ECサイトにおけるタッチポイントとは。増やすメリットや効果的な使い方を解説

ECのミカタ マーケティング部

ECサイトにおけるタッチポイントとは。増やすメリットや効果的な使い方を解説

タッチポイントとは、顧客と企業の接点のことです。

顧客体験を改善して売り上げを伸ばすためには、顧客とのタッチポイントの活用が欠かせません。また、タッチポイントを増やし最適化することで、購入プロセスをスムーズに導くことができるようになります。

本記事では、ECサイトにおけるタッチポイントの具体例や効果的な使い方、増やすメリットなど、戦略的な活用法について解説します。

ECサイトの運営代行に関して相談してみる

タッチポイントとは

タッチポイントとは、企業と顧客が接触するあらゆる場面を指します。

ECサイトを含む現代のビジネスでは、顧客が商品やサービスに触れるきっかけは多岐にわたっていますが、すべてが「タッチポイント」です。タッチポイントを適切に管理・活用することで、企業は顧客の購買行動を促進し、長期的な関係構築につなげられます。

特に、オンラインの世界では物理的な接触がない分、顧客がどのようにして企業や商品と出会い、かかわりを持つかが売り上げや顧客満足度に大きな影響を与えます。

タッチポイントを理解することで、より効果的なマーケティング戦略を実行できます。

ECサイトにおけるタッチポイントとは

ECサイトでは、顧客が商品を購入するまでのあらゆる接点がタッチポイントになります。

ウェブサイトに訪れた際に最初に目にするページや、商品をカートに入れる過程、購入完了後に届く確認メールまですべてが顧客との大切なタッチポイントです。

さらに、ECサイトにおいては「新規顧客」と「リピート顧客」の双方が対象になります。

新規顧客に対しては、ブランドの魅力を伝える広告やSEOを通じた初期接触が大切です。一方、リピート顧客に対しては購入後のフォローアップや会員制サービスなど、ブランドへの愛着を深めるための施策が求められます。

チャネルとの違い

タッチポイントとチャネルは混同されがちですが、両者は異なるものです。

チャネルとは、企業が顧客に情報を届けるための手段や媒体のことであり、SNSやメール、ウェブサイト、電話などがチャネルに該当します。一方、タッチポイントは、チャネルを介して実際に顧客と接触する具体的な場面や瞬間のことをいいます。

チャネルはあくまで「顧客と接初するための手段」であり、タッチポイントは「接触の機会」です。

例えば、ECサイトにおいて、SNSというチャネルを使って顧客にアプローチした場合、その投稿や広告を見て顧客が実際にクリックする瞬間がタッチポイントになります。

画像リンクの例 画像リンク

顧客とのタッチポイントを増やすメリット

タッチポイントを増やすことは、ECサイト運営において大きなメリットがあります。

まず、複数のタッチポイントを提供することで、顧客が自分に合ったタイミングで商品やサービスに触れることができるようになり、購入促進につながります。

さらに、タッチポイントを増やすことで、顧客体験をよりパーソナライズされたものにすることが可能です。各タッチポイントで顧客の行動データを収集し、データに基づいたアプローチを行うことで、顧客は自分に合わせた対応を受けていると感じ、ブランドへの信頼感が増します。この信頼感が、リピート購入の向上に影響を与えます。

また、顧客フィードバックの収集機会を広げるという利点もあります。レビューやアンケート、SNSでのコメントなど、多くのタッチポイントを通じて顧客の声を集められるため、サービス改善や新たなマーケティング施策の発案に役立ちます。

ECサイトにおけるタッチポイントの種類例

ECサイトでのタッチポイントは、顧客の購買行動の各段階に合わせて設計されます。

購入前、購入時、購入後、それぞれのフェーズに応じた適切なタッチポイントを提供することで、顧客体験を向上させ、売り上げを最大化することが可能です。ここでは、各段階における具体的なタッチポイントの種類とその役割を説明します。

購入前のタッチポイント 購入時のタッチポイント 購入後のタッチポイント
SNS
広告
SEO施策
カート(購入画面)
支払い方法登録
各種問い合わせサポート
クーポン発行
期間限定品やセールの案内
ポイントシステム
会員ランク制度

購入前のタッチポイント

購入前のタッチポイントは、主に潜在顧客が商品やサービスを知り、興味を持つ段階です。SNSや広告、SEOなどが重要な役割を果たします。

SNSでは、企業のブランドイメージや商品に対する顧客の興味を引き出す投稿やキャンペーンがタッチポイントとして機能します。広告(ディスプレイ広告やリスティング広告)は、検索エンジンやSNSを通じて、ターゲット顧客に向けた情報を届ける役割を果たします。また、SEO対策は、検索エンジンの結果に企業のサイトやコンテンツが表示されるようにし、見込み顧客が自然な形でサイトにアクセスするタッチポイントを作ります。

購入前のタッチポイントは、購買プロセスの入り口になるので、適切なメッセージやビジュアルで顧客の興味を引き、次の段階へと進むきっかけを提供できるようにしましょう。

購入時のタッチポイント

購入時のタッチポイントは、顧客が商品をカートに入れ、実際に購入手続きを進める際に体験する部分です。

ECサイトでは、購入手続きの簡便さが重要で、住所や支払い情報の入力などがシンプルであることが、離脱を防ぐカギとなります。

入力項目が多すぎたり、確認画面が複雑だと、顧客が途中で購入をやめてしまう可能性が高くなります。

また、以下のように支払い方法の選択肢が多いことも重要なポイントです。

  • クレジットカード
  • 電子マネー
  • コンビニ払い
  • 代引き
  • 銀行振込

幅広い支払い方法が提供されていると顧客は「購入のしやすさ」を感じるでしょう。

さらに、購入手続き中に疑問や不安が生じた際には、チャット、メール、電話での問い合わせサポートが役立ちます。

リアルタイムでの対応が難しい場合でも、迅速な返信やサポートで顧客の不安を解消し、スムーズな購入を後押しすることが大切です。

購入後のタッチポイント

購入後のタッチポイントは、顧客が商品を受け取った後の体験を充実させ、リピート購入やロイヤリティ向上を促す部分です。効果的な例としては以下のような施策が挙げられます。

  • メールフォロー
  • リピート購入促進
  • ポイントシステム
  • 会員ランク制度

メールフォローでは、購入後のお礼メールや配送状況の連絡が一般的ですが、これに加えて、使い方のアドバイスや関連商品の提案を含めることで、顧客にとって有益な情報を提供できます。このようなフォローアップは、顧客が購入後もブランドとのつながりを感じる機会を作るでしょう。

リピート購入を促進するための施策としては、次回購入時に利用できるクーポンや、限定商品の案内などが効果的です。さらにポイントシステムや会員ランク制度を導入することで、顧客は特典を得られると感じ、繰り返しの購入が増える可能性が高まります。

【顧客の検討段階別】効果的なタッチポイントの使い方

ECサイトにおける効果的なタッチポイントの使い方は、顧客がどの検討段階にいるかを考慮して設計することです。

各段階におけるタッチポイントの効果的な使い方を解説します。

1)認知段階におけるタッチポイント

認知段階は、顧客がまだ商品やブランドについて知らない、もしくは興味を持ち始めたばかりの段階です。この段階では、まずは顧客に存在を知ってもらうことが目的となります。

認知段階における効果的なタッチポイントは以下のとおりです。

  • SNS広告
  • ディスプレイ広告
  • オーガニック検索によるサイト内コンテンツへの流入(SEO)

SNS広告では、インスタグラムやX(旧Twitter)などでブランドの世界観や商品の魅力をビジュアルで訴求し、ターゲット層の興味を引くことが重要です。

また、検索エンジンから自然にアクセスしてもらえるよう、ブログや特集記事を通じてSEOを強化することで、顧客のニーズに応える情報を提供し、ブランドとの最初の接点を築きます。

2)検討段階におけるタッチポイント

検討段階では、顧客はすでにブランドや商品に興味を持ち、購入を検討し始めていますが、ほかの商品やブランドと比較しているケースがあります。この段階でのタッチポイントは、信頼感を与え、顧客に「この商品が最良の選択である」と感じてもらうことが重要です。

検討段階での効果的なタッチポイントは以下のようなものがあります。

  • 製品の詳細な説明ページ
  • 顧客レビュー
  • FAQやサポートページ

製品ページでは、商品の特徴やメリットを明確に伝え、特に他社製品との差別化ポイントを強調することが効果的です。さらに、実際の顧客レビューや口コミが、この段階での信頼感を大きく高めます。

3)購入段階におけるタッチポイント

購入段階では、顧客が最終的に商品を購入する直前のステージにいます。ここでは、いかにスムーズかつ安心して購入できるかがカギになります。

購入段階における効果的なタッチポイントには、以下のような例が挙げられます。

  • シンプルで使いやすい購入システム
  • 豊富な支払い方法
  • 購入時のクーポン提供

購入ステージでは顧客が途中で離脱しないよう、入力ステップを最小限にし、直感的に操作できるUIが求められます。

さらに、購入を迷っている顧客に対しては、最後のひと押しとして、ポップアップなどでクーポンや割引コードを提示するやり方も有効です。

4.リピート顧客へのタッチポイント

顧客をリピーターとして定着させるためには、購入後のフォローアップが重要です。この段階では、商品を受け取った後の体験をどのようにして充実させるかがポイントになります。

リピート顧客に対して効果的なタッチポイントには以下のようなものがあります。

  • 購入後のフォローアップメール
  • リピート購入を促すキャンペーン
  • ポイントシステム

フォローアップメールでは、感謝の気持ちを伝えつつ、商品使用のアドバイスや関連商品を提案することで顧客との関係を深めましょう。また、次回購入時に利用できる割引クーポンや限定オファーを提供することで、再度の購入を促します。

さらに、ポイントシステムを通じて、顧客に特典やポイントを提供し、リピート購入を奨励することも有効です。購入後のタッチポイントを適切に設計することで、顧客を長期的なファンへと育てられます。

画像リンクの例 画像リンク

タッチポイント創出の戦略を立てるときのポイント

タッチポイントを創出する際は、タッチポイントの数を増やすだけではなく、戦略的に設計する必要があります。

顧客の購買プロセス全体を見据え、適切なタイミングで適切なタッチポイントを提供することで、顧客体験を向上させ、売り上げやリピート率を高められるでしょう。

ここからは、タッチポイント創出の際に考慮すべき重要なポイントについて解説します。

カスタマージャーニーの理解

タッチポイント戦略を立てる上で不可欠なのが、カスタマージャーニーの理解です。カスタマージャーニーとは、顧客が初めてブランドや商品を認知してから、購入、さらにはリピートに至るまでの道のりを視覚化したものです。

カスタマージャーニーの各フェーズにおいて、顧客がどのような行動をとるか、どのような不安やニーズがあるかを考え、各段階に最適なタッチポイントを設計します。

例えば、認知段階ではインパクトのある広告が必要であり、検討段階では詳しい製品情報や口コミが役立ちます。このように、顧客が歩む道筋に沿って適切なタッチポイントを設計することで、顧客とのエンゲージメントを強化し、購入意欲を高められます。

顧客体験を想定したデザイン

次に、タッチポイントの「デザイン」が重要です。デザインはビジュアルの美しさのみではなく、顧客体験を左右するすべての要素を含みます。どのチャネルで、どのタイミングで、どのような形で顧客と接触するかを慎重に設計することが重要です。

例えば、ECサイトでは商品の検索結果から購入に至るまでの流れがスムーズで、直感的に操作できることが重要です。加えて、SNSやメールのタッチポイントでは、メッセージのトーンやデザインがブランドイメージと一致していることが求められます。

顧客にとってシンプルでわかりやすく、かつ感情的なつながりを作り出すデザインが、ブランドと顧客の関係を深めるのです。

また、デザインにはパーソナライズの要素も含まれます。顧客の好みや購買履歴に基づいて1人ひとりにパーソナライズされた体験を提供することで顧客満足度を高め、リピート率向上が期待できます。

あわせて読みたい:
リピート率とは?計算方法や業界別の平均、上げる方法を解説

システムとの連携

タッチポイントは複数のチャネルやデバイスを通じて展開されるため、シームレスなシステム連携を要します。実現させるためには、顧客データやマーケティングツールを一元的に管理できるシステムが必要です。

顧客管理システム(CRM)やマーケティングオートメーションツールを活用することで、顧客の行動データをリアルタイムで追跡し、最適なタイミングで適切なタッチポイントを検討できるようになります。

さらに、これらのツールを使うことで、顧客の購買履歴や行動に基づきパーソナライズされたメッセージを自動で送信できるようになり、顧客体験の質を高めることが可能です。

また、異なるチャネル間で一貫した体験を提供するためには、各チャネルのデータを統合することが重要です。例えば、オンラインでの購入履歴がオフラインの店舗にも反映されれば、顧客はどこで商品を購入しようとしても一貫した体験を受けられます。

システムがうまく連携することで、顧客に対するサービスの質が向上し、結果としてブランドへの信頼感や満足度の向上につながります。

効果的なタッチポイントを創出している例

実際に、効果的なタッチポイントを創出し、成果を上げた企業の例を、2つ紹介します。

具体的に何をすればよいか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

ニトリ

大手家具販売店のニトリでは、公式通販サイトで「バーチャルショールーム」を提供しています。ユーザーは店舗を訪れなくても実際の家具の雰囲気などを確認できます。

ショールーム内は自由に移動できるので、購入後の生活や部屋の様子もイメージしやすくなります。

また、ショールーム内の商品をそのまま購入できる設計になっているため、ページから離脱せずシームレスな購入導線を実現しています。ニトリはほかにもライブ配信と組み合わせたライブコマースなど、顧客との接点を増やしています。

無印良品

実店舗とECサイトの両方を展開する無印良品では、アプリの「MUJI passport」を活用して購入前のタッチポイントを設計しています。店舗へ入店した時点でポイントがもらえたり、アプリ上で口コミが投稿できたりといった機能が特徴的です。

顧客との接点を増やし、ポイント施策で顧客を店舗へ誘導するといったタッチポイントの創出を行っています。

ECサイト運営の戦略立案はプロのサポートを受けるのがおすすめ◎

ECサイトの運営においてタッチポイントの最適化や戦略立案は重要ですが、すべてを自社で完璧に行うのは困難です。特に、最新のマーケティングトレンドや技術を常に把握し、効率的に活用するには高度な専門知識が必要になります。

そのため、現在のEC運営をアップデートするためには、プロのサポートを受けるのがもっとも近道といえます。

ECコンサルタントをはじめとした支援事業者は、SEOや広告運用、データ活用など複雑な分野に精通しており、短期間で成果を出すための実践的なアドバイスを提供します。また、外部の専門家による客観的な視点で、課題の発見や改善点の提案が受けられることもあるでしょう。

自社に合った支援事業者を探す際は、ECのミカタのビジネスマッチングサービスを利用するのがおすすめです。

ECのミカタでは、ECサイト運営者と適切な支援事業者をマッチングし、課題解決に向けた専門的なサポートを提供しています。

現在の運用や売り上げアップの戦略立案はもちろん、自社サイトの構築や在庫管理、発送代行などEC運営にまつわる業務支援のスペシャリスト企業が1,000社以上登録しています。

また、支援事業者のご紹介は自動ではなく、EC業界専門のコンシェルジュがヒアリングの上、貴社の課題や目的にあった事業者を厳選してご紹介いたします。

業界唯一のEC専門マッチングサービスをぜひ利用してみてくださいね。

コンシェルと一緒にECサイト運営のプロを探してみる


記者プロフィール

ECのミカタ マーケティング部

ECのミカタマーケティング部です。
日々、EC事業者様に役立つノウハウやサービスを模索
しております。こんな、いいサービスがあるよ!などの情報がありましたら
ぜひ、ご連絡下さい!

ECのミカタ マーケティング部 の執筆記事