ヤマトの新サービスで海外事業者の国内参入が簡単に
記者の論点:海外の通販事業者が日本国内へ参入することがスムーズになるということは、国内での競合が増えるということであり、対策が必要となってくる。
国内での通販競争激化!?ヤマトの新サービスとは
ヤマトホールディングス傘下のヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社(以下「YGL」)は、YGLで輸入通関を行う海外の通販事業者向けに海外仕出人コードの代理申請を行うサービスを1月4日より本格展開を開始した。海外の通販事業者が海外仕出人コードを取得することで、日本に輸入される商品の通関をスムーズに行うことが可能になり、エンドユーザーの早く欲しいといったニーズに応える。
TPPで「通関迅速化」が大筋合意で掲げられる中、日本でも近年、通関手続きに関する制度改革が加速している。その一つとして、2014年3月には海外仕出人コードの代理申請が可能になった。しかし、海外から日本へ通販の商品を送る際に利用される小口通関の分野では、制度施行後も、日本語で申請が必要な点や、対象となる海外企業の制度に対する認知不足もあり、代理申請はこれまで行われず、制度が十分活用されていなかった。
そのような状況を解消するため、税関より税関手続きの緩和・簡素化策を提供され、貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備されたAEO通関業者であるYGLでは、同社で輸入通関を行うユーザーに対し、海外仕出人コードの代理申請を無料で行うサービスをトライアルとして実施してきた。
その結果、実際に取得した海外仕出人コードを輸出通関時に使用することで、即時許可(簡易審査)となる確率を未取得時に比べ向上させることができたため、本格展開へ至ったという。
今後の展開として、YGLはAEO通関業者としてBtoCのみならず、BtoBの輸出者の海外仕出人コードにも代理申請取扱を拡大し、スムーズな輸入通関と越境EC事業の拡大に貢献していくという。
今回の海外事業者向けの海外仕出人コードの代理申請サービスにより、海外の事業者は日本国内への輸入の手間が簡略化されることになる。日本国内への商品輸入が便利になるということは、国内のネット通販事業者との競争が激化すると捉えることができる。海外事業者向けのサービスではあるが、少なからず国内のECマーケットへの影響もあるだろう。現在の大きなライバルである国内の事業者だけでなく、海外の事業者への対策を打つ必要性が今後高まりそうだ。