工場、物流等全て揃う拠点を開発。GLP社の物流革命
物流の未来を切り開く、「GLP流山」誕生
先進的物流施設のリーディングプロバイダーであるグローバル・ロジスティック・プロパティーズの日本法人、グローバル・ロジスティック・プロパティーズ株式会社(以下「GLP社」)が記者レクチャーを開催した。GLP社の代表取締役である帖佐義之氏が挨拶に立ち、千葉県流山市に国内最大規模のマルチテナント型及びBTS型に対応した大型物流施設「GLP 流山」の開発を行うことを発表した。
「GLP 流山」は通常の倉庫機能のほか、工場用途にも対応可能となり、生産、製造、梱包、配送までを網羅し、サプライチェーンの統合を目指すフルパッケージの施設だ。
現在の物流分野は、「工場」「倉庫」「ターミナル」が別々の場所にあるために、その都度、配送をしなければならず、コストや時間がかかってしまうという問題を抱えている。しかし、実際には物流の効率化、物流サービスの多様化によって両者で棲み分けができない作業が存在している。グレーゾーンではあるが、現在のニーズに応えるためにはそうせざるを得ないと帖佐氏は述べる。その背景には「工場」と「倉庫」は分けなければならないという建築基準法の規定がある。
しかし、行政の理解により、「工場」でも「倉庫」の機能を持たせることができ、反対に「倉庫」でも「工場」の機能を持たせることができる、というように解釈が変化しているという。そしてその結果、「工場」「倉庫」「ターミナル」を併せ持つ「GLP 流山」が開発されることになる。
「GLP 流山」では、「工場」「倉庫」「ターミナル」の3つが一か所にあるため、時間やコストの削減、さらには物流分野において大きな問題となっている、労働力不足を解決することができる。フルパッケージの施設であるため、「工場」「倉庫」「ターミナル」の間で荷物を運搬するドライバーが不要となる。配達人員はいるが、運搬に割くドライバーがいないというケースの増加を食い止める。また、倉庫内の人員不足にも焦点を当てており、「GLP 流山」では、自動ラックを常設し、人員不足を解決する。
そして、「GLP 流山」は大手人材派遣会社との提携を行うという。これまでは働く環境といったハード面の向上に焦点をおいていたが、ソフト面の向上にも注力し、大手人材派遣事務所を施設内に設置する。これにより、柔軟な人材派遣を行うことができるようになる。
「GLP 流山」は今考えられる物流のニーズのありとあらゆるものを最初から全て入れるのではなく、顧客の選択によって必要なものを必要なだけ使えるように対応ができる、よりフレキシブルなデザインの倉庫となるという。
帖佐氏は「『GLP 流山』はGLPの次世代の物流施設と言えます。多くの企業が物流業務の効率化を望む今、この施設が多面的なソリューションを提供して参ります。人材雇用支援もするなど臨機応変にソフト面のサービスに充実させていきます。一つの施設で多目的機能を有し、物流施設の枠を拡大する事例と言えるでしょう。」と述べている。
資産310億ドルへ!各国でトップを維持する鍵とは?
後半にはGLP社の最高経営責任者であるミン・メイ氏が登壇。グローバルな視点から見た物流不動産について発表を行った。
記者レクチャー開催時点では、GLP社の資産は270億米ドル相当であるが、今週中には310億米ドルとなることを発表した。この310億米ドルのうち、3分の1が日本、3分の1がアメリカ、残りの3分の1が中国となる。
日々GLP社が獲得している新しい契約の60%は既存顧客であり、GLP社の顧客の50%以上はリピートカスタマーであるという。3つの市場で事業を行っているが、日本、ブラジル、中国の3か国においてNo.1のポジションにおり、アメリカではNo.2のポジションだ。
日本では常に第1位であるため、今後もキープしていくという。また、中国では1位になるまでに5年、ブラジルでは4年かかった。アメリカわずか1年でNo.2になったという。なお、アメリカ、中国、ブラジル、日本でリレーションを行っているが、中国だけをとっても顧客の10%は日本企業だそうだ。
「お客様のニーズに沿って開発をしていく、それが成功の鍵の一つ。」とミン・メイ氏は言う。日本は今でももっともプッシュをしたい市場であり、ミン・メイ氏も取締役会も日本という市場には長期的な展望を持ってビジネスを行っていくことを決めているという。
また、もう一つのビジネスの鍵がファンドマネジメントだそうだ。このファンドマネジメントのビジネスにおいて、日本、中国、韓国、中東、北米などの企業と共にビジネスをおこなっており、大手の年金基金や保険会社もGLP社のパートナーだ。
4年前に日本でファンドマネジメントのビジネスをはじめた当時、資産は26億米ドルのレベルであったが、わずか4年の間に270億米ドルを超えるまでとなった。そして、アメリカでの投資を通して、今週中には310億米ドルを超える予定だ。これからもファンドマネジメントのビジネスを伸ばしていく考えであり、これが今後のGLP社の拡大のための重要な資金創出となるという。
最後にミン・メイ氏は「前日行われた取締役会において、私も取締役会もさらに日本市場にコミットしていくことを決めました。今、日本にいるチームに私たちは感謝しておりますし、これからもワクワクするようなニュースをみなさんにお伝えしたいと思っております。」と述べ、発表は終了した。
近年のドライバー不足に対して、国交省は「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会」を開き、再配達の削減に取り組んでいる。また、最近では、佐川急便や楽天、Amazonなど各社がコンビニと連携し、コンビニで商品をいつでも受け取れるようになるなど、企業もユーザーの利便性向上とともに再配達の減少に努めている。
そのような時代のなかで、「工場」機能と「倉庫」機能を併せ持つ建築物を建てられるようになったことは、物流業界においての人材不足を根本的な部分から解決することになる。ECの要となる物流分野の変化に、これまで以上に注目する必要がありそうだ。