JECCICA定例セミナー「メディアに強いECとは?&広告に頼らない繁盛食品ショップの販促事例」

ECのミカタ編集部

メディアに取り上げられる商品とは?

一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会JECCICA(以下「ジェシカ」)は、8月21日に都内で定例セミナーイベントを開催した。ジェシカはEコマーススペシャリスト、Eコーマスコンサルタントを養成し認定する協会。Eコマースを支える人材育成のため、ECコンサルタントを養成し、コンサルティング業だけでなく、EC運営に必要なノウハウを体系的に学べる資格を取得できる。

■第1部 「キュレーションメディア時代到来、メディアに強いECとは?」
〜お取り寄せグルメの情報サイト「おとりよせネット」の事例から
セミナー講師:おとりよせネット アイランド株式会社 
    代表取締役 粟飯原 理咲 氏

■その場で解決!EC公開ミニ相談会

■第2部「広告に頼らない繁盛食品ショップの販促事例」
セミナー講師:トントン先生

■今月のECピックアップニュース!

第1部「キュレーションメディア時代到来、メディアに強いECとは?」

第1部「キュレーションメディア時代到来、メディアに強いECとは?」

第1部では「おとりよせネット」を運営する、アイランド株式会社代表取締役の粟飯原理咲氏が登壇し、キュレーターやユーザーから選ばれる&注目されるECサイトの商品について講演を行った。「おとりよせネット」は”お取り寄せ”をテーマにした日本最大級のクチコミポータルサイトだ。年間330万人が利用している。30~40代の食やお取り寄せに興味の高い女性をターゲットにしており、一般のユーザーだけでなく、グルメの達人や食を愛する著名人、お料理や食のプロによる口コミが掲載されている。サイト上での販売は行わず、2万人のモニターの中から選ばれた5名が実食し、口コミを掲載する。サイト上での商品販売を一切行わない、「おとりよせネット」を運営する視点から、他者評価の大切さを語った。

メディアに取り上げられる商品を作る上で、重要なポイントが3つあるという。まず1つ目のポイントは「コンセプト商品が大事」にすることだ。販売している商品 全てでなくて良いが、看板となるキラー商品があると良い、と粟飯原氏は語った。そのコンセプト商品において重要なことは2つのS=Search(検索)とShare(共有)のどちらにも強い商品であることだ。検索をしたときに、検索画面のファーストビューで商品説明が表示されおり、説明で商品を理解できるのかが大切だ。 また、思わず写真を撮りたくなるビジュアル、誰かに語りたくなるストーリー 、商品自体が誰かとシェアできるモノであれば、消費者がSNSに投稿し、シェアされることによって商品が広がっていく。

それには、商品のネーミングとビジュアルが鍵となる。 新しく商品を作り上げることだけでなく、既存の商品をコンセプト商品に作り上げることができるのだ。オイシックス株式会社(以下「オイシックス」)の販売する「ピーチかぶ」はもともと契約農家で「はくれい」という名前で売られていた。ピーチのように甘いかぶ、それを「ピーチかぶ」と名前を変えて売り出したところ、オイシックスの飛躍のきっかけになったと言われるほど販売数が伸びたという。 つまり、コンセプト商品にするためにはこうした工夫が欠かせないことがわかる。
 
2つ目のポイントは「他者評価」を味方につけることだ。多くのショップ運営者は他者評価に対してあまり良いイメージを抱いていない人が多いが、他者評価には「良い評判」をプラスにしてくれる効果と「悪い評判」をフォローしてくれる効果があるという。ネットで流行させるためには局地的流行を作り出すことが重要で、この局地的流行を作り出し、広げていけるかがショップの腕の見せ所だそうだ。

3つ目のポイントはメディアで発信することだ。メディアに取り上げられるのを待つのではなく、自らメディアとして発信していくという流れが昨今ではあるという。しかし無作為にメディアで発信するのではなく、ポイント1とポイント2ができた上で自社製品の”世界観”をあらわすメディアを作る必要がある。メディアを作る時に大切にすべきことは、コンセプト商品を作る時と同じだ。メディアを作る際には、買い物をしなくても毎日来てもらえるサイトを作り上げる覚悟、そして発信を続けることが大切だと粟飯原氏は説く。

メディアや商品が氾濫している時代だからこそ、メディアに取り上げられる商品を作りあげなければならない。そしてこの時代の波に乗り、第三者に評価を委ねることで商品の知名度を急速にあげることができる。そして、時代の波に乗ったコンセプト商品がメディアに取り上げられるのを待つだけでなく、自ら発信していくことが重要だ。そうすることで、キュレーションメディアに強いショップ・商品となるのだ。

第2部「広告に頼らない販促事例」

第2部「広告に頼らない販促事例」

第2部ではトントン先生こと中谷昌弘氏が登壇し、いくつもの事例を挙げながら広告に頼らない繁盛食品ショップについて語った。EC市場の中で 食品市場は衣類、生活家電に次ぐ3番目であり、まだまだ拡大を続けている。 トントン先生はスライドに「TTP」の文字を表示する。ネットショップの時流は「徹底的にパクる」だという。真似られるということは評価されているということ。他者に真似されたのであれば成功で、自身は次のステージに行くべきだという。しかし、全てを真似るのでなく、本当のTTPは、他者のビジネスモデルを参考にした完全オリジナル版なのだと。

商品を作り上げることができたら、次に行うのは開発商品告知だ。この開発商品告知が肝であるという。わかりやすいタイトルと、商品がわかりやすい写真がプレスリリースのポイントだ。そして、プレスリリースの掲載によってメディアに取り上げられた場合、放送後の注文に耐えられるだけの仕組みを作る必要がある。そして、その後に必要なのは「売れていく仕組みづくり」だ。トントン先生曰く、ウェブマーケティングはEコマースの”サクラダファミリア”。進化し続け、完成形のないβバージョンなのだという。

また、検索結果の説明文が集客の第一歩だという。説明文をつくる際には商品の効果効能に注目すべきだという。例えて言うならば、バームクーヘンの切り口は年輪に見え、長寿や繁栄を表していることから、結婚式慶事の引き出物として使われている。このように商品にあるイメージを活用していくことが検索されやすくなるポイントなのだと説く。

他者のビジネスモデルを参考にした完全オリジナルの商品を作ることで、消費者からの注目だけでなく、メディアからの注目度もあがる。しかし、一瞬の話題で終わってしまわないためには、商品を売り続けるための仕組みを作らなければならないのだ。

粟飯原氏とトントン先生のEC講演だけでなく、初の試みとなる相談会も行われた。講演だけでなく、相談会があることによって痒いところにも手が届くセミナーとなった。セミナーにはECショップだけでなく、EC業界を牽引する方々も見られた。セミナー後に行われた懇親会では、EC業界に関する様々な情報交換が行われ、大いに盛り上がった。


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