燃料費「30%増」で運輸業の4社に1社が赤字転落の可能性 TDB調査
株式会社帝国データバンク(以下、TDB)は2026年3月18日、燃料費の高騰が企業に与える影響度調査(2026年3月)を実施。ガソリン・軽油など「燃料費」の高騰に対する企業業績への影響度について試算・分析を行った。各平均値は、上下各5%、計10%のトリム平均値を使用している。
調査概要
◆分析企業
▷「製造原価」および「販売費および一般管理費」内における「燃料費(ガソリン・軽油、灯油・重油、プロパンガス等を含む。勘定科目として一部車両費を含む場合がある)」相当の支出がある企業。
▷対象は算出可能な約9万社(全国・全業種)
▷決算期末のデータに基づくため、以降の燃料費における増減については考慮していない。
※燃料費の上昇幅は、2025年平均の燃料小売価格(レギュラー:177円/L相当)をベースに、+10%(同194円/L)~最大+30%(230円/L)のシナリオを想定してそれぞれ試算。なお、決算期末のデータに基づくため、決算期末以降の燃料消費量の増減は考慮しないものとした。
◆出典:燃料費の高騰が企業に与える影響度調査(2026年3月)
燃料費負担は年間48.4万円増加する可能性
本調査の結果、燃料費が2025年比で年間平均10%上昇した場合、企業では1社あたり平均で年間16.1万円の負担増が新たに発生。営業利益のうち、1.59%分相当が減少することが分かった。
また、営業損益が黒字から赤字へと転落する企業は対象9万社のうち、約1000社(1.09%)発生する試算となった。
TDBは今後「2025年比で30%増(レギュラー1Lあたり230円まで上昇)となった場合、燃料費負担は1社あたり平均で年間48.4万円増加し、営業利益が平均4.77%減少、赤字へと転落する企業は約2700社・2.93%の規模まで膨らむ可能性がある」とコメントしている。

「運輸業」の4社中1社が赤字転落する見込み
業種別にみると、最も影響を受けるのは「運輸業」であり、燃料費が2025年比で1割上昇した場合に年間支出は平均470.4万円増加。営業利益が平均27.88%減少、10.29%の運輸業者が新たに赤字へ転落する試算となった。燃料費が同3割上昇すると年間支出は約1400万円膨らみ、営業利益は約80%減少となる。そのほか、4社中1社(24.57%)の運輸業者が新たに赤字転落する見込みとなる。
運輸業では売上高に占める燃料費の割合が極めて高く、燃油サーチャージ等の価格転嫁が十分に追いつかない場合、利益の乏しい運輸業者の経営体力を大きく損なう可能性がある。
サービス業では、特に大浴場を備える旅館・ホテルなどの宿泊施設、日帰り温泉などの温浴施設ではボイラーの燃料(重油・ガス)消費が大きいほか、シーツやタオルなどリネン類の洗濯・乾燥でも燃料を必要とするケースが多く、利益を大きく圧迫する要因となっている。
倒産・廃業リスクが高まる可能性
TDBは本調査結果について、次のようにコメントしている。
「運輸業では、燃料費が25年比で3割増となった場合に営業利益が平均8割消失する試算となり、他業界に比べて影響が突出して深刻な状況に陥りやすい。価格転嫁とコスト吸収の限界を超えた燃油高騰が長引けば、燃料費高騰に伴う倒産・廃業リスクが高まる可能性もある。政府はガソリンの小売価格を全国平均で1Lあたり170円程度に抑制するための措置として、3月19日出荷分からガソリン元売り各社に対し補助金の支給を予定している。その措置が企業業績にどのような効果を及ぼすか注視する必要がある」
イラン情勢の緊迫化に端を発する突発的な燃油価格の大幅高騰で、軽油や灯油の使用量が多い事業者に動揺が広がっている。EC事業者としても今後のコスト動向を注視しながら、柔軟な対応が求められそうだ。


