日本郵便「第39回 全日本DM大賞」受賞作決定 ECと実店舗をシームレスにつなぐDMが金賞・グランプリ
日本郵便株式会社(以下:日本郵便)は、主催する「第39回 全日本DM大賞」の受賞作品を決定した。
131点の応募から24点が受賞
「全日本DM大賞」は、実際に発送されたダイレクトメール(DM)を募り、戦略性、クリエイティブおよび実施効果の3つの観点から評価し、優れた作品に賞を贈るもの。
第39回を迎えた今回は、131点の応募作品の中から、DMやマーケティングの専門家による審査を経て、グランプリほか24点の作品が受賞した。以降で受賞作の一部を紹介する。
金賞・グランプリは【バイヤー認知でファンを獲得! ROAS179%のDM/心理をくすぐり購入率11.7%を記録した休眠DM】
金賞・グランプリは、実店舗とECサイトの双方を展開するワインショップ、恵比寿ワインマートによる2種のDMが受賞した(制作者:ガリバー)。
2024年夏に実施した「12人のバイヤーおすすめフェア」案内DMは、約1年間の累計購入金額が5万円を超えるEC顧客を対象に送付。ECと実店舗の相互利用を促すことによってLTV(顧客生涯価値)の向上を図るため、恵比寿ワインマート所属の12人のバイヤーおすすめのワインを、各バイヤーのコメントなどと合わせて紹介。その商品を実店舗とECのどちらでも購入できるフェアとした。
▼「12人のバイヤーおすすめフェア」案内DM(バイヤー認知でファンを獲得! ROAS179%のDM)
※画像元:第39回全日本DM対象「金賞グランプリ」
もう一つの受賞作品「休眠DM」は、3カ月以上ECで購入がなかった元優良顧客の呼び戻しを目的としたDM。【DMに記載した二次元コードにアクセス→クーポンが当たる抽選会案内→クーポン入手→商品回遊→購入】という導線設計も奏功し、抽選参加率は56.6%、11.7%が実際に商品を購入。そのうちクーポン利用率は36%に達し、長期間接触できていなかった優良顧客層復活への大きな足掛かりとなったという。
▼「休眠DM」(心理をくすぐり購入率11.7%を記録した休眠DM)
※画像元:第39回全日本DM対象「金賞・グランプリ」
インパクト大 高い効果を発揮したDMが多数
金賞作品は以下の通り。さまざまな工夫が施された作品が並ぶ。
▼A LEATHER 2024 AW
※画像元:第39回全日本DM対象「金賞」
2022年に誕生したレザーファッションブランド、A LEATHER(エーレザー)が、フランスの展示会に出展した際、海外バイヤー向けに発送したDM(制作者:シマダデザイン)。「和魂(Nigimitama) - Blessings of Nature Spirits of Japan」をテーマとし、神事としても行われている相撲をモチーフに制作した。
▼郵便値上げを逆手に! 50か所可変の脱“脱DM”DM
※画像元:第39回全日本DM対象「金賞」
郵便費の値上がりを受けた「DM離れ」を防ぐべく、DM専門の広告印刷会社ガリバーが行った施策(制作者:ガリバー)。顧客ごとに算出した数字を中心に50カ所を可変した「企業ごとに異なる提案DM」として送付。100社中、15社、32案件がゆうメールに切り替え、郵便費値上げを理由とする離反率は0%を記録したという。
▼ペルソナを最適化した6連続DMたち
※画像元:第39回全日本DM対象「金賞」
ロート製薬は、スキンケア「SKIO」のトライアルキット購入者に向け、移り変わる顧客心理を見定め、5つのタイミングを抽出して6種類のDMを送付(制作者:ダイレクトマーケティングゼロ)。狙いをはっきりさせた各DMを5週連続で届け、前年を大きく上回る転換率を記録したという。
幅広い企業に受賞のチャンスがある
ダイレクトメール(DM)は、テレビのようなマスメディアと比べて派手さはないものの、“物”として届く強みを活かしてビジネスシーンで重要な役割を果たしている。「全日本DM大賞」はそのDMを専門家からの客観的な視点により、評価し表彰するものである。
日本郵便は同アワードの注目ポイントについて、「マーケティングやコミュニケーションの戦略や、少ない予算でも効果を出した費用対効果の面を重視して評価するため、BtoBや中小企業・スタートアップや地域密着の企業にも受賞のチャンスが多くあります」としている。
今回金賞・グランプリを受賞した恵比寿ワインマートに対する審査委員講評では、「ECと実店舗、どちらの導線でも同じような体験ができる全体設計」「『DM→店舗→QRコード→抽選→クーポン→EC/店舗』とシームレスなユーザーエクスペリエンス設計」などが評価されている。
デジタル化が進む中でも、紙媒体を活用した効果的な訴求方法はある。DM施策で売上を伸ばしたい、またはDM施策を見直したい企業にとって、今回の受賞作品は有益な参考になるだろう。
※参考:第39回全日本DM大賞」受賞作品発表~2025 DM Award~(日本郵便株式会社)