再春館製薬所、AIで「最適タイミングの対話」実現 GROWTH VERSEと協業
株式会社再春館製薬所は、株式会社GROWTH VERSEと共同でAIを活用した新たな「対話」の仕組みを設計したことを発表した。
「顧客の今」をより深く理解
再春館製薬所とGROWTH VERSEの発表によれば、今回設計した仕組みは、「『効率化』ではなく『心地よさの追求』に重点を置き、個人の状況に寄り添う最適なコミュニケーションの形を実現したもの」となる。
両社は購買サイクルなどの一つひとつのデータを、顧客からの声なき声と捉え、その意味する“顧客の今”をAIの力で読み解き、具現化するための協業を行っているという。具体的には、“顧客の今”をより深く理解することで、「商品が必要とされる最適な時期」や「メッセージが響く適切なタイミング」を探り当て、きめ細やかな案内を届けるといった、心地よさの実現を目指す。
再春館製薬所ではその成果事例として以下のような「購買サイクルを起点としたAIレコメンドメール」を紹介している。
同社の主力商品「ドモホルンリンクル」の「保湿液」は推奨量通りに使用すると約60日ほどで使い切るが、個々の顧客の使用状況を購買情報からAIで分析し、該当商品に関連するキャンペーンなどを届ける「AIレコメンドメール」を実施。この、適切なタイミングでのDM(ダイレクトメール)送信により、顧客自ら商品を購入するという行動が見られ、旧来のメール施策と比較しても、購買率の増加につながるという結果も得られたという。
AIを活用した施策イメージ
※画像元:株式会社再春館製薬所
最適なタイミングでの「対話」を目指す
再春館製薬所は、電話を中心としたコミュニケーションによって、“かかりつけ”のような応対を得意としている。一方、近年顧客との接点は電話からデジタルへと移行し、現在ではデジタル経由の顧客が全体の9割(※1)を占めるに至っているという。その結果、これまで同社の「強み」であった、顧客一人ひとりの「悩みの本質やその想いの背景」を深く理解する機会が減少し、新たな課題となりつつあった。
こうした状況を受けて同社は従来の画一的なアプローチからの転換を図り、AIが分析したデータに基づき、一人ひとりの心に届く「最適なタイミングでの対話」を実現したという。
※1:新規で「無料お試しセット」を申し込んだ人の割合
将来的な自動化運用も視野に
再春館製薬所は、この取り組みが既存業務に大きな負担をかけることなく運用可能であることから、将来的な自動化運用も視野に入れて、改善を進めていく方針を掲げている。
同社はこれからも、「ドモホルンリンクルなどの美容領域にとどまらない、広範かつ本質的な分野における『漢方の製薬会社として提供する、独自のソリューション』により新たな価値の創造を加速すべく、AIといった先端技術やそれらを得意とするパートナーとの協業で、お客様の心に触れる人の知恵との融合を追求してまいります」とコメントする。
電話応対で培った顧客理解をAIの力でデジタル上で再現する本取り組みの今後に、引き続き注目したい。