楽天SKUプロジェクトについてわかりやすく解説。移行しないのはあり?
楽天市場ではかねてよりSKUプロジェクトへの移行を推奨しています。
本プロジェクトに対応することは単純に商品登録の方法やサイトでの見え方が変わるだけではなく、バックヤードとの連携をはじめ、楽天市場主催のセールへの参加申請などにも影響が出てきます。
大なり小なり売上への影響も出てくるので、全体像を把握して慎重に判断すべき事項です。
この記事では、SKUプロジェクトの概要から変わる点、出店店舗がやるべきことについて解説していきます。
SKUプロジェクト移行に関して悩みがある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
なお、この記事では2024年8月時点の情報を掲載しています。
楽天市場のSKUプロジェクトとは
楽天のSKUプロジェクトとは、分かりやすく一言でいうと「商品登録の単位がアイテム単位からSKU単位へ変更されるプロジェクト」のことです。
以前の楽天市場は同一商品であっても、個数違いなど、価格が異なる商品を販売する場合は別ページを設ける必要がありました。しかし本プロジェクト以降は、同一商品であれば価格違いであっても1ページで販売できるようになったのです。
これにより、ユーザーが商品ページをまたがずに同一商品を比較・検討・購入できるようになります。ユーザー利便性をアップし、買い物をしやすくすることが本プロジェクトの目的です。
そもそも、「SKU」とは
SKU(Stock Keeping Unit)とは、在庫管理や販売管理に使用される最小の管理単位を指します。SKUは、製品の種類、サイズ、色、仕様などを細かく区別するために使われます。
例えば3色展開のシューズで、サイズが10種類、横幅が2種類ある商品を取り扱う場合、SKU数は 3 × 10 × 2 = 60SKUとなります。
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SKUプロジェクトの移行時期はいつからいつまで?
SKUプロジェクトの移行時期は店舗によって異なります。
すでに店舗ごとのスケジュールがRMSのお知らせより通知され、順次そのスケジュールに沿って進められています。移行の期限はありませんが、移行希望の店舗はほとんどが移行完了している状況です。
以前のスケジュール案内時には「移行しない」と返答したものの、改めて移行を検討している場合は担当ECCに相談してみましょう。
また、SKUプロジェクトの移行で重要になってくるレビューの付け替え申請については、申請期日が設けられています。
2025年1月31日(金)午前9時59分までに申請を通さないと、レビューの統合ができなくなるので、SKUプロジェクトの移行期日はここを1つの目安としましょう。
SKUプロジェクトの移行は強制?
SKUプロジェクトの移行は強制ではありません。移行に際してメリット、デメリットがあるので、慎重に検討するようにしましょう。
ただし、商品数が多くなればなるほど移行時の作業負担が大きくなるので、早期移行するのが望ましいです。
【店舗向け】楽天市場のSKUプロジェクトのメリット・デメリット
このパートではSKUプロジェクトのメリット・デメリットを紹介します。まずはメリットをみていきましょう。
メリット
メリットは次の通りです。
- 同一商品を1ページで販売可能になるのでユーザーの回遊性が向上する
- 同一商品を1ページで閲覧・検討・購入できるようになり、CVRの向上が期待できる
- 複数SKUを同一ページで販売することで販売実績が積みやすくなる
- 楽天サーチ上でバリエーションを表現できる
同一商品を1ページで販売することで、ユーザーは価格やサイズ・色違いの商品を比較しやすくなります。これまでは似た商品を見たい場合、ユーザーは別ページへ飛ぶ必要がありました。
SKUプロジェクトに移行することで、ユーザーの利便性が向上し、商品の購入率や購入数のアップが期待できるでしょう。
デメリット
デメリットは次の通りです。
- 移行に際し、バックヤードを含めた各種連携を見直す必要があるので手間
- レビュー以外の評価は引き継がれない
- 商品属性をSKU移行日から180日以内に登録する必要がある
- 楽天スーパーSALEサーチ申請などで、全SKUが審査基準を満たす必要がある
主に、仕様変更に対応するための工数を要することがデメリットといえます。
また、これまで検索結果で複数のSKUが表示されていた場合は、1つに集約されるので、画面占有率が落ちる点はデメリットとして捉えることもできます。
ただし、ユーザーにとっては複数店舗の商品を比較しやすくなるので、メリットが大きいといえるでしょう。
楽天市場のSKUプロジェクトに移行しないのもアリ?
前述の通り移行は強制ではないので、移行しない場合も規約上は問題ありません。
しかし、ユーザーの利便性のことを考えると、移行していない店舗のページは「使いにくい」という印象を持たれる可能性があります。
ユーザーに利便性の低いページと認識されると、検索結果に表示されにくくなったり、商品ページからの離脱率が上がったりなどのマイナスの影響があるでしょう。中長期的にみると、売上にも影響を及ぼしかねないので、早期移行するのが望ましいといえます。
楽天市場のSKUプロジェクトで変わる点
楽天市場のSKUプロジェクトで変わる点は以下の通りです。
さまざまな仕様変更に伴い、作業面にも大きな影響があるので理解を深めましょう。
商品ページ
商品属性が商品仕様としてページ下部に表示されるようになります。
例えば、カラーやメーカー型番、シリーズ名、原産国などです。これらの情報も検索対象なので、ユーザーは欲しい商品をより見つけやすくなります。
レビュー欄の仕様
複数商品を同一ページにまとめるため、レビューも新しいページに集約されます。これまでは別々のレビューページが存在していましたが、異なるSKU商品も1つのページでレビュー表示されるようになります。
商品登録の設定(CSVの仕様)
商品登録においては、CSVの仕様が大きく変更になります。
まず、従来用いていたCSVは一部廃止され、SKUプロジェクト以降は新しいCSVが導入されています。
廃止されるCSV | 新しいCSV |
---|---|
item.csv select.csv |
normal-item.csv item-delete.csv |
なお、「item-cat.csv」についてはこれまで通り使用できます。
これまで「item.csv」を用いて1商品1行で入力していた情報は、SKUプロジェクト以降、「normal-item.csv」を用いて、以下の3つの行に分けて商品情報を入力する必要があります。
- 商品レベル行
- 商品オプション行
- SKUレベル行
またSKU管理番号、システム連携用SKU番号、SKU倉庫指定、商品属性といった新しい項目も追加され、商品登録時に入力すべき必須事項が増えています。
ユーザーが商品を見つけやすくするための必要情報ではありますが、商品登録にかかる工数が増えることが見込まれるので、効率的な方法を模索していくのがよいでしょう。
商品登録の一括編集はCSVを用いるのが便利
工数のかかる商品登録に便利なのがCSVによる一括編集機能です。
利用にあたって月額1万円(税抜)の費用がかかりますが、一括で商品登録や情報修正ができ、工数を大幅にカットできるのでぜひ活用しましょう。
価格の表示
価格違いの複数SKUを取り扱えるようになるので、異なる価格登録がある場合は「〇〇円〜」という表記となります。ユーザーがSKUをクリックした際に、「〇〇円」と商品価格が表示される仕組みです。
この仕様変更により、同一商品でも特定のサイズや色だけを値下げするといったことが可能になりました。
画像の表示方法および登録枚数
SKUプロジェクトによって、SKU画像を登録できるようになりました。検索結果などでは従来通り商品画像1枚目に登録した画像が表示されますが、商品ページでユーザーがSKUを選択した場合に、登録してあるSKU画像に1枚目が切り替わる仕様です。
SKUプロジェクト以降も、楽天市場のスマートフォンサイトに表示できる商品画像の上限枚数は20枚から変更ありません。SKUが増えると登録したい商品画像も増えるので、どの画像を登録するか厳選する必要も出てくるでしょう。
また、SKU画像は商品画像ガイドラインの内容に適したものを用意する必要があります。対象の画像がガイドラインに準じているかは、RMSの判定ツールにて確認可能です。
楽天市場のSKUプロジェクトに移行するために店舗がやること
楽天市場のSKUプロジェクトに移行するために、店舗が対応すべきことを紹介します。
商品属性について再検討する
商品属性のうち必須項目に関しては、移行後180日以内に登録する必要があります。180日経過後に登録がない場合、商品登録時にエラーが出て、登録ができなくなるので注意が必要です。
期日までに取扱商品の必須項目を把握し、自社で持っているマスタデータから抽出が可能かを確認しましょう。
また、どのようにしたら効率的に登録できるのか、手順なども含めて検討することが大切です。
SKU画像を準備しておく
前述の通り、SKU画像の登録ができるようになります。必須項目ではないので準備しなくても問題ありませんが、ユーザーの利便性を考慮すると設定するのが望ましいです。
全商品の画像を準備するのが難しい場合、主力商品やテキストベースでは分かりにくい商品だけあらかじめ準備するのがおすすめです。
SKU管理番号の仕組みの把握
SKUごとの固有の管理番号をSKU管理番号といい、移行時には必須項目となります。
SKU管理番号は同一ページ内での重複は禁止で、移行時には楽天側で自動採番される仕様です。新しい項目となるので、仕様への理解を深めておきましょう。
SKUの移行ではSEO対策も意識すべき?
SKUの移行ではSEOへの対策も考える必要があります。
とくに商品属性は検索対象や絞り込み対象になるので、必須項目は必ず登録し、任意項目もできるだけ多く登録できると競合店との差別化につながるでしょう。
楽天SKUプロジェクトに移行する際の注意点
移行時の注意点について解説します。
商品登録手順の見直しが必要になる
先述した通り、楽天SKUプロジェクトに移行する場合、商品登録周りの仕様変更が大きなポイントとなります。とくにCSVの仕様が大きく変わるので、商品登録や変更時の手順の見直しは必要です。
また、商品属性の必須項目によって入力すべき項目が増えるので、これまで使用してきたマスタデータで、すべての情報がまかないきれるのかについても確認しなければなりません。
不足している情報がある場合は、他部署との連携なども適宜必要になるでしょう。
楽天スーパーSALEサーチの申請
SKUプロジェクト以降は、楽天スーパーSALEサーチなどの二重価格が絡む申請時に注意が必要です。
サーチ申請は、申請するページに登録してあるすべてのSKUで審査をクリアする必要があり、1つでもNGの場合は審査落ちとなります。SKU数が増えれば増えるほど審査の難易度が上がるので、申請希望商品はSKU単位で販売実績を確認するようにしてください。
万が一販売実績が不足した場合、SKU単位で倉庫に入れることができるので、倉庫に入れて再審査に回すようにしましょう。
出典:楽天スーパーSALEサーチについて|楽天市場 公式ヘルプ
楽天市場への出店・運営に関するお悩みはプロに相談するのがおすすめ◎
楽天市場のSKUプロジェクトは、ユーザーの利便性向上を目的としたプロジェクトといえます。店舗側にとっても、購入率や購入件数の増加が見込める施策のため、できるだけ早く移行は済ませたほうがよいでしょう。
とはいえ、商品登録の変更やSKU画像の作成など、やるべきことや考えるべきことが多く、対応が後回しになってしまっている方もいるでしょう。
中長期的にみれば、好影響があることは分かっていても、事実として移行および商品登録時の工数は膨らむので、現実的にリソース不足で踏み切れていない場合もあります。
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