欲しいモノで寄附場所を決定。ふるさと納税はまるでEC?
よく聞く「ふるさと納税」って実際?
ここ数年で「ふるさと納税」という言葉は急速な勢いで知名度を上げ、SNSなどでふるさと納税の特典(返礼品)が届いたという投稿もよく目にするようになった。
ふるさと納税は、”納税”という言葉がついてはいるが、実際は都道府県や市区町村への「寄附」である。一般的に自治体に寄附をした場合、確定申告を行うことでその寄付金額の一部が所得税及び住民税から控除される。しかし、ふるさと納税では自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となる。
ふるさと納税制度は、「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」、「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として創設された。自分の生まれた場所や住んでいる場所に限らず、どの自治体にでもふるさと納税を行うことができる。
また、ふるさと納税には大体、特典が付与されるのだが、全国津々浦々各地の名産品・特産品が特典となっており、食品はもちろんの事、雑貨や服なども特典となっている。
特典によっては申し込みが殺到し、あっという間に受付が終了してしまうのである。ふるさと納税で人気なモノは、通常でも人気商品であることも多い。
「ふるさとチョイス」で欲しいものを探索!
そんなふるさと納税。各自治体も申込先として利用している総合サイトがある。それが、株式会社トラストバンクが運営する「ふるさとチョイス」だ。
「ふるさとチョイス」は自治体のふるさと納税の使い道やお礼の品の紹介が全国1,788自治体掲載されており(2016年4月時点)、他には特定の課題解決のため、ふるさと納税を活用し、自治体が行う資金調達の推進などを行っている。
この「ふるさとチョイス」を見ると、地域や決済方法や寄付金額で寄付する自治体を選ぶことができるようになっている。そして、それだけではなくお礼の品物からも寄付する自治体を選ぶことができるのだ。肉や野菜、お酒、旅行や雑貨・日用品など多くのカテゴリに分けられており、これはもはやECサイトと変わらない。
欲しい品物がある自治体に寄付をして、確定申告をすればその年の所得税から還付と翌年度の個人住民税から控除されるとなれば、どうだろうか?消費者は、地方自治体へ寄付をしつつも、買い物を楽しむように、ふるさと納税を楽しむことができるのだ。
「ふるさと納税」から「地方創生」へ
もちろん、「寄付の見返りを求めるのか」という意見もあるだろうが、もしその商品を消費者が気に入れば、リピート購入につながる可能性もある。「ふるさと納税」がECへとつながるのだ。
また、地方の自治体に寄付を行えば、「地方創生」へ繋がるかもしれない。2014年に発表された「地方創生」。地方の人口流出を食い止めるためには、その場所での仕事が必要となる。本当は地元から離れたくない、首都圏に住んでいるが、地元に帰りたい、そういった需要は間違いなくあるのだが、地元には仕事がないとなると戻っても生活ができなくなる。そんな地方を「ふるさと納税」が、そしてECならば救うことができるのではないだろうか。
「地方創生」を目的に、「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」などの取り組みが行われているが、ふるさと納税も、地方の商品を知ってもらうという意味では劣らず、むしろ常に門戸が開かれているようなものである。まずはふるさと納税で知ってもらい、ECにつなげる。その連鎖が多く生まれれば、地方の活性化につながるに違いない。
特典や、総合サイトの力もあり、気軽に楽しみながら寄附をすることができるようになった。しかし、きっと、そこに「楽しみ」がなければ、ふるさと納税はここまで普及しなかったのではないだろうか?それは、ECサイトでの買い物も同じだ。消費者の選ぶ楽しさや良いものを見つけたときの喜びが、ふるさと納税やEC業界の発展につながっているのである。