大手ECモールのバレンタイン市場、2024年の分析と今年の展望 Nint調査

ECのミカタ編集部

Nint調査:ECバレンタイン市場の売上減少—最新動向と今後の展望

株式会社Nint(以下:Nint)が、2024年のバレンタイン市場に関する調査レポートを発表。同調査によれば、2024年の国内の3大ECモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング)においてバレンタイン市場全体の売上が減少していることがわかったという。本記事では、苦戦の要因を探りつつ今後の展望にも言及されたレポートの一部を紹介する。

調査概要

本調査は、Nintが提供する国内大手ECモールの市場動向データ分析ツール「Nint ECommerce」を用いて、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングを対象に調査したものとなる。
◆調査機関(調査主体):株式会社Nint
◆調査対象:Nint推計データ
※Nint推計データは、AIやクローリングなどの技術により⽇本国内の3⼤ECモールで販売される商品の売上⾦額・販売数量を⾼精度に推計したデータに、サイト内でのプロモーションデータ等を加えた、EC市場の総合的な分析を可能にするビッグデータ
◆出典:「バレンタイン市場は縮小!?2024年の最新動向と2025年の展望」(2025年1月27日公開)(株式会社Nint)

バレンタイン需要への依存から転換しつつある

直近3年間の3大ECモールのチョコレート市場の推移を見ると、チョコレート需要は1月~3月に集中しており、一見すると2024年も変化がないようにみえる。

一方、年間売上を100%とした場合の月別売上比率を確認すると、バレンタイン・ホワイトデー時期である1月〜3月の売上構成比は年々減少しており、2024年には50%を下回っている。

Nintでは「このデータは、バレンタイン需要とその他の需要の比率が変化していることを示しており、EC市場におけるチョコレート市場が『バレンタイン需要に依存する形』から転換しつつある可能性が考えられる』と考察している。

「化粧品ジャンル」にも注目

バレンタイン市場の「ジャンル別売上構成比」を見ると、やはり「チョコレート」が最も高い構成比を示し、市場全体の半分以上を占める結果に。あわせてNintでは、2023年から2024年にかけて構成比を2ポイント上昇させた「化粧品ジャンル」にも注目している。

同社は「化粧品ジャンル」が売上構成比を上昇させた背景として、オフライン市場の回復に伴う「外出頻度」の増加が影響していると推察。加えてバレンタイン限定の化粧品セットやコフレ商品がSNSで注目を集めたことも、化粧品ジャンルの躍進に影響していると分析している。

「化粧品」が最も高い成長率を示す

各モールの売上上位ジャンルを詳しく確認したところ、共通する傾向と異なる傾向が確認された。

◆共通の傾向
チョコレートが1位を占め、ビスケットやケーキ・洋菓子などスイーツ系ジャンルが多くランクイン。
◆異なる傾向
モールによっては家電や服飾雑貨など、スイーツ以外のジャンルも上位にランクイン。

さらに、各モールのTOP10ジャンルをスイーツ、化粧品、家電、花・観葉植物、服飾雑貨・その他に分類し、売上前年比の成長率を確認すると「化粧品」が最も高い成長率を示した。

3大モールに出店するEC事業者にとって2024年のバレンタイン商戦が苦戦だった主な要因を、「オフライン回帰」であると分析した今回の調査。同社では展望として、こうした傾向は2025年も続くとしたうえで、「出社頻度の増加やオフライン会場の混雑により、購入したくてもなかなかいけない消費者が増えることも考えられます。このような状況下で、ECが再び活用される可能性は十分にあります。また、成長を見せている化粧品ジャンルの販売方法を工夫することで、市場全体が復調する可能性も期待されます」と予測している。

今年のバレンタイン商戦もいよいよ大詰め。市場の推移に注目したい。


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