Amazon、著書が書きたい文章量で執筆した作品を出版する「Kindle Singles」を提供開始
Amazonが電子書籍リーダーの新サービス「Kindle Singles」を提供開始
米ニューヨーク・タイムズ紙が「電子書籍リーダーを買うべき最大の理由」と評価
著者が最も自然と思う長さで執筆した作品が編集され、電子書籍として提供
短編の単品読みもできるKindleの「Singles」版
Amazon.co.jp(以下、Amazon)は、電子書籍リーダーの新サービス「Kindle Singles」を提供開始したと4月28日に発表した。
「Kindle Singles」(http://www.amazon.co.jp/kindlesingles)は、米ニューヨーク・タイムズ紙で、「電子書籍リーダーを買うべき最大の理由」と評価されたサービス。著者が最も自然と思う長さで執筆した作品が編集され、電子書籍として提供される。対象となる書籍は、通常30~150ページ(400字詰め原稿用紙換算)で構成されており、フィクションからノンフィクション、著名な作家からこれまで出版経験のない著者によるものまで、様々な作品を厳選して提供する。なお、「Kindle Singles」に直接作品を提供した著者へのロイヤルティーの受け取りは、最大70%となっている。
電子書籍の販売価格は、一冊99円~399円で、Kindle(Amazonの電子書籍リーダー専用端末)、FireタブレットおよびKindle無料アプリに対応しており、開始当初は、池井戸潤著『なるへそ』(43ページ、199円)や中田永一著『ファイアスターター湯川さん』(112ページ、99円)など、オリジナルの新作や翻訳作品を含む厳選されたフィクションとノンフィクションのラインアップが提供される。
直木賞受賞作家である池井戸潤氏は、同サービスの開始について、「『なるへそ』は、以前小説誌に書いたきり、どこにも収録されず埋もれていた短編(私にしては珍しく、パロディ)です。今回それが、Kindle Singlesによって“発掘”され、こうして発表の場を得られたのは幸運なことだと思います。」と述べている。
紙媒体の書籍の出版の場合、ある程度のボリュームが必要だったり、販売価格の兼ね合いからページ数が多過ぎるものは編集(カット)が必要だった。しかし、電子書籍の場合は、こうした問題がない。著者は自分の書きたいボリュームで執筆でき、また、読者は著者の表現したい世界観を思う存分に楽しむことができる。先月、ブラット・ピット氏がS・キング氏の小説を映画化するとのニュースが報じられたが、この作品も短編小説だ。世の中には単独での発売が叶わなかった作品も多い。こうした短編の名作を発掘するのも、これからのECの楽しみ方となっていくではないだろうか。