2024年「中国進出」の日本企業はピーク時から約1300社減 帝国データバンク調査

ECのミカタ編集部

中国進出の日本企業、ピークから1千社・1割減

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は2024年8月1日、日本企業の「中国進出」動向調査の結果を公表した。本記事では一部調査結果を抜粋して紹介する。

対中進出意欲はピークアウトの傾向

2024年6月時点における、中国(香港・マカオ両特別行政区を除く)に進出する日本企業は1万3034社を数えた。

2015年(1万3256社)以降の10年間で、222社減少となった他、過去の調査で最も進出社数が多かった2012年(1万4394社)と比較して、1360社減少。対中進出意欲はピークアウトの傾向が見受けられることが判明した。

2010年の調査開始以降で最少となった前回調査の2022年(1万2706社)と比較すると、新たに現地法人や工場拠点、駐在事務所などを開設した「新規参入」が1571社、拠点閉鎖など「撤退・所在不明」が1243社判明し、2年間で328社の純増となった。

日本企業で対中投資マインドに悪化の兆しがみられる中、コロナ禍で中国ビジネスの見直しが急速に進んだ2020~22年に比べると、総じて日本企業の進出数は微増で推移する形となった。

※画像元:日本企業の「中国進出」動向調査(2024年)(株式会社帝国データバンク)

ひときわ目立つIT産業の進出

業種別(日本国内の事業内容に基づく)においては「製造業」の5139社が全体の約4割を占め最大に。自動車や電化製品など機械器具製造関連で多く、金型製造や各種工作機械、半導体製造装置製造といった業種が特に多くなった。また、「卸売業」の4218社がそれに続き、製造・卸売の2業種で全体の7割超を占めた。

前回調査(2022年)との比較では、8業種すべてで進出企業数が増加。なかでも、「サービス業」は社数ベースで81社増と最も多く、とりわけIT産業の進出が目立つ。この数値は、進出社数で全8業種中2番目に多い卸売業(64社増)を上回る増加となったほか、2010年以降で最多となった。

ゼネコンなどの総合工事業や設備工事業などの増加も目立ち、2023年にかけて活発化した、中国国内のインフラ開発などが相次いだことも、日本の建設業が中国への進出を決めた要因とみられるだろう。

※画像元:日本企業の「中国進出」動向調査(2024年)(株式会社帝国データバンク)

BtoC産業では進出企業数が増加すると予測

現在、生産拠点を中心に再編や統合、売却を行い、日本国内へ回帰するケースや、ベトナムやカンボジアなど東南アジアへ経営資源を移転・集中させる動きも見受けられる。中国市場を「輸出基地」として捉え、進出を続けてきた製造業などでは、長期的に企業数の減少傾向が続く可能性があるだろう。

一方で、少子高齢化が進む中国に対し介護サービス産業の輸出や、人気の高まる日本食レストランの出店など、中国国内の新たなビジネスチャンスに焦点を当てた進出事例も存在する。こうした状況から、小売業やサービス業といったBtoC産業では進出企業数が増加傾向で推移することが考えられそうだ。

中国事業の「予見できないリスク」が近年急速に高まり、「脱・中国」の動きが進む中、日本も一部業種によっては事業規模の維持、縮小へと戦略を転換させつつある。また、東南アジア諸国や日本国内に拠点を移設、分散させるサプライチェーン再編の動きも目立ってきた。引き続き海外情勢に目を向けつつ、今後の施策を検討する必要があるだろう。


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