ECサイトが取り組む「オムニチャネル」とは?

オムニチャネルとは、実店舗やオンラインストアなどのあらゆる販売・ 流通チャネルの統合により、顧客接点を多様化する仕組みのことです。オムニチャネルを実践する企業の狙いはどこにあるのでしょうか?

≪目次≫
1、オムニチャネルとはなにか?
2、オムニチャネルのメリットとは?
3、優良顧客を囲い込む 会員情報一元管理
4、機会損失を防ぐ 在庫一元管理

1、オムニチャネルとはなにか?

1、オムニチャネルとはなにか?顧客購買行動の変化による多様なチャネルに対して情報が統合される

顧客はどこで商品を 購入するか意識していない
 今日の消費者行動は多様化しており、インターネットで情報を収集し、実店舗で商品を見て購入する場合もあれば、最初からスマートフォンで購入する場合もあります。ネットにしても実店舗にしても、欲しい商品が手に入るなら顧客にとっては同じことです。 よって、どこか一つのチャネルで売ろうとするよりも、あらゆるチャネルを通じて最適な接客ができるオムニチャネルが重要になってきたのです。従来は、実店舗とECを別々に運用しているため、顧客情報が統合されないという弊害がありました。しかしECか実店舗かに関係なく、「誰が、いつ、どこで、何を買ったか」を一元管理することが重要で、そこにオムニチャネルが重視される背景があります。

 近年、オムニチャネルをサポートするシステムが増えており、今後はオムニチャネル化が急速に進展していくでしょう。日本がアメリカに比べてEC化率が低いのは、国土が広いアメリカと比べて、日本の国土が狭いからという背景もあります。大都市圏を除けばお店が遠いアメリカでは昔から通販が発達し、今日においてもECに頼らざるを得ない背景があるのですが、日本では比較的近くにお店がありますから、アメリカほどECに頼らないのです。しかし逆にいえば、日本ではいつでも気軽に実店舗を訪れることができるからこそ、オムニチャネルが非常に重要になってくるのです。

オムニチャネルはものを売る 人間の本質に立ち返るための手段
 オムニチャネルで重要なのは、顧客情報の一元化もさることながら、「顧客に愛着心や思い入れを抱いてもらうこと」で、信頼関係を構築することが重要なのです。顧客情報を統合することにより、一人ひとりの顧客をきちんと理解することが目的です。オムニチャネルとは誰のためにどんなものを提供するのかという、ものを売る人間の本質に立ち返るための手段だといえます。 これからのECでは、オムニチャネルという仕組みをうまく取り入れることが、成功のキー・ファクターになることでしょう。

2、オムニチャネルのメリットとは?

2、オムニチャネルのメリットとは?オムニチャネルで連動した場合のbefore & after
連動する前は各ショップごとのバラバラな情報だったところがデータ統合することにより、すべてのショップで情報共有が可能。

オムニチャネルを実現するには、内部の体制整備も不可欠なポイント
  昨今、オムニチャネルに取り組む企業が増えていますが、実現するには様々なハードルがあります。例えば、リアルとネットそれぞれの在庫を一元化したり、あるいは、Aという実店舗からECサイトへ誘導した場合、A店の売り上げとして管理するなど。人材評価制度のマニュアルを整えたり、さらには機械的・人的双方のインフラを整えることも必要となります。

 オムニチャネルが急速に広まってきた理由の一つとしては、「顧客の消費行動の変化」があげられます。消費者がインターネットのみならずスマートフォンやSNSの普及・発達によって、いつ、どこでもありとあらゆる情報を得ることが可能となり、商品認知や購買欲求を喚起する場面と、実際に商品を購入する場面が異なるということが増えています。例えば、リアル店舗で商品を見て、その場で説明を聞き、その後インターネットで価格を比較して購入する、といった消費行動が当たり前になり、結果的にリアル店舗がショールーム化してしまっているというケースも増えているのです。

 消費人口が同じで、消費量 (ある商品が購入される量) が一定だとすれば (実際、日本の人口が増えているわけではなく、全体の消費が上向いているわけでもない) 、結果的に売り上げというパイの奪い合いということになり、パイを奪われる傾向にあるリアル店舗が、顧客を囲い込む目的で積極的にオムニチャネル連動を導入していることは納得できます。実店舗とECの両方に取り組んでいる場合にも、今後は必要不可欠といえるでしょう。

オムニチャネル連携サービスの資料はこちらから→ https://goo.gl/lP49XU

3、優良顧客を囲い込む 会員情報一元管理

3、優良顧客を囲い込む 会員情報一元管理オムニチャネルでつながることにより店舗で購入してもECサイトで購入しても共通のポイントでユーザーは利用できる

ロイヤルカスタマーの囲い込みに有効
 リアル店舗とECサイトそれぞれ個別に管理していた会員の顧客属性や購入履歴、ポイント情報などを一元管理することで、チャネル間の垣根を取り払い、リアル店舗・ECサイトどちらで商品を購入しても同一IDでの認識が可能になります。 顧客情報を詳細に把握できるので、より細やかなプロモーションが実現します。特に何度もサービスを利用するロイヤルカスタマー(優良顧客)を囲い込むことに有効といえるでしょう。

4、機会損失を防ぐ 在庫一元管理

4、機会損失を防ぐ 在庫一元管理オムニチャネルでつながることにより実店舗Aで品切れをしても、実店舗Bで在庫があることがわかるので売れ残りを防ぐことができる

機会損失を減らすのに有効
 POS連携、在庫状況の把握、配送ルートの整備などを行うことによって、受け取りたい店舗に在庫があるかをあらかじめ確認できるので、ECサイトで注文した商品を、お好きなリアル店舗で受け取ることも可能になります。店舗からすると在庫移動を行わないので横持ちの配送費用が掛からず、また在庫が無いことによる機会損失を減らすのに有効です。顧客からしても好きな時に好きな場所で迅速な受け取りが可能といったメリットも享受できます。

文:ECのミカタ編集部 / 編集:福島 れい
<2015年のEC業界総まとめ!! EC業界大図鑑 追記>