの美白体験」「目の下やフェイスラインのたるみを引き上げます」「マイナス10歳以上のお肌になれます」との体験談等、この化粧品を使用することで、容易に若返り等の強力な美容効果を得られるかのように表示していた。

◆商品・サービス全般
▷実際には、客観的な調査に基づいていなかったり、主張する内容が客観的に実証されていないおそれ
「お客様満足度No.1」「No.1ランキング6冠達成!」「顧客満足度99.7%達成!」等、競争事業者のものよりも高い評価を得ているかのように表示していた。

健康食品が最も多くなる

今回の「商品・サービス別指導件数」については、上位から以下のような結果となった。

◆健康食品(64件)
◆化粧品(39件)
◆雑貨(30件)
◆サービス(23件)

※画像元:令和5年度インターネット広告表示監視事業 実施報告(東京都)

本結果を受け東京都は2024年7月18日、関連の業界団体並びに検索サイト及びショッピングサイトの関係事業者(21団体)に対して、景品表示法及び関係法令の遵守について、より一層の周知を図ること等を要望するとともに、消費者庁に対して情報提供を実施した。

今後はSNS広告も監視対象に

東京都は令和6年度の広告表示監視事業に向けた新たな取り組みとして、「SNS等において表示される広告」についても新たに監視事業の対象とすることを公表。消費者に対して誇大・不当な広告を見つけたら「悪質事業者通報ホームページ」へ情報提供することを呼びかけた。

現在、サプリメントによる健康被害件数増加などを背景に、広告表示に対する取り組みを強化している。

消費者庁は2024年に入り、商品に対する「No.1表示」の実態調査を実施し、適切ではない表示の取り下げや再発防止を命令(※1)。また、公益社団法人日本通信販売協会も「2023年度通販広告実態調査報告書」を通して、問題ある広告手法について指摘している(※2)。

「〇〇するだけ」「薬や医療行為のような効果表示」「期間限定」「No.1」といった、消費者に誤解を与える恐れがある表記には十分注意しなければならない。不適切な広告表示によってブランドイメージが損なわれる可能性も考えられる。事実に基づいた内容情報をベースに、消費者に伝わりやすい広告表現を改めて徹底する必要があるだろう。

※1 関連記事:ニトリやエクスコムグローバルにも指摘 「No.1表示」消費者庁が実態調査へ〜景表法で法的措置事件の概要も公表
※2 関連記事:「No.1表示」「体験談や使用者画像」「カウントダウンタイマーや在庫表示」は要注意! 2023年度通販広告実態調査報告書


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